瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

青木純二『山の傳説』(04)

・何故柳田國男は序文を書いたのか 昨日まで検討して来た青木氏の経歴については、まだ昭和30年(1955)までの続きがあり、かつ「神奈川新聞」に訃報くらいは出ているだろうと思うのだが、それは年内に閲覧・確認の機会を作ることにして、今回は昨日までの検…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(144)

・青木純二の経歴(13)横浜での活躍③*1 昨日の続きで横浜市立図書館デジタルアーカイブ「都市横浜の記憶」にて閲覧出来る『横浜文化名鑑』について。 155~163頁「文化団体とその動向」は本文には見出しなく目次に拠る。3段組で横浜の文化団体を列挙して行…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(143)

・青木純二の経歴(12)横浜での活躍② 昨日の続き。 10月27日付(141)に見たように昭和19年(1944)4月には朝日新聞東京本社の整理部に勤務していたが、昨日見たように昭和21年(1946)2月には「神奈川新聞」に連載を持っている。神奈川新聞社に移籍したの…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(142)

・青木純二の経歴(11)横浜での活躍① 青木氏の名は横浜の資料に幾つか見えている。 ・横浜市総務局市史編集室 編『横浜市史Ⅱ』第一巻(上)平成5年3月31日発行・定価6,797円・横浜市・1397+15頁 240頁に青木氏の発言が〈青木純二・元朝日新聞市政記者…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(141)

・青木純二の経歴(10)「内地新聞人名簿」 昨日の続きで、阿部氏・遠田氏が調査した段階では参照しづらかった資料の追加。 ・文圃文献類従 49『戦時末期敗戦直後 新聞人名事典 附・日本新聞年鑑1946』全二巻・2015年12月発行・金沢文圃閣・A5判上製本 井川…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(140)

・青木純二の経歴(09)『全國新聞通信網大觀』 ここまでが阿部敏夫によって指摘され、遠田勝によって追加訂正を見た『新聞人名辞典』に見える青木純二の情報で、これが東雅夫 編『山怪実話大全』に紹介された昭和3年(1928)7月の「サンデー毎日」に掲載さ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(139)

・青木純二の経歴(8)『日本新聞年鑑』の現住所 一昨日からの続きで、『新聞人名辞典』第2巻に見えるの青木純二の経歴について。 ・昭和三年版『日本新聞年鑑』昭和二年十二月二十四日印刷・昭和二年十二月二十八日發行・定價金四圓 第四篇「名鑑 ―いろは…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(138)

・青木純二の経歴(7)「新聞及新聞記者」と『日本新聞年鑑』 それでは『新聞人名辞典』第2巻に影印で収録されている資料を順に見て行こう。 まづ雑誌「新聞及新聞記者」に掲載されていた2点。 ・「〈新聞/通信〉記者名鑑〈大正十年/九月現在〉」右から…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(137)

・青木純二の経歴(6)『新聞人名辞典』第2巻「凡例」 10月20日付(135)に見たように阿部敏夫は、青木純二の名は「『新聞人名辞典』で調べてみると、大正十三年と大正十四年と昭和二年の三回ほど」出ている、と述べているのだが、10月21日付(136)に見た…

胡桃澤友男の著述(1)

10月18日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(133)」に取り上げた、遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談」の世界』の第一部、「小泉八雲と日本の民話――「雪女」を中心に」の「一 白馬岳の雪女伝説」の1節め、16頁3行め~19頁2行め「「怪異・…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(136)

・青木純二の経歴(5) それでは10月18日付(133)の続きで、遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談」の世界』の「いたずら者の青木記者」の節に戻って、その中盤を見て置こう。33頁9~16行め、 また、青木純二は改名後の名前で、一九二四年度の記載に…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(135)

・青木純二の経歴(4)阿部敏夫の調査② 昨日はわざわざ見に行った資料が肝腎な情報を載せていなかった、と云う見当外れの話で終わってしまった。調査をしていると斯様なことはしばしばあり、そこはしばらく、こんなところだろう、との見当を付けて、と云う…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(134)

・青木純二の経歴(3)阿部敏夫の調査① 昨日の続きで、遠田氏の「いたずら者の青木記者」の節に「一つしかな」いとする、青木純二の経歴に触れた先行研究は、注(16)を見るに、240頁15~16行め、 (16)阿部敏夫「和人のアイヌ文化理解について――事例その1…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(133)

・青木純二の経歴(2) 先行研究で、青木氏の経歴について最も充実した調査結果を示しているのは、10月15日付(132)に触れた、牧野陽子(1953生)の論文によって批判された、遠田勝(1955生)の次の本である。 ・遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談…

須川池(5)

