瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

山本禾太郎『抱茗荷の説』(5)

もう少し、ネタばらしにならない形で本作の設定を確認して置きましょう。 それというのも、8月31日付「山本禾太郎『小笛事件』(1)」に書影を示した『京都の女性史』に収録されている(147〜182頁)細川涼一「小笛事件と山本禾太郎」の最後の節、173頁11行…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(4)

昨日の記事の末尾、梗概の改定案に山下氏の「復讐のため」と云う表現をそのまま使い回していましたが、読み直すうちに「復讐」が目的であれば、幼い娘を同行させる必要はなかったろう、と思えて来ました。以下「抱茗荷の説」の引用は論創ミステリ叢書15『山…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(3)

昨日の記事に対し思いがけず、芳林文庫より矢作京一(1912〜1983)『蔦の家殺人事件』を購求した方からコメントがありました。私は、矢作氏については「小林文庫の新ゲストブック」で初めて知ったくらいで、全くどうしようもないのですが、山下氏の蔵書散逸…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(2)

昨日の続き。 本書はかくまでに稀覯本で、ネット上に書影はもちろん、実見しての記事も見当たらないのです*1。 探偵小説マニアの探索に関しては、ミステリー情報のサイト「小林文庫」の掲示板「小林文庫の新ゲストブック/過去ログ 2001年01月01日〜2001年06…

山本禾太郎『抱茗荷の説』(1)

この本を手にする機会は、恐らくないと思います。図書館OPACや「日本の古書店」で検索しても一向にヒットしません。けれども、そのような機会のあらんことを念じて、作品名「 」ではなく書名『 』で記事にして置きます。 本書のことは、8月31日付「山本禾太…

山岸凉子『アラベスク』(28)

・バレエ名作ダイジェスト(7) 『完全版Ⅲ』220〜221頁、まず220頁から見て置こう。右端上下の飾り枠の間に「――7――/くるみ割り人形*1」題はモダンゴシック体、続いて藻を連ねたような飾りの線によって上下に分けて、モダンゴシック体(ルビは明朝体)で、…

山岸凉子『アラベスク』(27)

・バレエ名作ダイジェスト(6) 『完全版Ⅲ』188〜189頁、まず188頁から見て置こう。右端上下の飾り枠の間に「――6――/ コッペリア 」とあり、続いて藻を連ねたような飾りの線によって上下に分けて、モダンゴシック体(ルビは明朝体)で、 ドリーブ作曲、全…

山岸凉子『アラベスク』(26)

・バレエ名作ダイジェスト(5) 『完全版Ⅲ』150〜151頁、まず150頁から見て置こう。右端上下の飾り枠の間に「――5――/ シンデレラ 」題はモダンゴシック体、文章はモダンゴシック体に明朝体のルビで段組なし、上揃えで下部にあるイラストにより字数に増減が…

山岸凉子『アラベスク』(25)

・バレエ名作ダイジェスト(4) 『完全版Ⅲ』106〜107頁、右端上下の飾り枠の間に「――4――/レ・シルフィード」題はモダンゴシック体、その左に女性1人のイラスト、これに接して106〜107頁に跨って、下部に女性5人のイラストがある。そして左端上下の飾り枠に…

山岸凉子『アラベスク』(24)

・バレエ名作ダイジェスト(3) 『完全版Ⅲ』72〜73頁、まず72頁から見て置こう。右端上下の飾り枠の間、上部に「――3――/ ジゼル」題はモダンゴシック体、下部に明朝体で、 「ジゼル」は/「白鳥の湖」「眠れる森/の美女」とならんで、/3大バレエのひとつです…

山岸凉子『アラベスク』(23)

・バレエ名作ダイジェスト(2) 『完全版Ⅲ』38〜39頁、まず38頁から見て置こう。右端上下の飾り枠の間に「――2――/ 眠れる森の美女*1」とあり、続いて、上にモダンゴシック体(ルビは明朝体)で、 みなさんよく/ごぞんじ、ペローの/童話をバレエ化した/…

山岸凉子『アラベスク』(22)

・バレエ名作ダイジェスト(1) 『完全版Ⅲ』6〜7頁、まず6頁から見て置こう。枠内の右上「――1――/白鳥の湖*1」とあって、下に男女のイラスト、その右、飾りの切れ目に縦組みで小さく「オデット姫と王子の/ 「アダージォ」」とある。続く文章はモダンゴシッ…

山岸凉子『アラベスク』(21)

・バレエ名作ダイジェスト(0) 9月3日付(16)にて予告した『アラベスク』第II部の「バレエ名作ダイジェスト」の詳細について。なお挿入箇所は9月3日付(16)及び9月4日付(17)に示した通りである。 『完全版Ⅲ』カバー表紙折返しの縦組み8行の紹介文に、6…

山岸凉子『アラベスク』(20)

2月19日付(06)・2月21日付(07)・2月22日付(08)・2月23日付(09)と、第I部の単行本(HC版)1冊ごとに完全版・文庫版との対応を示した際には、単行本カバー裏表紙折返しの「作品かいせつ」も1冊ごとに紹介していたが、第II部は4冊纏めてここに紹介す…

山岸凉子『アラベスク』(19)

