瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(06)

河出文庫版『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』が『正岡容集覧』『完本正岡容寄席随筆』に漏れた「売色ところどころ」と「恵陽居艶話」を収録したことは、埋もれた作品の発掘という意味で価値があると云えるのだけれども、前者では「朝鮮烏羽玉譜」が、後者では「…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(5)

金子光晴・和田芳恵・富士正晴 監修/小沢昭一・大西信行・桂 米朝・永井啓夫 編集『正岡 容集覧』全一巻・昭和五一年六月二〇日印刷・昭和五一年七月七日発行・限定一五〇〇部・定価壱万四千円・仮面社・669頁・B5判函入上製本 巻頭、扉に次いで頁付のない…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(4)

前回『艶色落語講談鑑賞』の目次を示したことで、6月22日付(1)にて河出文庫『寄席囃子』を批判した理由はより明瞭になったであろう。 本の標題は、長篇小説で他に収録した作品がなければ、当然その題をそのまま標題にすれば良いのだけれども、短篇を集め…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(3)

・『艶色落語講談鑑賞』の目次 一方の『完本正岡容寄席随筆』の構成であるが、版元の岩波書店HPの「more info」に「目次」が示されている。また、中嶋裕子(編集部)の「編集者からのメッセージ」に、 ‥‥.すなわち,『随筆 寄席風俗』(昭和18年刊),『随…

夏目漱石『こゝろ』の文庫本(16)

・角川文庫(12) 間に妙なものを挟んでしまったが6月18日付(14)の続きで、角川文庫235『こゝろ』一八九版について、前後の版と比較しつつメモして置く。 カバー裏表紙折返し、上部の縦組みの目録は「角川文庫●夏目漱石の本」○で囲った●の前は明朝体太字、…

夏目漱石『こゝろ』の文庫本(15)

・角川文庫(11) 当ブログでは新潮文庫や岩波文庫については、改版・増刷を一覧の形で示したのであったが、角川文庫はそのようにしていないものが多い。 その理由の第一は、当ブログでは原則として図書館の蔵書を資料に用いており、角川文庫は新潮文庫に比…

森鴎外『舞姫』の文庫本(13)

・新潮文庫1790『阿部一族・舞姫』(1) ①昭和四十三年四月二十日発行 ②昭和六十年五月二十日三十六刷改版(278頁) ・昭和六十二年十二月五日四十二刷 定価280円 ・平成元年六月十日四十六刷 定価311円 ・平成二年六月五日四十八刷 定価400円 ・平成三年五…

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(2)

・河出文庫版『寄席囃子』の構成 河出文庫版、1頁(頁付なし)扉、3頁(頁付なし)目次、5頁(頁付なし)中扉「寄席囃子」、7頁(頁付なし)は「寄席囃子」の扉。9頁から本文で頁付がある。目次は次のようになっている。 随筆 寄席囃子 7 随筆 寄席風俗 63 …

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(1)

・『艶色落語講談鑑賞』昭和二十七年十二月二十日印刷・昭和二十七年十二月二十五日發行・定價450円・地方價460円・あまとりあ社・364頁・B6判上製本 まるまる復刻した本は存在しないようである*1。Kindle版「艶色落語講談鑑賞」は『艶色落語講談鑑賞』から…

楳図かずお『ミイラ先生』(09)

6月17日付(08)の続き。 ・文庫版176〜177頁(複写) この見開きは完全復刻版及び単行本には収録されていない。「ミイラ先生」とは無関係の4コマ漫画である。ちょっと困るのは文庫版には178頁から後の頁(連載第7回)と同じ号に掲載されていたのか、175頁ま…

学会誌の訃報欄(4)

遺稿でも調べる機会でもない限り、B氏がどこまで突き止めていたかは分かりません。――改竄や錯簡は、これまで『C』に触ったことのある人のうち、『C』から言葉の用例を摘み食いしただけの人はともかく、『C』を真面目に自分の研究に援用しようと考えた人…

学会誌の訃報欄(3)

この『C』という本は、素性のはっきりしない、ちょっと使いづらい本なのです。明治以前から知られている、そこそこ有名な本で、言及されることも少なくはないのですけれども、最初に紹介した人物が誤った成立年とともに世に広めたため、その後、成立年をめ…

夏目漱石『こゝろ』の文庫本(14)

・角川文庫(10) 角川文庫235『こゝろ』のカバーをもう1種追加する。 【一八九版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十五年五月二十五日一八九版発行・定価300円・300頁 カバー表紙はネットで画像検索しても見当たらない。 中央上部に角切長方形*1の…

楳図かずお『ミイラ先生』(08)

6月14日付(07)の続き。比較の要領は5月9日付(03)に示しました。 ・文庫版161頁(複写)扉絵→完全復刻版『続ミイラ先生』カバー表紙(カラー) 連載第6回の扉絵である。完全復刻版『続ミイラ先生』カバー表紙は左と下を少し書き足し、標題と作者名を差し…

学会誌の訃報欄(2)

もう10年近く会っていないと思うのだけれども、その、既に発病して後と思われる頃に、1度だけ電話がありました。今はネットや携帯電話での通信が主流なので、携帯電話もメールも使用しないでいると、ほぼ存在しないような按配で暮らせます。私も誰からも連絡…

学会誌の訃報欄(1)

