瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

赤いマント(10)

昨日の続き。 電話口での話題はいよいよ赤マント(18頁14行め〜23頁2行め)に移ります。ここまでは川端氏がほぼ一方的に喋っていたのでしたが、ここからは、牧野氏も口を挟んで漸く会話らしくなります。尤も、牧野氏の発言は記録されていないので、川端氏の…

赤いマント(09)

昨日の続き。 * * * * * * * * * * 同級生からの電話(16頁〜24頁6行め)は、「もしも牧野君? 川端です。泰明小学校のときの川端よ。‥‥」と始まっています。牧野氏の発言は全く記録されておりません。すなわち、川端氏の発言を相槌に至るまで細大…

赤いマント(08)

牧野氏の2回めの寄稿(15頁)は、まず「種々ご回答」に対する御礼に始まり、『紙芝居昭和史』について、 ‥‥。少女暴行と、人さらいの、二つのイメージが混在する所/以もわかって、いろいろと納得。とりわけ次のくだりなどは、溜飲のさがる思いがしました。「…

赤いマント(07)

昨日の続き、読者からの返答の2つめ(13頁19行め〜14頁7行め)、 牧野次郎様へ 赤マントは、すばらしい疾走力の持主であることが、大きな特徴だったと僕は記憶しま/す。この怪人は赤マントをひるがえしながら、オリンピックの選手よりも早く走る、神出鬼没…

赤いマント(06)

小沢信男(1927.6.5生)の「わたしの赤マント」については、すずしろのブログ「スナーク森」の2013年1月26日付「怪人赤マント追記」に詳しい紹介があり、vzf12576(1951生)のブログ「本はねころんで」の2011-07-06「小沢信男著作 113」に、河野多恵子の「文…

赤いマント(5)

朝倉氏が、『ヤクザ・風俗・都市』82頁3〜4行め、別冊宝島スペシャル「伝染る都市伝説」238頁8〜9行めに「もうひとつ、資料をあげておこう。北杜夫の年代記的長編小説『楡家の人びと』*1に、次のようなクダリがある。」として引用している北杜夫(1927.5.1〜…

赤いマント(4)

朝倉氏は『現代民話考』の次に加太こうじ『紙芝居昭和史』を引いています。 ・単行本(昭和46年7月10日初刷*1発行・定価640円・立風書房・283頁・四六判上製本) ・岩波現代文庫(2004年8月19日第1刷発行・定価1200円・岩波書店・322頁)紙芝居昭和史 (岩波…

赤いマント(3)

本題に入りましょう*1。 10月19日付(1)及び10月20日付(2)で確認した(別冊宝島スペシャルの)節見出しから察せられるように、朝倉氏は戦前の「赤マント伝説」を「口裂け女」を上回る事件ととらえ、国民に真相の明かされなかった「二・二六事件」に対す…

中田薫『廃墟探訪』(11)

昨日間違えて(10)より前にこちらを挙げてしまい、慌てて削除した。それは扨置き。 このところ雨や曇り続きで、湿度が高く普段から湿気取りを複数据えている1階を蛞蝓が這い回るようになった。特に深夜に甚だしい。先日、点灯せずに台所に入ったら、踵で踏…

中田薫『廃墟探訪』(10)

別冊宝島415「現代怪奇解体新書」と『廃墟探訪』RUIN FILE No.33「恐怖の心霊豪農屋敷廃墟」の異同を、7月18日付(4)に示した、『廃墟探訪』の区切りに従って確認して見る。 まず①の部分。 ・別冊宝島92中14「 その廃墟は‥‥」→『廃墟探訪』134上1「そ その…

中田薫『廃墟探訪』(9)

7月24日付(8)の続き。 随分間が空いてしまった。図書館の本を使っているので返却期限が来るとそこで滞ってしまう。それなら買えば良いのだが、買ってまでやろう(やりたい)とは思っていないのである。どうも、本を捨てたり古本屋に売ったりすることが出…

赤いマント(2)

朝倉氏の「赤いマント」に関連する論考の比較を、もう少し続けてみる。Wikipedia「赤マント」項を見ても分かるが、この朝倉氏説は、ネット上では「赤いマント」の「成立」の時期や社会史的淵源についての、有力な説明と見なされているようだ。 * * * * …

赤いマント(1)

小学校のトイレに「赤いマント」が出る、という話は、高校のときに同級生から聞いたことがある。 この「赤いマント」は、昭和11年(1936)頃に発生したことになっているようだ。 ・朝倉喬司『ヤクザ・風俗・都市――日本近代の暗流』二〇〇三年六月二十日第一…

芥川龍之介『地獄變』の文庫本(2)

・角川文庫7500『蜘蛛の糸・地獄変』(1) 【三版】平成元年四月 十 日 初版発行・平成元年七月三十日 三版発行・定価262円・213頁*1 【十一版】平成元年四月十日初版発行・平成五年六月二十日十一版発行・定価301円・213頁 【二十二版】平成元年四月十日初…

松本清張「或る「小倉日記」伝」(1)

・角川文庫1762(1) 或る「小倉日記」伝 (角川文庫)作者: 松本清張出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1994/12/04メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (6件) を見る【改版五版】昭和三十三年十二月十日初版発行・平成二十年六月十日改版五版…

小池壮彦「「事件」になった戦後の怪談・奇談年表」(2)