昨日の続き。不完全ではあるが最後まで。遺漏については追って補うことにする。 ・花とゆめCOMICS『アラベスク』第II部第4巻(1976年3月20日第1刷発行・1982年11月15日第21刷発行・定価360円・194頁) ・HC版5頁 私の見た本は4頁までが存しない…

山岸凉子『アラベスク』(18)

9月4日付(17)の続きで、花とゆめCOMICS版(HC版)単行本『アラベスク』第2部の、完全版(メディアファクトリー)、白泉社文庫版との対応を見て置く。 なお、私の見ている第2部の単行本は、4冊とも4頁までを欠いている。すなわち、全ての巻の扉を…

断片と偏り

御嶽山の水蒸気爆発以来、大したことでもないのに大騒ぎをするようになった。いや死者63名なのだから大した災害なのだけれども、しかし噴火の規模としては大したものではなかった。土曜の昼で火口の近くに多くの人がいたこと、水蒸気爆発で前兆がつかみにく…

山本禾太郎『小笛事件』(6)

昨日時間切れで書ききれなかった続き。 * * * * * * * * * * 要するに甲賀氏の論拠は、この辺りにあるだろうと思うのです。 小笛は縊死という、通常自殺と判断される死に方をしているのです。そして他殺説の根拠となった「奇妙な姿勢」も窒息時の…

山本禾太郎『小笛事件』(5)

文体が敬体になったり常体になったりしますが、それは書いている内に日によって、内容によって何となく選択しているのです。とにかくこの文体で書けてしまったのだから、別に統一することもないだろうと思って、そのままにしています。 昨日は夕方に出先で踏…

山本禾太郎『小笛事件』(4)

昨日からの順序で云えば甲賀三郎が、平松小笛は被告に復讐するために他殺を擬装した自殺を試みた、という通説(?)に対して「然らず」つまり「そうではない」と述べている「論拠」について述べるべきなのだけれども、前々回からの順序で山下武「『小笛事件…

山本禾太郎『小笛事件』(3)

前回の記事を上げた翌々日、創元推理文庫『日本探偵小説全集11 名作集1』を借りて来ました。 確かに、これを読むと被告・弁護側の迫力に圧倒されそうです。 そこで、通読するのは後回しにして、敢えて山下武「『小笛事件』の謎」を読んだだけの、素人考えを…

怪談同好会編『古今怪異百物語』(2)

幽クラシックス『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』に収録されている図版について、確認して置こう。昨日紹介した下書き(2014年4月2日)でも、入力するつもりで空白にしていたが、そのままになっていた。 10〜11頁見開きカラー図版は、11頁下左に…

怪談同好会編『古今怪異百物語』(1)

以下は2014年4月2日に準備した下書きで、続きが書けそうになったので若干の注記と追補をして投稿することにした。本当はもっと手を入れたくなったのだが際限がないのでまずは昨年の下書きをほぼそのまま示して置く。 * * * * * * * * * * 本書は以…

大島弓子『グーグーだって猫である』(10)

昨日付記事の角川文庫版全6冊のカバー比較の続きで、まずカバー表紙折返しについて。 私の見た『3』初版に掛かっているカバーは版元が平成25年(2013)10月1日「KADOKAWA」になってからのもので、なか見!検索で閲覧できる平成22年(2010)2月の刊行…

大島弓子『グーグーだって猫である』(09)

昨日の続きで、角川文庫版全6冊についてカバーを比較して見た。 カバー背表紙は6月7日付(02)に示した『1』四版と同じレイアウトで、2箇所の数字が巻数に応じて増えている。 カバー裏表紙を比較するに、定価514円のカバーに2種と定価520円の3種が指摘出来…

大島弓子『グーグーだって猫である』(08)

その後、文庫版6冊揃いを見ることが出来た。 『1』の書影は6月6日付(01)に貼付してある。 版元が「角川書店」から「KADOKAWA」に変わって、奥付も従来の縦組みから横組みに変わった。横組みの奥付は発行日も横組みで算用数字になって、初版発行日…

山岸凉子『アラベスク』(17)

昨日の続きで、第II部について単行本(HC版)と白泉社文庫版と完全版の頁の位置確認して置く。やはり半年前に作成したもので十分な見直しが出来ていないが、追々修正して行くことにする。 ・花とゆめCOMICS『アラベスク』第II部第2巻(1975年8月20…

山岸凉子『アラベスク』(16)

2月23日付(09)の続き。作成し始めてから半年を経過して、体裁の整わないところもありますが追々修正して行くことにします。凡例は2月19日付(06)の冒頭を参照。 ・花とゆめCOMICS『アラベスク』第II部第1巻(1975年4月20日第1刷発行・1984年3月20…

松本清張『黒い空』(3)

・角川文庫7750(3) 2013年7月29日付(2)の続き。 2013年7月26日付「角川文庫の松本清張(11)」に追記したが、アート紙の「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」のカバーの掛かった四十三版を見た。今、レザック紙の「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」のカバー…

山本禾太郎『小笛事件』(2)

昨日、TVドラマ版「雪冤」の不自然な感じにやたらと拘泥してしまったのは、山下氏の指摘する「『小笛事件』の謎」と同じものを、いや、山下氏の指摘以上に、感じているからである。 が、別に犯罪マニアという訳ではないので、実際の捜査・鑑定・裁判がどん…