瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

森鴎外『ヰタ・セクスアリス』の文庫本(1)

雪が降って乗ったときは3分遅れだった電車が乗り換え駅に着いたときには10分以上の遅れとなっていた。けれども乗り換えた路線は3分遅れだったので改札で遅延証明書を貰い損ねた。いや、もっと早く出れば良かっただけなのだが。 出勤して後、移動で新雪を踏み…

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(02)

マイナーな文庫本をさらにいくつか紹介するつもりだったのだが、細かく記述する余裕がないので、先に新潮文庫についてまとめかけの記事を上げて置く。 * * * * * * * * * *・新潮文庫92(1) 坊っちゃん (新潮文庫)作者:漱石, 夏目メディア: 文庫…

七人坊主(36)

「朝日新聞」は「毎日新聞」に比して締切が早かったものか、19日夕刊では被災者の数も確定値ではなかった。従って翌日の朝刊に続報が出ている。第23985号・昭和27年11月20日(木曜日)の(七)面13段めに大きく「五死体発掘」との見出しと「八丈島の土砂崩れ…

七人坊主(35)

「朝日新聞」の縮刷版を見て行くと、事故発生の前日にも八丈島に関する記事が出ていた。「七人坊主」とは関係ないが、ついでに引用して置く。第23983号・昭和27年11月18日(火曜日)夕刊(三)面10段め、見出しは「“七島熱”続発/八丈、三宅島」。年齢表示の…

七人坊主(34)

2011年12月18日付(33)から随分経ってしまったが、ここで年末にメモして置いた、昭和27年の事故の新聞記事を紹介して置きたい。小池氏が参照している地元紙「南海タイムス」は、まだ見る機を得ないので、全国紙の縮刷版から拾って見る。 まず「毎日新聞」第…

中勘助『銀の匙』の文庫本(1)

実家にいた時分に父の書棚から勝手に持ち出していた本で、実家を出るときにそのまま持って来てしまったものがいくつかある。1月13日付で述べた角川文庫の『李陵・弟子・名人傳』もその1冊だが、他にも岩波文庫『銀の匙』がそのままになっている。 * * * * …

新潮文庫『小泉八雲集』(6)

「注」の比較の最後。 ①にあって②にない注の続き。 二五二 苦しいことや……習性なのである もちろん話は、当人をなぐさめるのが普通である。 ここも本文『知られぬ日本の面影』の「日本人の微笑」(①239〜265頁)の該当箇所(252頁)を見るに、 ……、日本人の…

新潮文庫『小泉八雲集』(5)

一昨日からの続き。 ①にあって②では削除されている注もある。 二三三 山の者 洞光寺の山に住むためこの名があるが、死体を洗い、墓を掘ることを専門の業とする特殊階級。 これは原注だが②にはない。本文を参照するに、『知られぬ日本の面影』の「心中」とい…

新潮文庫『小泉八雲集』(4)

続き。 ①にあった注で説明が書き換えられているものも若干ある。 ①二三「辰の刻 午前八時ごろに始まる〔二時間〕。」→②二四「辰の刻 午後八時〔およびその後の二時間=訳注〕。」。 ①五九②五九「天正の御代」の説明①「天正時代は一五七三年から一五九一年。……

新潮文庫『小泉八雲集』(3)

続いて「注」がある。①381〜389頁・②393〜401頁であるが、見出しの「注」の下に割書で、以下のようにある。 *特に〔訳注〕と断りのない場合は原注である。 *原注のうち、われわれ日本人にとって蛇足と思われるものは省いた。 この「注」は1頁20行で組み方…

夏目漱石『吾輩は猫である』の文庫本(01)

『坊っちゃん』*1を読んだ私は、その勢いで『吾輩は猫である』を買ってきた。 しかし、中学の、たぶん1年生に、あれが面白い訳がなく、全くと言って良い程読み進められなかった。 しかも、買ってきたのが当時上下2分冊だった岩波文庫の上巻のみだった。 その…

森鴎外『山椒大夫』の文庫本(1)

来週は病院に行く暇がなさそうなので、もう症状が出ているのかそれともこの寒さに少し風邪気味なのか分からないが、午前、掛付けの医院に行き1箇月分の処方箋をもらう。初めの2年は血液検査をされたが昨年からはしなくなった。調剤薬局でアレグラと目薬を購…

新潮文庫『小泉八雲集』(2)

すなわち『小泉八雲集』二十一刷はTV番組「青春アニメ全集」に合わせて臨時に『怪談』と改題されているのだが、これは全くカバーだけの措置で、本体にある標題は『小泉八雲集』のみである。 Wikipediaによると「青春アニメ全集」全35話は、昭和61年(1986…

新潮文庫『小泉八雲集』(1)

小泉八雲の文庫本も各社から出ていて、古くは平井呈一訳の岩波文庫、近年では講談社学術文庫の「小泉八雲名作選集」があるが、ここでは新潮文庫を見てみたい*1。 ・新潮文庫2202『小泉八雲集』 ①昭和五十年三月十五日発行(407頁) ・昭和五十一年三月五日二…