冒頭、以下の文章がある。最初の3行分の上部12字分を太い横線で仕切ってその上に「年表の/主旨と凡例」とあって、 戦後から今日までに流布した怪談・奇談の/うち、主に社会的事件としてマスコミが報じ/たものを選び、その概要を記した。採り上げ/た項目…

小池壮彦「「事件」になった戦後の怪談・奇談年表」(1)

3月23日付「常光徹『学校の怪談』(002)」の最後に、別冊宝島415「現代怪奇解体新書」(一九九八年十一月三十日発行・定価857円・宝島社・256頁)に、小池氏が「怪談史研究会」を主宰、とあった、と記憶に頼って書いたのだが、「現代怪奇解体新書」を見たと…

國木田獨歩『武藏野』の文庫本(4)

・岩波文庫31-019-1(1) ①1939年2月15日第1刷発行 ②1972年8月16日第37刷改版発行(229頁) ・1982年1月20日第46刷発行 定価200円 ・1997年7月15日第73刷発行 定価460円*1 武蔵野 (岩波文庫)作者: 国木田独歩出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/16メ…

鬼島さん(3)

先刻10月6日付(1)及び10月12日付(2)の題と本文を修正した。事情はそれぞれの記事の今日付の追記にて述べたが、「木島」ではなく「鬼島」だと今日になって言い出したのである。細かいところが気になる人間と、そういうことをあまり気にしない人間とがい…

鬼島さん(2)

10月6日付(1)の続き。 私自身はこの種の話を、聞いたような気もするけれども、記憶していない。 それはともかく、昭和50年代前半、話者の記憶違いで時期が若干ズレるとしても小学校卒業が昭和55年(1980)3月だから、昭和50年代前半の話である。これが、…

谷崎潤一郎『犯罪小説集』(5)

本体、まず第1刷と第2刷を比較するに、奥付以外は一致。 『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』と『谷崎潤一郎フェティシズム小説集』と比較するに、1頁(頁付なし)扉のレイアウトは同じ。2頁(頁付なし)は下部中央に明朝体縦組みで小さく、 本書は中央公論社版…

谷崎潤一郎『犯罪小説集』(4)

・集英社文庫(4) 9月30日付(3)で、カバー裏表紙の紹介文の行数が第1刷と第2刷で違うと指摘した。まず第1刷の四ッ谷氏のカバーだが、 仏陀の死せる夜、デイアナの/死する時、ネプチューンの北/に一片の鱗あり……。偶然手/にした不思議な暗号文を解読…

大迫純一『あやかし通信』(3)

単行本には見返し、明るい曇天のような柄の遊紙。 1頁(頁付なし)扉は本文用紙よりは若干厚い紙で藍色単色、やや上寄りに、カバー表紙と同じ絵が11.5×8.3cmに縮小されて収められ、文字はカバー表紙と同じ、但し標題の文字は縁取られているものに加えて、標…

大迫純一『あやかし通信』(2)

10月5日付(1)の続きで、ハルキ・ホラー文庫版について。 最近のホラー小説や実話怪談に興味がなく、全く読んでいなかったので、ハルキ・ホラー文庫の存在も知らなかった。 カバーは表紙と裏表紙簿バーコード・ISBNコード等の入っている箇所(6.8×5.2cm)以…

松本清張『半生の記』(4)

・初版(河出書房新社) 『半生の記』昭和四一年一〇月一〇日初版印刷・昭和四一年一〇月一五日初版発行・定価三八〇円・217頁・四六判上製本。 9月27日付(2)と9月29日付(3)は、昨年準備していたのだがそのままにしていた。漸く初版を借りることが出来…

鬼島さん(1)

所謂伝染する怪談である。2年ほど前に聞いたのだが、早い時期の例らしいので今日、改めて確認してみた。 「三重県■山市の小学校の3〜4年生の頃(昭和51年度か52年度)の話。クラスの友人同士や他のクラスの人とかの間で盛り上がっていた。知ってる人に尋ねる…

大迫純一『あやかし通信』(1)

・単行本(実業之日本社)四六判並製本 『あやかし通信――九夜でおくる怖い話』平成3年7月24日初版発行・定価1165円・248頁あやかし通信―九夜でおくる怖い話作者: 大迫純一出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 1991/06メディア: 単行本この商品を含むブログ…

太宰治『斜陽』の文庫本(18)

・岩波文庫31-090-3(2) 2012年9月11日付(15)に続き。 表紙と背表紙は同じ。但し私の見た第1刷の背表紙最下部は分類票貼付のため見えない。第16刷以下の諸刷には最下部には数字等はない。 第1刷(1988年5月16日)のカバー表紙折返しにある「●創刊60周年…

松本清張『大奥婦女記』(5)

・講談社文庫(5) 初版(第15刷)と新装版(第1刷)の本体を比較して見る。初版の第1刷の扉や奥付は9月21日付(3)にて述べた。 1頁(頁付なし)上下は双辺で左右は短辺、初版第15刷は12.2×8.2cm、新装版は12.0×8.2cm。文字は横組みで、上部に「■/講談社…

樋口一葉『たけくらべ』の文庫本(4)

・角川文庫829『たけくらべ・にごりえ』(2) 8月20日付(3)の続き。 三十六版と四十二版を見た。 【三十六版】昭和四十三年七月三十日初版発行・平成九年四月一日三十六版発行・定価340円・259頁 【四十二版】昭和四十三年七月三十日初版発行・平成十五…