瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

昭和史

道了堂(126)

昨日の続き。 ・村下要助『生きている八王子地方の歴史』(2) 本書は一種の奇書として現在でもネット上でたまに取り上げられている。素人の郷土史家・古代史愛好家が一気呵成に書き上げたもので、何だか勢いがある。自分語りが多いが、村下氏のキャラクタ…

道了堂(125)

この辺りで、道了堂や大塚山について、他書に見られない情報及び見解を示している本を取り上げて置こう。 村下要助『生きている八王子地方の歴史』昭和59年5月25日 発行・定価2000円・有峰書店新社・414頁・四六判並製本地下たび族が書いた 生きている八王…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(15)

・エロス堂書店の広告 復刻『江戸と東京』第四冊の佐藤健二「解説3◉『江戸と東京』瞥見――巻頭言と広告を読みながら――」の、370頁上半分を使って掲出されている「表3 広告掲載回数」には、掲載回数の多い「広告主体」が15件挙がるが、うち10件めに「エロス…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(8)

1頁白紙があって396~407頁「喜多川周之 著作および活動の目録」になる。ここに挙がっている雑誌や記事の多くは、所蔵している機関に出向かないと閲覧出来ないものが殆どのようだ。見に行こうか? いや、元より私は十二階に興味があると云うより、本書第三章…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(3)

前回の補足。 佐藤氏が「追悼号の斎藤の回想(㉗)」と云っているのは、第六卷第一號16~17頁中段9行め(復刻第四冊278~279頁)に収録される斎藤昌三「風の如き春之助君」であるが、この文章は次の本に再録されている。 ・少雨叟第六随筆集『書齋隨歩』昭和…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(1)

・小木新造 監修/槌田満文・大串夏身・佐藤健二・吉見俊哉 編集・解説『復刻『江戸と東京』全四冊』一九九一年四月二五日 初版第一刷・明石書店・A5判上製本 以下の書影は全て函の背だが、私は公立図書館蔵書を見たので函は見ていない。 ・第一冊(522頁)…

祖母の遺品(09)

・若山家の関東大震災(8)佐藤歯科医院②昭和 昨日の記事に追加しようかと思ったのだが、かなり長くなりそうなので別に投稿することにする。9月6日付(06)に紹介した、祖母の母方の叔父・竹内久雄が当時勤務していた「福島県桑折町/佐藤歯科」の考証だが…

祖母の蔵書(128)戸板康二①

戸板康二の本は以前論文を書くのに使ったこともあり、残して置いても良いかと思って新しい本から持ち帰っていたのだが、祖母はエッセイ・小説ともに愛読していてかなりの数があった。図書館で用が足りることも確かである。そこで思い切って処分することにし…

祖母の蔵書(117)團伊玖磨

・朝日新聞社の文庫版シリーズ『パイプのけむり』 書影の説明には「朝日文庫」とある*1が、『10』まではまだ朝日文庫と云うレーベル名にはなっていなかった。かつ『2』以降は奥付の後に「朝日新聞社の文庫版シリーズ」の目録があるが『1』は奥付の裏が白紙…

祖母の蔵書(109)有吉佐和子①

有吉佐和子の本は、客間クローゼット右側の3段めに11冊纏めてあった。 ・『断弦』昭和32年11月10日 第1刷発行・昭和32年12月1日 第2刷発行・¥ 280・講談社・286頁・四六判上製本*1 ※ カバー、帯。 ・『出雲の阿国』中央公論社・四六判上製本函入 『上之…

祖母の蔵書(101)少女小説

祖母は少女小説を愛好していた。『赤毛のアン』シリーズは既に取り上げた。吉屋信子は少女小説に限らずかなりの冊数があるので、別に取り上げよう。ここには点数の少ない作家の分を纏めて置こう。 【松田瓊子】 松田瓊子(1916.3.19~1940.1.13)は野村胡堂…

祖母の蔵書(100)内田百閒

寝間の本棚に次の2冊が、硝子扉の中に収まっていた。 ・『東京燒盡』昭和三十年四月十五日印刷・昭和三十年四月二十日發行・定價二八〇圓・大日本雄辯會講談社・261頁・四六判上製本 扉裏に墨書「 百鬼園/松木宣彦様」。 ・平山三郎 編『続百鬼園座談』一九…

祖母の蔵書(79)組紐①

・長沼静『美しい組紐 上』発 行――昭和五十二年一月十五日・1,600円・泰流社・139頁・B5判上製本美しい組紐 上―伝統的な日本の手工芸作者:長沼 静泰流社Amazon・長沼静『美しい組紐 下』発 行――昭和五十二年四月五日・1,600円・泰流社・130頁・B5判上製本美…

祖母の蔵書(58)近代史

・新潮新書001 ドナルド・キーン『明治天皇を語る』2003年4月10日 発行・2003年5月10日 2刷・定価680円・新潮社・189頁明治天皇を語る (新潮新書)作者:ドナルド キーン新潮社Amazon※ 帯あり、書影に同じ。 ※「new/Yonda?/CLUB」巻五つ折、「応募マ…

赤堀又次郎伝記考証(49)

ここで、反町茂雄が「辞書のはなし」で赤堀氏旧蔵『文明六年本節用集』の信頼すべき評価として引いていた、次の本を見て置こう。 ・川瀬一馬『古辭書の研究』大日本雄弁会講談社・口絵+四+三二+九五七頁 国立国会図書館デジタルコレクションでは何故か奥…

赤堀又次郎伝記考証(46)