鎌倉の案内書(15)

昨日紹介した湯本和夫『鎌倉謎とき散歩』ビジュアルガイド版の、2011年12月20日付に紹介した『鎌倉謎とき散歩』改訂新版との関係だが、全く触れられていない。 すなわち、初版の「目次」の最後(21頁左)に、以下のようにある。 ※本書は、『鎌倉謎とき散歩・…

鎌倉の案内書(14)

2011年12月20日付「塩嘗地蔵(047)」で紹介した湯本和夫『鎌倉謎とき散歩』のビジュアルガイド版というのを見た。版元は同じ廣済堂出版。並製本、21.0×12.8cm。 ・『ビジュアルガイド版 鎌倉謎とき散歩』2007年4月1日第1版第1刷・定価1500円・160頁鎌倉謎と…

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(01)

『坊っちゃん』は、中学に入って間もない頃か、或いは小学校を卒業する前に読んだ。 人気は不動らしく、直筆原稿が手軽に読めるまでになっている。直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 集英社発売日: 20…

中島敦の文庫本(15)

・新潮文庫1895(5) それでは、私がこれまでに見たものを材料に、新潮文庫の『李陵・山月記』の改版の按配を記述してみる。 ①昭和四十四年(1969)九月二十日発行 ②昭和五十三年(1978)六月十五日十八刷改版 ③平成元年(1989)六月十日四十三刷改版 ④平成…

中島敦の文庫本(14)

・新潮文庫1895(4) 昭和55年(1980)の二十五刷について。 昨年の3月、昭和53年(1978)に増刷された新潮文庫について、すなわち、2011年3月15日付「田中英光『オリムポスの果實』(04)」で昭和五十三年五月三十日三十九刷、2011年3月19日付「森鴎外『雁…

中島敦の文庫本(13)

・新潮文庫1895(3) 五十刷のカバー表紙折返しに広告の出ていた「新潮カセットブック/中島敦のカセット」は、現在CDになっている。山月記[CD]作者: 中島敦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/11/01メディア: CD購入: 1人 クリック: 1回この商品を含む…

中島敦の文庫本(12)

・新潮文庫1895(2) まず、カバー背表紙を比較してみる。 上部に標題、中部に著者名、下部に分類番号や定価が入るのは共通。 二十五刷・五十刷・五十八刷の標題・著者名は活字も同じに見える。六十五刷・六十六刷・六十七刷・六十九刷と七十七刷は頁数が増…

中島敦の文庫本(11)

・新潮文庫1895(1) 新潮文庫1895『李陵・山月記』 李陵・山月記 (新潮文庫)作者: 中島敦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/12メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 44回この商品を含むブログ (145件) を見る どこの図書館にもあるのが新潮文庫である。だ…

中島敦の文庫本(10)

文庫判ということで済ませて、大きさを記述していなかった。 角川文庫とランダムハウス講談社文庫が14.8×10.5cm、旺文社文庫と新潮文庫が15.0×10.5cm。 * * * * * * * * * *・ランダムハウス講談社 中国小説集 (ランダムハウス講談社文庫)作者: 中…

中島敦の文庫本(09)

・旺文社文庫(2) 旺文社文庫『李陵・弟子・山月記』とその改版の上製本『李陵・山月記(愛と青春の名作集)』の比較の続き。 * * * * * * * * * * 本文には、各頁の左に傍注がある。 文庫版について見るに、「李陵」の人名のうち16項は、7頁注(…

中島敦の文庫本(08)

・旺文社文庫(1) 『李陵・弟子・山月記 他二編』(昭和42年1月10日初版発行・昭和44年5月10日重版発行・130円・200頁) 書名は奥付と背表紙による。表紙と扉には横組みで2行に「李陵・弟子・山月記/(他)名人伝・狐憑*1」とある。表紙は淡い緑地に、ヒ…

塩嘗地蔵(049)

新編 鎌倉事典作者: 涌田 佑出版社/メーカー: 文芸社発売日: 2011/09/01メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る涌田佑『新編 鎌倉事典』(2011年9月15日初版第1刷発行・定価1,700円・文芸社・241頁)A5判並製本、…

中島敦の文庫本(07)

角川文庫について、もう少し書いて置くべきことがあると思うが、別のものを見てみた。 * * * * * * * * * *・集英社文庫 山月記・李陵 (集英社文庫)作者: 中島敦出版社/メーカー: 集英社発売日: 1993/04/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回…

平井呈一『真夜中の檻』(16)

小説「真夜中の檻」について、もう少々気になっていることがあるのだが、正直どうでも良いようなことなので、また気が向いたら取り上げるかも知れないが、ここらで一応打切りにして置く。 登場人物の心理やらは、読む人によって解釈の相違が出て来ても仕方が…

平井呈一『真夜中の檻』(15)

儀三郎老人にいろいろと麻生家について吹き込まれた主人公が、数日後にその話の内容を解釈しようとする(82〜83頁)。 儀三郎老人は、四代続いて麻生家に変死者が出たことを、しきりとなにか深い因縁ごとのように言っていたが、そういうことに因縁だの因果だ…