瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

赤いマント(363)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(5) 本書の中に赤マント流言のことはもう1箇所、この「E 迷 信 の 傳 播」の章の結論を述べた、三四〇頁2行め~三四三頁5行め「5 迷信の傳播に關する學説の批判」の節の最後に、持ち出されている。この節は…

赤いマント(362)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(4) 次に来るのは、三三四~三三八頁「3 宗教及び傳承の傳播の文獻的研究」で、「序説」の「研究の範圍」では「民族的研究―その穩和傳播型―」の次にあった「民族的研究―その急激傳播型―」は、飛ばされた恰好…

赤いマント(361)

一昨日からの続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(3) この研究の目的、経過、調査方法、調査対象、期間等は三~九九頁「序説」に説明されている。 当初、この「序説」の内容についても細かく確認する必要があると思って、それが私をして本書を取り上げ…

赤いマント(360)

昨日の続き。 ・關寛之『日本兒童宗教の研究』(2) 関寛之(1890.12.3~1962.12.23)の伝記については、当時筑波大学大学院博士課程芸術学研究科芸術学専攻の大学院生だった茨城大学教育学部学校教育教員養成課程教科教育コース美術教育教室教授・向野康江…

赤いマント(359)

昨日見た「大日」第二百三十四號掲載の水島爾保布「巢鴨より」の続きは、別の流言の紹介になる。赤マント流言そのものには特に戦時色は指摘出来ないが、続いて紹介される2種類の流言は戦時色を色濃く湛えている。思い当たる資料及び先行研究の全てに目を通す…

赤いマント(358)

昨日の続き。 ・「大日」第二百三十四號(昭和十五年 十 月廿八日 印刷納本・昭和十五年十一月 一 日 發 行・定 價 金 參 拾 錢・八二頁) 七五~七六頁*1、水島爾保布「巢鴨より」は全体が流言を扱ったものとなっている。冒頭から中段13行めまで抜いて置こ…

赤いマント(357)

水島爾保布(1884.12.8~1958.12.30)のことは、次の文庫本で知っているだけだった。人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫 た 30-11)作者:谷崎 潤一郎中央公論新社Amazon だから随筆家であったことも知らなかったのだが、昭和6年(1931)2月15日創刊、昭和20年(194…

赤いマント(356)

・『新聞活殺劔』第三篇(昭和十四年十一月二十七日印刷・昭和十四年十二月 一 日發行・【定價金壹圓】・精華書房・297頁) 表紙には朱で銅器の拓本の如き絵、文字は右からの横書きの毛筆楷書で上部の子持枠に「劔殺活聞新/生 鱈 愚」中央揃え、恐らく標題…

赤いマント(355)

・前田鐵之助 編纂『全日本詩集』2/第二卷/昭和十四年度/1939版(昭和十四年八月十日印刷・昭和十四年八月廿日發行・定 價 壹圓八拾錢・詩洋社(発賣所 上田屋書店)・328頁 前田鐵之助(1896.4.1~1977.11.18)編纂、詩洋社版『全日本詩集』は昭和1…

赤いマント(354)

・松原寛 編輯「新生活」第四卷 第六號/六月號(昭和十四年五月 五 日印刷・昭和十四年五月十八日發行・誌代 貳拾錢・新生活社・66頁) 27頁、吉田三代治「都市教室(自由律短歌)」最後の7首めが、 TOKYO 燻製の空の知性 ヒラヒラ赤マントなど 羽搏い…

赤いマント(353)

・川柳きやり吟社「川柳きやり」第二十卷第五號/―214― /五月號(昭和十四年 四 月廿五日印刷納本・昭和十四年 五 月 一 日 發 行・定價 金二十五錢・52頁) 川柳きやり吟社は大正9年(1920)4月に村田鯛坊が設立した川柳の結社で2020年4月に100周年を迎…

道了堂(118)

・広坂朋信『東京怪談ディテクション――都市伝説の現場検証』 この本は2016年8月30日付「広坂朋信『東京怪談ディテクション』(1)」に述べたように、典拠を明示した怪談検証本として前々から本格的に取り上げるつもりだったが、その典拠が明示してある=典…

赤いマント(352)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(7)生年月日⑰ 木村氏は昭和5年(1930)生説を採っているけれども、最後の「第十二章 別れの音楽会」でも、196頁6~7行め、 冒頭にも書いたが、私が竹中労さんと初めて出会ったのが二十五歳の時。その時、竹中さんは/三…

赤いマント(351)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(6)生年月日⑯ 続いて136頁5行め、「 教師に対しても反抗的だった。小学五年生の時、新校舎が落成した。‥‥」以下、労少年が起こした2つの事件を紹介する。 小学5年生であれば父・竹中英太郎に引き取られた後、鮫浜小学校…

