瑣事加減

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2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(3)

④小松左京全集完全版34『恋愛博物館/人間博物館/やぶれかぶれ青春記』2009年5月31日第一刷発行・城西国際大学出版会・431頁・A5判仮フランス装 1頁(頁付なし)中扉、3~7頁「目次」3頁(頁付なし)扉、4~7頁は2段組(1段24行)で4~5頁上段8行め「恋愛博…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(2)

昨日の続き。 本作の初出は昭和44年(1969)の雑誌「螢雪時代」連載だが、他にも「螢雪時代」昭和46年5月号付録として、山藤章二のイラストで1冊に纏めたものがオークションサイトに上がっていた。版次としてはこれを⓪とすべきかも知れない。山藤氏のイラス…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(1)

①旺文社文庫『やぶれかぶれ青春記――他五編――』昭和52年7月1日 発 行・226頁・文庫判上製本やぶれかぶれ青春記 (旺文社文庫 66-1)作者:小松 左京メディア: 文庫 私の見た本は〔特製版〕すなわち上製本でカバーは掛かっていない。なお、同じ村上豊で別の装画…

古墳墓の怪(1)

・女七塚の祟り(1) 小沢昭一『わた史発掘 戦争を知っている子供たち』に古い墳墓の祟りの話が載っていた。しかしこの話は世に知られていないらしく、少々内輪めくが古い話でもあるので、紹介して置こうと思ったのである。 『わた史発掘』の諸本は3月25日…

小沢昭一『わた史発掘』(3)

本書が雑誌連載を元にしていることは、読み進めるうちに察せられるのだが、「その十二 道塚篇」の冒頭「反省録」の節の頭に、①単行本172頁3~8行め、②文春文庫184頁3~8行め、③岩波現代文庫194頁3~8行め、改行位置は①「/」②「|」③「\」で示した。 『話の…

小沢昭一『わた史発掘』(2)

前回、①単行本②文春文庫版③岩波現代文庫版の諸本について、カバーの比較を終えたので、今回は本体を比較して置こう。 ①の見返しは横縞の透かしの入った、赤い毛を僅かに漉かし込んだ橙色の紙、但し遊紙の裏からは横縞の透かしが殆ど見えない。次いで白地のマ…

小沢昭一『わた史発掘』(1)

小沢昭一『わた史発掘 戦争を知っている子供たち』 ①単行本(昭和五十三年三月二十日 第一刷・定価一二〇〇円・文藝春秋・360頁・四六判上製本)わた史発掘―戦争を知っている子供たち (1978年)作者:小沢 昭一メディア: -②文春文庫(1987年4月10日 第1刷・…

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(55)

オークションサイトを見るに、緑色のゴシック体横組みの「描いて語って、笑われた。/ビートたけしの絵本」とのトレーシングペーパーの帯が掛かっている①単行本が出品されていた。しかし刷次が分からないし、終了後に閲覧出来なくなるだろうから、リンクは貼ら…

赤いマント(315)

前回まで内容を確認した津留宏『一少女の成長 小さな魂の記録の分析』に私が注目したのは、引用されている菊池登喜子(1929.7.13生、仮名)の日記に、赤マント流言が記録されているからであった。 章立ては3月20日付「津留宏『一少女の成長』(3)」に確認…

津留宏『一少女の成長』(5)

昨日の続きで第一章「一事例研究の試み」の「●3/登喜子の輪郭」から、資料提供者についての情報を抜いて置こう。 この節は、冒頭、25頁3~4行め、 私は登喜子の成長史をたどる前に、一応彼女の経歴、家庭状況、身体発育、学業成績等の全体/的概観を述べて…

津留宏『一少女の成長』(4)

昨日の続きで、第一章「一事例研究の試み」から、津留氏に資料を提供した人物・菊池登喜子(仮名)及び資料の内容と性質について確認して置こう。 「●1/問題と方法」の冒頭の段落、8頁3~4行め、 これは一人の少女の成長過程の発達心理学的考察である。私…

津留宏『一少女の成長』(3)

本書の初版『一少女の成長を見る 教育心理学的考察』は、一応増刷もされていて昭和25年(1950)版と昭和26年(1951)版があるようだ。但し判型や頁数(228頁)は同じである。都内の公立図書館では昭和25年(1950)版が国立国会図書館と東京都立多摩図書館に…

津留宏『一少女の成長』(2)

本書再刊の事情、いや成立の事情も、3~4頁「改訂新版まえがき」に述べてある。末尾、4頁12行めに下寄せで「六甲山寓にて 津留 宏」とあり1行分空けて13行め3字下げでやや小さく「昭 和 五 十 五 年 六 月」とある。 3頁8行め~4頁5行め、 大学を終えて、あ…

津留宏『一少女の成長』(1)

・津留宏『一少女の成長 小さな魂の記録の分析』一九八〇年七月二五日発行・定価 一、四〇〇円・ナツメ社・246頁・四六判上製本一少女の成長―小さな魂の記録の分析 (1980年)作者:津留 宏メディア: - 1~2頁「初版まえがき」は末尾、2頁14行めに下寄せでやや…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(6)

昨日に続いて、奥野健男『北杜夫の文学世界』から当ブログの記事の参考になりそうな箇所を見て置きましょう。 2020年11月1日付「赤いマント(294)」に、ブラジルの日本語日刊新聞「ニッケイ新聞」のサイト「ニッケイ新聞WEB」の2007年6月27日付「作家・北杜…

