瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2021-01-01から1年間の記事一覧

赤いマント(327)

・五木寛之の赤マント(15) 昨日の続き。 それでは、①上製本『日本の民話 12 現代の民話』の「私の民話論 生きている民話」=②文庫版『日本の民話⑫ 現代の民話』の「私の民話論/――生きている民話――」から、当該箇所を抜いて置こう。①249頁3~20行め(改行…

赤いマント(326)

・五木寛之の赤マント(14) 五木寛之が接した赤マント流言については、2020年10月22日付(284)に一応の纏めをして置いた。昭和14年(1939)京城の三坂小学校1年生のとき「赤マント青マント」の噂に怯えたものと思われる。 五木氏は、2020年10月8日付(273…

白馬岳の雪女(089)

さて、石崎氏は日本の民話55『越中の民話』第二集の丁度2年後に、4月26日付「石崎直義 編著『越中の伝説』(1)」に見た『越中の伝説』を著しており、4月29日付「石崎直義 編著『越中の伝説』(4)」に見たように、3章め「怪異伝説」の1節め「妖怪変化」の…

白馬岳の雪女(088)

・日本の民話55『越中の民話』第二集(3) 一昨日からの続きで、本書に収録される富山県下新川郡朝日町の大井四郎の語った(とされる)「雪女」について、同じ頃に富山県中新川郡立山町で語られていた(らしい)『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』…

白馬岳の雪女(087)

昨日の続き。 ・日本の民話55『越中の民話』第二集(2) 伊藤稿との一番大きな違いは登場人物に名前のあることで、ミノキチ(蓑吉)とその父の茂作が猟師の親子で、そしてミノキチの妻は小雪である。これは青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』に合致する。…

白馬岳の雪女(086)

・日本の民話55『越中の民話』第二集(1) さて、遠田勝『〈転生〉する物語』に、『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』とともに取り上げられ、11月14日付(080)・11月15日付(081)・11月16日付(082)に見て来たように、やや恣意的な評価がなされて…

日本の民話55『越中の民話』第二集(4)

一昨日からの続きで、最後の4章めを見て置こう。 213頁(頁付なし)扉「九十歳の老媼七話/ ――話手 小矢部市埴生 上田はる(明治十七年生)」。 【80】嫁さになりそこなった蛇娘(215~218頁)挿絵215頁左上 【81】鴨川へ流れていった桃太郎(219~221頁) …

日本の民話55『越中の民話』第二集(3)

昨日の続きで、2章めと3章めを見て置く。 73頁(頁付なし)2章め「海の子守りうた」の扉。 【24】狐退治(75~76頁) 話手 氷見市南大町 余川久太郎 【25】蛸と鯛と茄子の山遊び(77~78頁)挿絵77頁上 話手 氷見市南大町 余川久太郎 【26】魚のけんかの仲裁…

日本の民話55『越中の民話』第二集(2)

2019年12月22日付(1)に①上製本と④並製本(オンデマンド版)についてメモして置いた。①上製本のカバーについては2020年3月14日付「日本の民話35『越中の民話』(4)」に、色違いの第一集カバーと比較しつつメモしてある。 1~2頁「は し が き」から内容…

日本の民話35『越中の民話』(6)

昨日の続き。 137頁(頁付なし)「呉 西 地 方」の扉、138頁(頁付なし)の左下に「高 岡 市 新 湊 市 氷 見 市/礪 波 市 小矢部市 東礪波郡/西礪波郡 射 水 郡」。要領は昨日に同じ。 【45】天までとどいた竹の子〔西礪波郡〕139~148頁(挿絵139頁上) …

日本の民話35『越中の民話』(5)

カバーについて2020年3月14日付(4)にて、2020年3月11日付(3)に見た①上製本第一刷と比較した①上製本第七刷に拠って、細目を見て置くこととしたい。扉や奥付については2019年12月21日付(1)にメモして置いた。 1~2頁「はしがき」の内容については2019…

日本の民話1『信濃の民話』(14)

10月22日付(10)の最後に書名だけメモして置いた、次の本を見た。 ・松谷みよ子・曽根喜一・水谷章三・久保進 編『戦後人形劇史の証言――太郎座の記録――』一九八二年四月一九日発行・一声社・334頁・四六判上製本 表紙は丸背の赤い布装、背表紙に黒の明朝体…

白馬岳の雪女(085)

昨日の続き。 ・『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』(5) 橘正典『雪女の悲しみ』は10月7日付(066)に触れたように「139 雪女」の類話2を取り上げていたから、典型話も、類話1も、橘氏は見ていたはずである。しかし、取り上げていない。この辺り…

白馬岳の雪女(084)

昨日の続き。 ・『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』(4) やはり「伊藤稿」を見たいものである。しかしながら『日本昔話通観』に提供したためか、結局刊行されなかったようだ。――伊藤曙覧の旧蔵書は、小杉町民図書館(現・射水市中央図書館)と、住…

白馬岳の雪女(083)

さて、ここで遠田勝が取り上げている、富山県の2話のうち、まづ8の『日本昔話通観』第十一巻を見て置こう。 ・『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』(3) 本書については10月6日付(065)に概要を示した。 そして10月7日付(066)に見たように、「13…