私が編纂物としての伝説集を好ましく思えない理由は、異説をさらに積み重ねるだけでしかないからである。典拠が示してあれば、何に拠って書いたか、と云うストレス(?)は低減されるが、それならわざわざ書き替える必要はなかったのではないか、と思ってし…

須川池(4)

・杉村顕『信州の口碑と傳説』 この興味深い伝説は、もちろん杉村顕も取り上げている。8月26日付「杉村顯『信州の口碑と傳説』(5)」に取り上げた「北信地方」に、これまでの要領に従えば、 ・小縣郡【7】須 川 の 池(163頁3行め~164頁) と云う示し方に…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(132)

・青木純二の経歴(1) これは2ヶ月前の8月16日に、8月17日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(104)」として書き掛けていた草稿を基にしている。ネット検索のみでもある程度明らかに出来るようなので、取り敢えずその分だけでも纏めてしまおうと…

須川池(3)

・藤澤衞彦編著、日本傳説叢書『信濃の卷』 大正6年(1917)7月に刊行された本書については、9月1日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(106)」に紹介した。昨日取り上げた高木敏雄『日本傳説集』の4年後で、当然参照しているのだろうと思うのだが…

須川池(2)

・高木敏雄『日本傳説集』大正二年八月廿七日印刷・大正二年八月三十日發行・實價金一圓・郷土研究社・三〇七頁 一〇五~一一九頁「沈鐘傳説第十」一〇五頁2行め~一一四頁4行め「(甲)純粹沈鐘傳説」一一〇頁1行め「(へ)須川池」初版は5字下げ、括弧は左右。…

須川池(1)

『怪奇傳説 信州百物語』改め『信州百物語 信濃怪奇傳説集』と『山の傳説』の関係から、以前抱いていた伝説への関心が少々復活して来た。私は父が所謂転勤族で、高校までは長いところで4年半、短いと3年で転居を繰り返して来たから、根っからの(?)根無草…

「足要りますか?」(6)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(6) 台風が来るとて、帰りの電車がいつもより若干混んでいた。近所のスーパーの棚からパンが、食パンも菓子パンも消えていた。魚や肉も殆どなくなっていた。明日は休業とのこと。家人は先週満104歳になった祖母を見…

「足要りますか?」(5)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(5) 一昨日からの続きで小説の筋をやや詳しく見ている。所謂ネタバレと云う奴だが当ブログは面白そうな小説を紹介することを目的としていない。書いてある内容の確認と、どう読解すべきかに興味があるので、わざと…

「足要りますか?」(4)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(4) 昨日の続きで10日め(96頁下段5行め~97頁上段5行め)、冒頭部を抜いて置こう。96頁下段6~10行め、 十枚のカード。配達人No.7が三日前呟いたように文面/が変わっている。( )内の文字が “大腿部モ含メルモ…

「足要りますか?」(3)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(3) 一昨日からの続き。 例によって前置きが長くなったが、話の生まれた環境を重視したい私としては、当時永山氏が勤務していた沓喰分校について、やや詳しく確認して置きたいところなのだけれども、それはやはり後…

「足要りますか?」(2)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(2) 昨日の続き。 北原氏が手にした遺稿集(マンジュウ本)はなかなか手に取る機会がなさそうなので、先々週、某区立図書館の返却期限に合わせて『永山一郎全集』の取り寄せを依頼して、先週、借りて来たのだった。…

「足要りますか?」(1)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(1) 敬体ではなく常体で「足要るか」のこともあるらしいが、昭和62年(1987)高校1年生のとき、兵庫県立高校で級友から初めて聞かされたときの台詞に従って置く。 私がこの話を思い出したのは、9月9日付「「木曾の…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(04)

・丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(3) 昨日の続きで、典拠である河出書房新社版『日本怪談実話〈全〉』と比較しつつ、丸山氏のリライト振りを確認して置く。記事の題は『日本怪談実話〈全〉』の原題である『新怪談集(実話篇…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(03)

話を検討する場合、私は原典に遡って考察しようと思う。なるべく話の発生時期に近いものを探して、妙な賢しらが加えられていないものを見たいと思う。それが出来ない場合、複数の話を並べて原型を追究しようと思う。だから、どうしても再話・リライトを好き…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(02)

・丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(1) それでは、9月28日付(01)に続きで、私が本書を思い出す切っ掛けとなった、丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』123~125頁「三十一 山で撮影した写真 (大町市…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(131)

・杉村顕道の家系(4) 杉村顕道の父・正謙の回想が『懐旧録』もしくは『杉村正謙懐旧録』の題で、昭和48年(1973)1月に杉村顕道によって刊行されている。国立国会図書館に所蔵されているので見に行こうと思っているが、なかなか国立国会図書館に行く暇が…