・赤堀又次郎の歿年(1) 前回、赤堀氏が昭和20年(1945)1月号まで雑誌2誌で言論活動を行っていたことを指摘した。 ・月刊「日本及日本人」第四百三十九號(昭和二十年一月號)(昭和二十年一月五日印刷納本・昭和二十年一月八日發行・定價五拾錢・政教社…

赤堀又次郎伝記考証(45)

・反町茂雄「辞書のはなし」(3) 『反町茂雄文集』はとっくに返却してしまって、俄に確認しに行くことも出来ないのだが、『下』巻末左開き36頁の「索 引」を見るに、1頁左22行めに、 赤堀又次郎 上128 とあること、そして34頁右27~28行めに、 横尾勇之助…

赤堀又次郎伝記考証(44)

・反町茂雄「辞書のはなし」(2) 3月15日付「反町茂雄『一古書肆の思い出』(5)」に参照した『一古書肆の思い出5』編集部 作成「反町茂雄著述目録」の、375頁10~32行め「昭和62年(1987)」条を見るに、375頁25~26行め「5月」条の26行めの方が、 辞…

赤堀又次郎伝記考証(42)

さて、赤堀氏の伝記的な研究としては4月20日付(30)に列挙したブログ記事のうち【⑨書物蔵】が引用する石井敦 編著『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)』の「赤堀又次郎」項が簡略ながら先駆的なもので、次いで2011年にブログ記事【⑦書物蔵】2011-06-30「赤堀…

赤堀又次郎伝記考証(39)

・『書物通の書物随筆』第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』(9) 斎藤精輔『辞書生活五十年史』に関しては昨日で切り上げようと思っていたのだが纏まらなかったので、続き。 稲村徹元(1928生)とは何処かで見たような名前だと思ったら、2022年11月23日付「…

赤堀又次郎伝記考証(24)

・赤堀象万侶⑨赤堀佐渡子・中島セキ 昨日は「群馬県立歴史博物館紀要」第20号掲載「秀郷流赤堀氏の伝承と資料の調査」の、簗瀬大輔が担当した「二 赤堀鉊三郎の記録 ―近世の赤堀氏―」の「(二)今井赤堀氏の系譜」に「前述」されている【赤堀瀬兵衛】に関す…

赤堀又次郎伝記考証(15)

・赤堀秀雅③ 赤堀秀雅の名は、ダイヤモンド社が刊行していた『ポケツト/会社職員録』にも見えている。 ・第四回〔昭和十四年版〕昭和十三年十二月 十 日 印 刷・昭和十三年十二月十三日 發 行・定價二圓五十錢・一四+五+八四五+一四五頁 第三回までは自…

赤堀又次郎伝記考証(14)

・赤堀秀雅② 赤堀氏の子息と思われる(ほぼ間違いないと思っているのだが確証は得ていない)赤堀秀雅について、大学以降の履歴を見て置こう。 ・『京都帝國大學一覽』京都帝國大學 ・〈自大正 九 年/至大正十一年〉大正十年十二月二十八日發行*1・五四二頁 …

赤堀又次郎伝記考証(12)

・反町茂雄『一古書肆の思い出』3 古典籍の奔流横溢(1) 書影や刊年、初出等については3月12日付「反町茂雄『一古書肆の思い出』(2)」に示した。以下単行本を①、平凡社ライブラリー(HL)版を②とし、前者の改行位置を「/」後者のそれを「|」で示す…

赤堀又次郎伝記考証(09)

3月24日付(03)の最後に予告してから随分迂回したが、ここで市谷加賀町の赤堀家を何度となく訪問している人物の回想を見て置こう。 ・反町茂雄『一古書肆の思い出』2 賈を待つ者(1) 書影や刊年、初出等については3月12日付「反町茂雄『一古書肆の思い出…

竹中労の前半生(10)

・竹中英太郎の軍関係の人脈② 昨日及び一昨日の続き。 1月8日付「赤いマント(334)」に引いた「官報」の「株式會社立會鐵工所」設立の記事に見える人物のうち、同居している竹中健助は兄である。竹中英太郎の兄弟については、竹中英太郎の伝記及び竹中労の…

竹中労の前半生(09)

・竹中英太郎の軍関係の人脈① 竹中英太郎は「五日会」に参加していたことが知られているが、年鑑類にもその記述があった。幾つか抜いて置こう。 ・大阪毎日新聞社/東京日日新聞社 共編『昭和八年 毎日年鑑』昭和七年九月十五日 印刷・昭和七年九月二十日 發…

竹中労の前半生(08)

・竹中英太郎の住所① 昨日取り上げた昭和七年版『現代日本名士録』に、竹中英太郎の住所が「中野町西町一五」とあった。竹中英太郎が中野に住んでいたことは、従来知られていなかった(と思う)、 そこで、この頃の竹中英太郎の住所を、年鑑類で確認して見よ…

竹中労の前半生(07)

竹中労の生年、また前半生を辿るには父親の竹中英太郎の伝記を明らかにする必要がある。幸い、国立国会図書館デジタルコレクションが刷新されたことで、従来気付かれていなかった資料に容易に逢着し得るようになった。 ・昭和七年版『現代日本名士録』昭和七…

反町茂雄『一古書肆の思い出』(4)

・奥付裏の目録 編成は第一巻『修業時代』の「おわりに」では全四巻、それが第三巻『古典籍の奔流横溢』の「首に」で、当初『古典籍の奔流横溢』に予定していた内容をもう1冊、第四巻『激流に棹さして』にも回し、当初、最終第四巻に予定していた『賑わいは…