瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

赤いマント(150)

先日、蒸し暑いぼんやり曇った午後、初めて西国立駅で下車して、とことこ歩いて多摩図書館に行って見ました。6月23日付「山岸凉子『メタモルフォシス伝』(1)」にも触れたのですが、20日から今日まで「移転期間中の閲覧サービス提供準備(現閲覧室の一部改…

宮澤賢治の文庫本(17)

・角川文庫7381『風の又三郎』(4) 昨日の続き。 角川文庫の「宮沢賢治の本」は長らく飯野和好のカバーであったが、近年改装され、本書は半ズボンの少年のイラストになっている。改編 風の又三郎―ガラスのマント (角川文庫)作者: 宮沢賢治出版社/メーカー:…

宮澤賢治の文庫本(16)

・角川文庫7381『風の又三郎』(3) 昨日見た改訂新版と改訂五版に続いて、今回はカバー表紙を同じくする改訂十六版について見て置く。カバー表紙は異なるが共通点の多い改訂十八版にも適宜言及する。 【改訂十六版】平成八年六月二十五日改訂新版発行・平…

宮澤賢治の文庫本(15)

・角川文庫7381『風の又三郎』(2) 改訂新版について。 【改訂新版】平成八年六月二十五日改訂新版発行(198頁)定価420円 カバー表紙は改訂十六版まで一致。 カバー背表紙は白地で、最上部に「CLみ|1-5」文字はゴシック体横並び、すぐ下に楷書体で標題、…

横溝正史『犬神家の一族』(4)

・角川文庫2897(3) さて、7月21日付(2)に述べたように、平成14年(2002)に横溝氏「生誕100年記念新装版」として大路浩実のカバーに改装されており、今年1月に刊行された「発行所●株式会社KADOKAWA」に変わった改版27版もやはり大路氏のカバーである。…

横溝正史『犬神家の一族』(3)

・角川文庫2897(2) 「カバーデザイン/大路浩実」のカバーは、改版二十三版・改版二十五版・改版二十六版・改版27版に掛かっているのを見た*1。 しかしながら、改版二十三版と改版二十五版は(未見ながら改版二十四版も)市川崑監督の映画『犬神家の一族…

宮澤賢治『注文の多い料理店』(5)

・角川文庫924(4) 前回見たように、改訂新版以前の奥付には「昭和三十一年五月二十日初版発行」とあるのだが、この頃の本はまだ見ていない。歴史的仮名遣いでカバーも掛かっていなかったはずである。 今までに私が見た中で最も古いのは丸木俊(1912.2.11…

宮澤賢治『注文の多い料理店』(4)

・角川文庫924(3) 昨日の続き。 ・飯野和好のカバー(2) 【改版四十五版】昭和三十一年五月二十日初版発行・昭和四十四年三月三十日十四版発行・平成元年六月十日改版四十五版発行(201頁)定価340円 【改版五十版】昭和三十一年五月二十日初版発行・昭…

宮澤賢治『注文の多い料理店』(3)

・角川文庫924(2) 昨日の続きで改訂新版のカバーについて。 ・飯野和好のカバー(1) 改訂四版・改訂十三版・改訂二十四版のカバー表紙は前回貼付した書影に同じ。 カバー背表紙は水色地、改訂四版・改訂十三版のレイアウトは同じで、最上部(0.7cm)の…

宮澤賢治『注文の多い料理店』(2)

・角川文庫924(1) 複数の種類のカバーを見ているが、まずは飯野和好のカバーの掛かった改訂新版についてメモして置く。注文の多い料理店 (角川文庫クラシックス)作者: 宮沢賢治出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1995/06/22メディア: 文庫 クリック: 78回…

横溝正史『犬神家の一族』(2)

現在、「金田一耕助ファイル5」と云うシリーズ名が附されているが、これは改版後の処理で、以前の版にはシリーズ名はなかった。なお、Kindle版を貼付したのは、長らくカバー表紙を飾っていた装画を示したかったからである。 ・角川文庫2897(1) 『犬神家…

宮澤賢治の文庫本(14)

・新潮文庫1481『風の又三郎』(2) 昨日の続きで本体について。 1頁(頁付なし)扉。 3〜4頁(頁付なし)「目 次」、3頁は9行で見出しの他に8作品、4頁は4行で3作品、4行めは下寄せでやや小さく「解 説 巽 聖 歌」とあって頁数はない。 5頁(頁付なし)中…

宮澤賢治の文庫本(13)

・新潮文庫1481『風の又三郎』(1) ・昭和三十六年七月二十五日発行(252頁)風の又三郎 (新潮文庫 み 2-1)作者: 宮沢賢治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1961/07メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る・昭和五十六年四月二十五…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(12)

・対談「もう一人の江戸川乱歩」(5) 7月16日付(11)に引いた松本清張『ゼロの焦点』刊行にまつわる話の後日談を見て置こう。単行本42頁3行め〜43頁5行め、 泰彦 お詫びの手紙か何かきたんだったね。 信彦 清張さんが、「悪いことをした」って。あの人もそ…

宮澤賢治の文庫本(12)

・角川文庫7381『風の又三郎』(1) 角川文庫は奥付の発行日を「刷」ではなく「版」で示す。版を改めていない、ただの刷り増しであっても「版」としている。そのためか「改版」を示さない。奥付には、本字歴史的仮名遣いで刊行されたはずの「初版」とその「…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(11)

