瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

地理

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(8)

1頁白紙があって396~407頁「喜多川周之 著作および活動の目録」になる。ここに挙がっている雑誌や記事の多くは、所蔵している機関に出向かないと閲覧出来ないものが殆どのようだ。見に行こうか? いや、元より私は十二階に興味があると云うより、本書第三章…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(7)

昨日は佐藤氏が敢えて「第四章」を立てたことに対する共鳴から与太話になってしまったが、今日はその第四章の内容をもう少し見て置きたい。 265頁(頁付なし)が章の扉で裏は白紙、267頁から2段組の本文で第三章までは設けられていた脚註欄はない。編年体で…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(12)

・濱本浩「塔の眺め」(8) ここで一旦、添田知道「十二階の記憶」から離れて「塔の眺め」に戻ろう。32頁下段11行め~33頁上段9行め、 ‥‥。ところで、最近になつ/て、田山花袋氏の著書の中に思ひがけなく「十二階の眺め」な/る一項があつた。早速讀んでみる…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(11)

・濱本浩「塔の眺め」(7) 一昨日からの添田知道「十二階の記憶」の検討の続き。39頁中段22行め~下段13行め、 だからこれは「だまかした」といふ/のとは些か違ふ。濱本氏にも此の通り/【39中】話したのであつたが、それが「十階目/の飴屋をだまかした…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(10)

・濱本浩「塔の眺め」(6) 昨日の最後に引いた添田知道「十二階の記憶」の続きを見て置こう。38頁上段14行め~中段7行め、 結局作品の中には使はないでもすん/でしまつた「十二階から信濃の山が見/えるか」といふことに就いて、あれだ/けの苦勞をしてゐ…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(09)

・濱本浩「塔の眺め」(5) 昨日取り上げた「十二階の斜塔」問題には、実はもう少々資料があるのだけれども、濱本氏の文章の関連では『淺草』1冊で十分なので、後回しにして先に進もう。 続く段落に添田知道(さつき)が登場する。32頁上段17行め~下段11行…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(8)

・濱本浩「塔の眺め」(4) 昨日の続き。31頁下段19行め~32頁上段16行め、 ところが、ある日、某大學の出版部から出た、ある著名な/淺草研究家の著書を見て居ると、十二階のことを斜塔と書き/【31下】この斜塔の上の紅い燈は千住の大橋から、隅田川の船…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(7)

・濱本浩「塔の眺め」(3) 一昨日からの続きで、31頁上段12行め~下段6行め、 ところが、では何の邊まで見へましたでせう? ときくと/僕も見たことがないから知らぬがね、との返答であつた。貴/君のやうな淺草通が塔の眺めを知らぬのはをかしいではない…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(6)

・濱本浩「塔の眺め」(2) さて、「塔の眺め」に戻ろう。以下しばらく、凌雲閣十二階から何処まで見渡せたのか、32頁下段8行めまで、濱本氏の調査が綴られている。今回は31頁上段11行めまで抜いて置こう。 そこで登つたことのありさうな知人に就て確めやう…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(5)

・濱本浩「塔の眺め」(1) 昨日の続き。――佐藤健二の纏めた「喜多川周之「十二階凌雲閣」問わず語り」に拠ると、喜多川周之(1911.6.9~1986.11.13)は昭和35年(1960)頃に、添田知道(1902.6.14~1980.3.18)から濱本浩(1891.4.20~1959.3.12)が自分の…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(5)

第三章「「十二階凌雲閣」問わず語り」については、細目を示して置きたいようにも思うのだが、どうもこのところ先月に比べれば随分涼しくはなったけれども、湿度は高いままで、どうにも草臥れたままである。よって直ちに本題に入ろうと思う。 この第三章の大…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(4)

本書の主人公とも云うべき喜多川周之との関わりについては、9月17日付(1)に述べたるように、第三章「「十二階凌雲閣」問わず語り」の前置きに纏めてある。 前置きの1項め、175頁12行め~178頁14行め「都市の故老」に拠れば、佐藤氏が喜多川氏に初めて会っ…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(3)

一昨日の続き。 9月17日付(1)に引いた「あとがき」に、佐藤氏本人が述べているように「いささか風変わり」で「すこし破格」な本書は、すんなり計画が進んで刊行された訳ではないらしい。410頁8~11行め、 この本はすでに暗示しているように、いくつかの出…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(1)

石角春之助 編輯「江戸と東京」は近隣の市の図書館にある復刻版を初め、第一冊と第四冊を昨年の9月下旬に借り*1、10月上旬に第二冊と第三冊を借りて2週間ほど全4冊揃えて眺め、それから10月20日に第一冊と第四冊を返却したのだが、序でに書架にて関連しそう…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(3)

前回の補足。 佐藤氏が「追悼号の斎藤の回想(㉗)」と云っているのは、第六卷第一號16~17頁中段9行め(復刻第四冊278~279頁)に収録される斎藤昌三「風の如き春之助君」であるが、この文章は次の本に再録されている。 ・少雨叟第六随筆集『書齋隨歩』昭和…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(1)