先日、遥か以前、まだ院生だった頃に引き受けてしまったためにやっている古典研究関係の仕事の調べ物で久し振りに出身大学の図書館を訪ねました。校友の資格でずっと継続して貸出を受けているのだけれども、普段は通勤途中に定期で立ち寄れる別館に寄ってし…

楳図かずお『ミイラ先生』(07)

6月3日付(06)の続き。比較の要領は5月9日付(03)に示しました。 ・文庫版146頁(複写)扉絵 連載第5回の扉絵で、以後の版には使用されていない。 ・文庫版147頁1コマめ=単行本69頁1コマめ 文庫版145頁(複写)7コマめとほぼ同じ。この頁は文庫版と単行本…

大島弓子『グーグーだって猫である』(7)

昨日の続きで単行本『グーグーだって猫である』と角川文庫15181『グーグーだって猫である1』の比較。 頁付は6月10日付(5)に指摘したように漫画が始まる6頁から、頁下部中央に算用数字で打たれているのは文庫版も同じだが、単行本は127頁まで全ての頁に打…

大島弓子『グーグーだって猫である』(6)

6月7日付(2)の続きで、単行本『グーグーだって猫である』と角川文庫15181『グーグーだって猫である1』の比較。 アート紙のカラー扉、単行本は6月10日付(5)に記述した。文庫版は中央に単行本カバー背表紙と同じ縦組みの標題、「グーグー」の2つめの長…

山岸凉子『自選作品集』(4)

・文春文庫ビジュアル版(4) 5月19日付(1)にも触れた、カバー装画について。 この「自選作品集」は短篇集であるが、殆どの作品は冒頭部がカラーであったようである。そのカラーの扉絵をこの「自選作品集」はカバー装画に利用している。 ①カバー表紙のカ…

大島弓子『グーグーだって猫である』(5)

単行本の続刊は『2』も見たのだが当時文庫版をまだ見ておらず、比較して記事にしようと思っていなかったのでメモを取らなかった。それで順序がおかしくなったが、今手許にある『3』と『4』を『グーグーだって猫である』と比較しつつメモして置こう。 ・単…

大島弓子『グーグーだって猫である』(4)

昨日は何となく本作の舞台となっている吉祥寺の思い出を書き連ねているうちに終わってしまったが、今回は一昨日の続きで、角川文庫15181『グーグーだって猫である1』のカバー折返しを見て置こう。 昨日の最後に挙げた角川文庫15229『グーグーだって猫である…

大島弓子『グーグーだって猫である』(3)

映画になっていることは何となく知っていた。もちろん見ていない。 ・映画 平成20年(2008)9月6日公開。犬童一心監督、小泉今日子主演。グーグーだって猫である[レンタル落ち]発売日: 2009/02/06メディア: DVDこの商品を含むブログを見るグーグーだって猫で…

大島弓子『グーグーだって猫である』(2)

昨日の続きで、単行本『グーグーだって猫である』と角川文庫15181『グーグーだって猫である1』の比較。 単行本のカバー背表紙は上部にQRコード、その下に標題、赤い文字で左上に桃色の影が差しているのはカバー表紙上部に横組みで入っている標題に似るが、…

大島弓子『グーグーだって猫である』(1)

・単行本(A5判並製本)グーグーだって猫である作者: 大島弓子出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2000/07メディア: コミック クリック: 31回この商品を含むブログ (78件) を見る・平成12年7月30日初版発行(127頁) ・平成20年6月5日17版発行 定価1100円*1 …

山岸凉子『妖精王』(10)

5月29日付(09)の続きで、白泉社文庫版のカバー裏表紙折返しについて。 第2巻の第七刷(二〇〇〇年三月十五日)は、下部の「最新刊」は1ヶ月前の第1巻第七刷に同じ。但し第1巻は下の余白が0.6cmであったのが第2刷は1.0cmになっている。しかし奇怪なのは上部…

「新潮社の辞典!」の広告(8)

4月23日付(7)に「新潮社の四大辞典! 」の広告を取り上げて、2013年3月25日付(1)に挙げた「新潮社の三大辞典! 」に続くものとの見当を示したのだが、もう1種「新潮社の三大辞典! 」を見ることが出来た。 ③『寺内貫太郎一家』*1(昭和五十八年三月二…

楳図かずお『ミイラ先生』(06)

昨日の続き。比較の要領は5月9日付(03)に示しました。 ・文庫版131頁(複写)扉絵 連載第4回の扉絵で、以後の版には使用されていない。 ・文庫版132頁(複写)=完全復刻版50頁=単行本55頁 1コマめは連載第3回の最後のコマ(文庫版129頁6コマめ=完全復刻…

楳図かずお『ミイラ先生』(05)

昨日の続き。比較の要領は5月9日付(03)に示しました。 ・文庫版115頁(複写)扉絵 連載第3回の扉絵で、以後の版には使用されていない。 ・文庫版116頁(複写)1コマめ=単行本39頁6コマめ 連載第2回の最後のコマ(文庫版114頁6コマめ)にほぼ同じだが、髪…

楳図かずお『ミイラ先生』(04)

5月9日付(03)の続き。 ・文庫版101頁(複写)扉絵 連載第2回の扉絵で、以後の版には使用されていない。 ・文庫版102頁=完全復刻版24頁=単行本26頁 1コマめの構図は連載第1回の最後のコマ(文庫版99頁6コマめ=完全復刻版23頁6コマめ→単行本25頁全部)に…