・対談「もう一人の江戸川乱歩」(4) 7月7日付(10)の続き。 ・単行本33頁1行め「信彦 まあ、こっちが楽ってことも、‥‥」→文春文庫版39頁1行め「信彦 まあ、その方が楽ってことも、‥‥」=光文社文庫版39頁3行め ・単行本34頁7〜8行め「‥‥、そのヒッチ/コ…

山中恒『なんだかへんて子』(13)

単行本(山中恒みんなの童話3)にあって、以後の版に引き継がれていないものとしては、カバー表紙折返し、横転したSを組み合わせたような桃色の飾り線(6.3cm)が2本あって、上の線のすぐ上にやや横長のゴシック体で小さく「山中恒みんなの童話 なんだかへん…

山中恒『なんだかへんて子』(12)

・偕成社文庫2082(6) 本文の対応関係を細かく見るのは煩瑣なだけなので、挿絵の位置を単行本(山中恒みんなの童話3)と比較しつつ見て置こう。 挿絵が全頁の場合は頁付なし。半頁の場合、下半分にある場合は、下部小口寄りにある頁付は、単行本では一部存…

山中恒『なんだかへんて子』(11)

・偕成社文庫2082(5) 昨日の続きで単行本(山中恒みんなの童話3)21刷と比較しつつ、偕成社文庫版(3刷)についてメモして置く。 本文は1頁13行、1行37字。章題は一回り大きい活字で3行取り、7字下げだがその上に内容を象徴するカットがあってこれは単行…

山中恒『なんだかへんて子』(10)

・偕成社文庫2082(4) 7月8日付(08)にて引いたように、偕成社文庫版は「一九七五年に偕成社から単行本として刊行されたものの文庫版」ということになっているけれども、実は6月10日付(03)及び6月11日付(04)にて行った単行本の15刷(新選創作どうわ10…

正宗白鳥『入江のほとり』の文庫本(2)

・新潮文庫196『生まざりしならば・入江のほとり』 生まざりしならば・入江のほとり (新潮文庫)作者: 正宗白鳥出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1951/06メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログを見る・昭和二十六年六月十五日発行(229頁) ・平成…

正宗白鳥『入江のほとり』の文庫本(1)

当ブログでは著者の生前刊行された本は、本人が(不本意だったとしても)その標題の本の存在を認めたと見なしてその題で記事にし、歿後著者の意思と関わりなく附された標題の本とは区別して扱うことにしている。尤も当初はそこまで考えていなかったし、やは…

山中恒『なんだかへんて子』(09)

・偕成社文庫2082(3) 奥付の最下部、3刷には長方形の枠(0.6×7.2cm)があって、 偕成社は、平日も休日も24時間、電話でもFAXでも本のご注文をお受けして います。どうぞご利用ください。電話03-3260-3221(代) FAX03-3260-3222 とある。留守番電話で…

山中恒『なんだかへんて子』(08)

・偕成社文庫2082(2) 6月19日付(07)の続き。 カバー裏表紙折返しの白地の左端下寄りに明朝体縦組みで小さく1行「カバー絵/長尾みのる」とある、同じカバー表紙の初版第1刷*1と3刷を比較して見た。5月29日付(01)に貼付した書影に一致。 カバー表紙折…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(10)

・対談「もう一人の江戸川乱歩」(3) 一昨日からの続き。 ・単行本20頁15行め「信彦 なんか煙がこう……。」→文春文庫版27頁1行め「信彦 なんか妖しい煙がたなびいている……。」=光文社文庫版27頁3行め ・単行本21頁11行め「流行」→文春文庫版27頁12行めには…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(09)

・対談「もう一人の江戸川乱歩」(2) 昨日の続き。光文社文庫版は行末の句読点はぶら下げているが、単行本はぶら下げにせずに、字数を減らして次の行に句読点とその前の1字を回している。よってそこでは単行本と光文社文庫版も1行字数にズレが生じている。…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(08)

・対談「もう一人の江戸川乱歩」(1) 対談「もう一人の江戸川乱歩」の本文は、単行本5〜55頁(7行め)、1頁15行、1行38字。文春文庫版11〜60頁、11頁は最初の5行分空白、60頁は14行めまで。1頁15行、1行39字。光文社文庫版11〜61頁、11頁は最初の5行分空白…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(7)

既に述べたように、文春文庫版は「初出一覧」の前の見開き、4〜5頁(頁付なし)が「江戸川乱歩邸応接間の図/(一九五九年頃)」で7頁(頁付なし)が中扉であったが、光文社文庫版は5頁(頁付なし)が中扉で、その次の見開き、6〜7頁(頁付なし)が「/江戸川…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(6)

文春文庫版は6頁(頁付なし)に「初出一覧」があるが、単行本(メタローグ)は奥付の前(193頁の裏)、光文社文庫版は196頁の次(裏は白紙)にある。ここでまとめて記述して置こう。 単行本は下部中央に縦組みで小さく、 初出一覧 もう一人の江戸川乱歩 語り…

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(5)

本体を比較して見る。 単行本(メタローグ)の見返しはカーキ色の厚紙で斜めの透かしが入っている。扉は白で見返しに比するとやや薄い。 1頁(頁付なし)は「目次」。 文春文庫版と光文社文庫版は1頁(頁付なし)は扉で、横組みで上から文庫名、標題、著者名…