・小木新造 監修/槌田満文・大串夏身・佐藤健二・吉見俊哉 編集・解説『復刻『江戸と東京』全四冊』一九九一年四月二五日 初版第一刷・明石書店・A5判上製本 以下の書影は全て函の背だが、私は公立図書館蔵書を見たので函は見ていない。 ・第一冊(522頁)…

祖母の遺品(11)

・若山家の関東大震災(10)佐藤歯科医院③明治 9月9日付(09)の続き。 当ブログは翌日の記事を投稿するくらいまで、特に断らずに加筆修正している。投稿後に眺めると編集画面では気付かなかったアラが目に付く。かつ、ここまで書いて置こうと思っても入力し…

祖母の遺品(09)

・若山家の関東大震災(8)佐藤歯科医院②昭和 昨日の記事に追加しようかと思ったのだが、かなり長くなりそうなので別に投稿することにする。9月6日付(06)に紹介した、祖母の母方の叔父・竹内久雄が当時勤務していた「福島県桑折町/佐藤歯科」の考証だが…

祖母の遺品(08)

・若山家の関東大震災(7)佐藤歯科医院①大正後期 昨日の続きで一昨日紹介した竹内久雄書簡に見えた、竹内久雄の勤務先「福島縣桑折町/佐藤歯科」について、当時の状況を少々考証して見よう。 ・齋 熊椎 編『現代の福嶋』大正七年五月二十九日印刷・大正七…

祖母の遺品(07)

・若山家の関東大震災(6)竹内久雄と奈良家 登場人物が少々増えてきたところで、少し考証を試みて置こう。――以前であれば、Google での各種検索、公立図書館や大学図書館で下調べを重ねて、国立国会図書館に行って見当を付けて出納してもらっては少しずつ…

道了堂(120)

この記事はまだ祖母宅の整理を本格化させる前の6月に借りた雑誌と書籍について、返却期限が迫ったため7月13日にメモだけは取って置こうと作成したものの、御覧の通りこれと云った情報もないので「投稿すべきものがないときに投稿」として放って置いたのだが…

祖母の遺品(04)

・若山家の関東大震災(3) 昨日紹介した、大正12年(1923)8月末の次兄からの葉書に混ざって、次の2通があった。 ・若山善太郎宛「12.9.3」消印若山一同葉書 表に「朝鮮羅南本町/第五九號官舍/若山善太郎様」額面に消印、読みづらいが日付は「12.9.3…

赤堀又次郎伝記考証(059)

・赤堀象万侶⑪ウルル 赤堀又次郎の父・赤堀象万侶についてはまだ分からないことばかりである。今は見出した少ない資料からその経歴・交遊圏を辿って行くばかりである。 ・「風俗畫報」第二十號(明治二十三年九月十日刊行・定價/一部金拾錢・東陽堂編輯所・…

祖母の蔵書(147)歴史雑誌

昨日の山本周五郎は昨年来の懸案(?)だった。クローゼットの奥に纏めてあるのを見付けたときには随分沢山あるような気がしたのだが、数えてみると19冊で、他に保存されていたものと合わせても32冊である*1。昨年、ベテランの古本屋に相談に行った際、言下…

祖母の蔵書(137)植物

祖母は動物が苦手で、家人の家で飼っていた犬*1にも最後まで親しまなかったし、――かつてしばらく体調を崩したときに見舞に来た姪(姉の娘)が、叔母さまは本が好きだから、と見舞の品として絵本を買ったのだが、直前になって叔母さま、鼠が嫌いだったわ、と…

祖母の蔵書(128)戸板康二①

戸板康二の本は以前論文を書くのに使ったこともあり、残して置いても良いかと思って新しい本から持ち帰っていたのだが、祖母はエッセイ・小説ともに愛読していてかなりの数があった。図書館で用が足りることも確かである。そこで思い切って処分することにし…

祖母の蔵書(109)有吉佐和子①

有吉佐和子の本は、客間クローゼット右側の3段めに11冊纏めてあった。 ・『断弦』昭和32年11月10日 第1刷発行・昭和32年12月1日 第2刷発行・¥ 280・講談社・286頁・四六判上製本*1 ※ カバー、帯。 ・『出雲の阿国』中央公論社・四六判上製本函入 『上之…

祖母の蔵書(106)松本清張②

松本清張の文庫本は2022年9月7日付(042)に纏めてある。松本氏の著書の多さに比べるとそれ程の数でもない。昨日、いよいよ単行本を整理する段になって、目に付くところにあったものを段ボールに収めた。まだ見落としがあるかも知れない。その追加を見越して…

祖母の蔵書(101)少女小説

祖母は少女小説を愛好していた。『赤毛のアン』シリーズは既に取り上げた。吉屋信子は少女小説に限らずかなりの冊数があるので、別に取り上げよう。ここには点数の少ない作家の分を纏めて置こう。 【松田瓊子】 松田瓊子(1916.3.19~1940.1.13)は野村胡堂…

祖母の蔵書(79)組紐①

・長沼静『美しい組紐 上』発 行――昭和五十二年一月十五日・1,600円・泰流社・139頁・B5判上製本美しい組紐 上―伝統的な日本の手工芸作者:長沼 静泰流社Amazon・長沼静『美しい組紐 下』発 行――昭和五十二年四月五日・1,600円・泰流社・130頁・B5判上製本美…