白馬岳の雪女(082)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(41)「五」1節め⑦ 昨日は何とか投稿したものの、余裕がなく、その後手を入れてそれなりに整えたものの、意を尽していない。 要するに、――全国的には松谷みよ子の再話で有名になったのだろうが、地元・長野県では胡桃沢友男の…

白馬岳の雪女(081)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(40)「五」1節め⑥ 昨日の続き。 しかし、遠田氏は越中・富山県側の伝承(?)事情を調べようともしない。いや、その後、8月1日付(005)に見たように黒部川の支流・黒薙川の十六人谷伝説に注目し、富山大学のシンポジウムに参…

白馬岳の雪女(080)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(39)「五」1節め⑤ 引用は11月9日付(078)の続き、7 石崎直義 編『越中の民話』第二集(1974年)に載る「雪女」(富山県下新川郡朝日町)と8『日本昔話通観』第十一巻(1981年)に載る「雪女」(富山県中新川郡立山町)の2話…

白馬岳の雪女(079)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(38)「五」1節め④ 11月9日付(078)に、遠田氏が「こんな再話」呼ばわりした『日本伝説傑作選』の中山光義「白馬の雪女」を、「口碑あるいは古い伝説として記録されたものであること」を条件にした「白馬岳の雪女伝説のリスト…

日本児童ペンクラブ『日本伝説傑作選』(3)

本書を確認しようと思ったのは、本書に載る「白馬の雪女」を、8月22日付「白馬岳の雪女(026)」に見たように、遠田勝『〈転生〉する物語』が白馬岳の雪女伝説の「口碑あるいは古い伝説として記録されたもの」としてリストアップしたものに含めていたからで…

日本児童ペンクラブ『日本伝説傑作選』(2)

昨日の続き。 内容は大きく2つの章に分けられている。 7頁(頁付なし)「怨霊と怪奇の世界」の章の扉。 9頁(頁付なし)1節め「怨 霊 伝 説」の扉。章・節の扉ともに上部中央に明朝体縦組み、節の方はやや小さく、章の方は太字。 10頁、3字下げ3行取りで1話…

日本児童ペンクラブ『日本伝説傑作選』(1)

・和歌森太郎・二反長半 共編『日本伝説傑作選』昭和四十九年三月三十日 初版第一刷発行・定価1200円・第三文明社・235頁・四六判上製本日本伝説傑作選 (1974年)第三文明社Amazon 一昨年に都内2つの区立図書館で借りた。今手許にあるものはカバーがない。現…

白馬岳の雪女(078)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(37)「五」1節め③ 一昨日の続きで101頁7~9行め、『日本伝説傑作選』へのコメントを見て置こう。 6の「白馬の雪女」(『日本伝説傑作選』)は、松谷みよ子と同じく、村沢武夫の「雪女郎の正体」/を原拠とする、職業作家の手に…

白馬岳の雪女(077)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(36)「五」1節め② 昨日の続き。 遠田氏が『アルプスの民話』に気付いた理由だが、一草舎版『山の伝説』を見たからだろう。 本書は一草舎版『山の伝説』には触れていないが、9月10日付(043)に引いた注にて、村沢武夫の伝記的…

白馬岳の雪女(076)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(35)「五」1節め① 「第一部 旅するモチーフ」=「小泉八雲と日本の民話――「雪女」を中心に」の最後の章は、100頁4行め~129頁「五 遠野への道」と題されている。その最後は1行分空けて129頁8行め、 こうして「雪女」は、遠野…

白石實三『武藏野から大東京へ』(1)

昨日の続き。 中島悦次が「雪女」伝説の資料として言及していた白石實三(1886.11.11~1937.12.2)の連載「武藏野から大東京へ」はその後書籍化されている。 ①中央公論社版『武藏野から大東京へ』昭 和 八 年 三 月 十 九 日 印 刷・昭 和 八 年 三 月二十四…

中島悦次『傳説の誕生』(4)

さて、本書9章め「傳説雪女」については、「あとがき」三二九頁3行めに「 同 「傳説雪女」 昭和 八・ 二・ 八(水) 後六・二五―六・五五」とあって、昭和8年(1933)2月8日水曜日の18時25分から55分に日本放送協会東京放送局(JOAK)の第一放送「趣味講座「傳説…

中島悦次『傳説の誕生』(3)

一昨日の続きで「あとがき」からラジオ放送について触れた箇所を見て置こう。 三二八頁5行め、12字下げで「〇」を打って区切って、6~7行め、 尚、今日まで私がJOAKからした傳説に關する講演放送は次のやうなものである。但し、この中で〇印は/本書に除…

中島悦次『傳説の誕生』(2)

昨日の補足。 中島氏の祖父と父だが、オークションサイトの説明に以下のようにあった。 森廣陵 もり・こうりょう。(明治七・1874~大正十・1921)は名廉、本姓中島、前橋の南宗画家、霞巌の子。寺崎廣業の門人。 出典を示していないが美術関係の人名事典か…

中島悦次『傳説の誕生』(1)

遠田氏の意見には承服し兼ねる点が多々あるものの、信越にハーン張りの「雪女」が定着し、多摩には定着しなかったのは事実である。当時の気候からして多摩でも「雪女」に語られていた状況があり得た、とする主張も間々目にするが、雪の殆ど積もらない地域に…