赤いマント(350)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(5)生年月日⑮ 大体無計画に(全く無計画と云う訳ではないが)書いているので2月10日付(346)に触れた「青春遊泳ノート」を取り上げるのが遅くなってしまった。 この「漫画アクション」の連載、『青春遊泳ノート』に収…

赤いマント(349)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(4)生年月日⑭ 昨日「対決・硬骨の二人」に触れて、竹中英太郎が長男・労が「昭和五年生まれ」と明言するところは引用されていないと述べたが、この対談について述べた箇所には、なかなか興味深い記述がある。167頁9~13…

赤いマント(348)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(3)生年月日⑬ 昨日の続きで、木村氏が昭和3年(1928)生説を採用せず、昭和5年(1930)生説に従った理由を見て置こう。 82頁1~2行め「‥‥、初めての訪沖のことは「メモ・沖縄/一九六九」に次のように記されている。」…

赤いマント(347)

・木村聖哉『竹中労・無頼の哀しみ』(2)生年月日⑫ 昨日の続きで、年齢に関する記述を見て置こう。 木村氏は「はじめに」で、7頁3~4行め「‥‥、一九九一年(平成三年)に六十歳でこの世を去った。」とする。8頁2~4行め、 竹中さんの本名は「労」だが、通称…

赤いマント(346)

続いて、1月24日付(338)に引いた鈴木邦男『竹中労』に、鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』とともに挙がっていた「父親の本」を取り上げようと思ったのだが、その前に『風のアナキスト』と同じ版元から出た、やはり竹中労と一緒に仕事をした経験のある人の…

赤いマント(345)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(4)生年月日⑪ 昨日の続き。 さて、鈴木氏は続く「レポート1/竹中労のアナキズム」にて、恐らくこの本人による「臍の緒書き」に従って、昭和3年生として竹中氏の年齢を整理する。33頁2~3行め、 三十九歳(六七年)、…

赤いマント(344)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(3)生年月日⑩ 昨日の続きで、本書から竹中労の生年(月日)に関係する記述を抜いて置こう。 まづ「序 竹中労の語り口」、8頁3~4行めに、 竹中労の演説を初めて聞いたのは、七三年五月の神田共立講堂「大演説会」。お…

赤いマント(343)

・鈴木義昭『風のアナキスト 竹中労』(2)生年月日⑨ 1月24日付(338)に引いた鈴木邦男『竹中労』に「竹中労については、ともかく詳しいし、何でも知っている」と云う鈴木義昭の書いた「竹中労の本」、先月中旬には借りていて、竹中氏の年齢に関わりそうな…

道了堂(117)

昨日取り上げた柴田隆行 編集兼発行「片倉の自然」及びその臨時増刊号「絹の道―歴史と自然―」から、道了堂に関する記述を抜いて置こう。但し昨年12月に僅かな時間に取ったメモに基づいているので、誤りがあるかも知れない。かつ、もう少し他の項目についても…

柴田隆行『片倉の自然』(6)

1月21日付(5)の続き。 さて、1月17日付(1)に引いた「改訂版あとがき」にあった、「片倉の自然環境」の変化による「改訂版」は結局刊行されなかった。それは「まだ資料不足」と云うより昭和60年(1985)から柴田氏が、従来の東洋大学に加えて神奈川大学…

赤いマント(342)

・山口瞳『男性自身』(2) 昨日の続きで「男性自身シリーズ」で赤マント流言に触れた箇所を見て置こう。2つ見付けているが両方とも男性自身シリーズ2『ポケットの穴』に収録されている。 29~33頁、この本の5篇め、連載の回数では61回(1965年2月1日号)…

赤いマント(341)

・山口瞳『男性自身』四六判並製本 山口瞳(1926.1.19~1995.8.30)も赤マント流言についてそのエッセイ『男性自身』で触れている。 ・男性自身シリーズ1『男性自身』昭和 四 十 年 七 月二十日発 行・昭和 六 十 年 五 月二十日二十一刷・定 価 八八〇円・…

先崎昭雄『昭和初期情念史』(7)

本書を取り上げた目的は一応昨日の記事で達成された。また機会があれば取り上げたいと思っているが、今回は1月30日付(6)の補足と、若干の地理的考証を済ませて置こう。 筑土鈴寛のことは「終 章 上野の森の空のかなたに」にも、274頁1~4行め、 その裏手…

赤いマント(340)

・先崎昭雄『昭和初期情念史』(2) 本書では220~244頁「第19章 子どもと戦争責任」で、赤マント流言を取り上げているのだけれども、流言ではなく近所の少年のホラ話と云う扱いになっている。少々長くなるがこの少年の紹介から抜いて置こう。1行分空白があ…