赤いマント(314)

昨日まで『北杜夫の文学世界』について検討したのは、対談での、赤マントについての発言と、次回取り上げるタヒチの日本人についての発言を、使いたいと思ったからである。 すなわち、巻頭に収録される「原っぱの文学」に添えられた、〝しゃべり下し〟対談に…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(5)

昨日は「あとがき」に見える本書編集の切っ掛け、著者の奥野氏、対象である北氏、そして編集者の宮脇氏の3人の関係について見て終わってしまったが、今回は「あとがき」の後半から、具体的な内容に関する記述を見て置こう。①169頁②201頁8行め~①170頁②202頁6…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(4)

私は資料として使おうと思った書物について、異版がある場合、一応、諸本を確認してその本の由来や改訂箇所など、版ごとの特色なりを確認して置くことにしていて、当ブログはその備忘録みたいなものである。もちろん異版と云うなら、初出まで確認して置きた…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(3)

一昨日からの、①単行本と②文庫版の比較の続き。 ①は1頁白紙があって奥付。殆ど余白で下部に明朝体横組みで、太い横線の上に3行、1行め左詰めで大きく標題、右詰めで「定価 680 円」、2行めはやや小さく、左詰めで印刷日、3字分空けて発行日、3字分空けてさら…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(2)

昨日の続きで①単行本と②文庫版の比較。 ①の見返し(遊紙)は緑色、同じ厚みのベージュ色の扉、上部にカバー表紙と同じ明朝体横組みの標題と著者名が、縮小されてやや下に入っている。最下部中央の版元名は同じ大きさ・位置。やはりカバー表紙と同じ柄が黄土…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(1)

①単行本(昭和53年1月30日印刷・昭和53年2月10日発行・定価680円・中央公論社・173頁・四六判上製本)北杜夫の文学世界 (1978年)作者:奥野 健男メディア: -②中公文庫(昭和五十七年 三 月二十五日印刷・昭和五十七年 四 月 十 日発行・定価 三二〇円・中…

能美金之助『江戸ッ子百話』(9)

本書は、2月26日付(2)に示した『上』の細目にあるように「第一話」が昭和31年(1956)5月9日、そして2月27日付(3)に示した『下』の細目にて「第百話」が昭和45年(1970)9月、14年余りを経て達成されたことが分かります。「第六話」までは月2話のペー…

能美金之助『江戸ッ子百話』(8)

昨日の続きで、鶴見俊輔『不定形の思想』所収「小さな雑誌」一九六一年八月条について、本書『上』と対照させながら、内容を確認して置こう。 鶴見氏はさらに2話、夏にちなんだ話題を取り上げている。 すなわち、254頁上段~下段6行めに(第二十四話、「江戸っ…

能美金之助『江戸ッ子百話』(7)

一昨日からの続きで、鶴見俊輔『不定形の思想』所収「小さな雑誌」一九六一年八月条について、本書『上』と対照させながら、内容を確認して置こう。 次いで、253頁下段6~11行め、 この実話をよむと、ふだん電車の窓から見ていておぼえ/ている景色に、おく…

能美金之助『江戸ッ子百話』(6)

昨日の続きで、鶴見俊輔『不定形の思想』所収「小さな雑誌」、初出は中央公論社から刊行されていた第四次「思想の科学」の「日本の地下水」、一九六一年八月条について、本書『上』の鶴見俊輔「『江戸ッ子百話』の読者として」などと対照させながら、内容を…

能美金之助『江戸ッ子百話』(5)

昨日の続きで鶴見俊輔『不定形の思想』の「小さな雑誌」について。――「思想の科学」が中央公論社から刊行されていたのは昭和34年(1959)から昭和36年(1961)までの3年間である。本書『上』1~2頁、鶴見俊輔「『江戸ッ子百話』の読者として」に「それから十…

能美金之助『江戸ッ子百話』(4)

本書にはその成立事情を窺わせる記述が殆どなく、僅かに2月25日付(1)に引いた『上』1~2頁、鶴見俊輔「『江戸ッ子百話』の読者として」の記述があるばかりであった。そこで2月26日付(2)に『上』、2月27日付(3)に『下』の細目と初出年時を示し、鶴見…

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(54)

その後①並製本の五十版を見た。既に見ている七四版との異同は奥付の「初版発行」に次の行が「五十版発行――――一九八五年八月三日」となっていること。この日付は銀河テレビ小説「たけしくんハイ!」最終回放送の翌日である。そして「七四版発行」が「一九八五…

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(53)

・①並製本と②上製本(太田出版・B6判) ②は「愛蔵版」と銘打っているように、①をハードカバーにしたものである。しかしそのままではない。以下、2月28日付(51)にメモしたカバーに続いて、本体の異同をメモして置く。 見返し(遊紙)の用紙は①淡い灰色、②茶…

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(52)

2月28日付(51)の続きで、③文庫版について。 ・新潮文庫5441(1) 初刷と六刷を並べて見た。異同のみメモして置く。 カバーは表紙のみ一致。①②84~87頁「とうちゃんとのキャッチボール」の85頁挿絵を人物間を詰めて使用。 カバー背表紙、最下部が初刷「520…