美術史
題に(1)まで遡って「 編」を補った。 ・新版と定本の比較③ 本書は新潮社の「とんぼの本」や、河出書房新社の「ふくろうの本」や「らんぷの本」と同じ作りのビジュアル概説書である。 前回引いた版元HPの紹介文にあったようにオールカラーではない。カラー…
・石沢清『北アルプス白馬ものがたり』(4) 昨日の続き。もっと簡単に見て行くつもりだったのだが遭難記事について少々細かくなってしまった。 3 白馬を愛した人々 【1】お花畑への埋骨の遺書 大阪の染色工芸家「悟道さん」と、蕨平部落の山案内人・松沢…
・石沢清『北アルプス白馬ものがたり』昭和47年12月25日 初版発行・昭和48年4月1日 3版・¥580・信濃路・285+6頁・B6判並製本北アルプス白馬ものがたり (1974年)作者:石沢 清信濃路 東京 農山漁村文化協会Amazon 発行所が社団法人信濃路(長野市)で、発…
・杉村顯『信州百物語』の剽窃本(3) 昨日の続きで、野田悠『信濃奇談夜話』の細目について、「←」で典拠である杉村顯『信州百物語』の話を、仮に附した番号と叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』に収録される本文(281~380頁)の位置を添えて…
・杉村顯『信州百物語』の剽窃本(2) 昨日の続き。 ・野田悠『信濃奇談夜話』昭和六十二年八月六日発行・定価一、二〇〇円・郷土出版社・135頁・四六判並製本 カバー表紙には、上部に八角形の子持枠(3.3×10.8cm)があって、太線(外郭)の内側は白、細線(…
昨日の補足。 中島氏の祖父と父だが、オークションサイトの説明に以下のようにあった。 森廣陵 もり・こうりょう。(明治七・1874~大正十・1921)は名廉、本姓中島、前橋の南宗画家、霞巌の子。寺崎廣業の門人。 出典を示していないが美術関係の人名事典か…
遠田氏の意見には承服し兼ねる点が多々あるものの、信越にハーン張りの「雪女」が定着し、多摩には定着しなかったのは事実である。当時の気候からして多摩でも「雪女」に語られていた状況があり得た、とする主張も間々目にするが、雪の殆ど積もらない地域に…
ここで「信濃の民話」編集委員会について改めて見て置こう。 瀬川拓男・松谷みよ子夫婦は編者で、再話を担当している。 瀬川氏は【1】及び【9】【17】【24】【25】【27】【33】【46】の8話を担当、そうすると松谷氏は「わらべうた」を除く50話のうち42話を担…
昨日の続きで、2019年12月20日付(1)に挙げた諸本のうち①上製本(初版)第一刷にて、内容を見て置こう。排列であるが「はしがき」の昨日引用した箇所に続いて、2頁16~18行め、 次に地域のわけ方については、長野県は、もともと、人文地理的にも自然地理的…
・辺見じゅん「十六人谷」(7) 白馬岳の雪女に関連する話題として、しばらく白馬岳の雪女そっちのけで「十六人谷」を取り上げて来た。 ここで一応の纏めをして置くと、辺見じゅん「十六人谷」は、白馬岳――黒薙川の柳又谷の源流部――の「雪女」を抱き合わせ…
昨日の続き。 続いて「第二部 開拓の歴史」の細目を見て行くつもりだったが、それは秋以降、余裕があるときに果たすこととしたい。 さて、本書に関しては、ネット上には古書店の在庫状況くらいしか情報がない。元の連載についても、何せ北海道版の、40年以上…
・吉田正三について(6) 昨日引用した東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』106頁に「好事家」からの「注文」のことが見えていましたが、まさにそうした需要を満たす吉田氏の画集『千住の吉田政造筆/東京の絵馬』があります。2月上旬に…
・吉田正三について(5) 一昨日からの続きで、東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』105頁16行め~106頁15行めを見て置きましょう。 ‥‥。むか/しは、父親の描いた絵馬を、千住から/池袋あたりまで持っていった。【105】 「雑司ケ谷の…
・吉田正三について(4) 昨日の続きで、東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』104頁1行め~105頁15行めを見て置きましょう。 絵馬は、信心の厚い人が豊作や商売繁昌、病気の全快を祈って神仏に奉納する。たとえば、農業の/神である稲荷…
・吉田正三について(3) 本書は Amazon 等のレビューや、最近でも Twitter の投稿にて、かなり高い評価を得ているようですが、私の評価は否定的なものとなっております。――当ブログではこれまで、駒村氏が当時の都市交通網を考慮に入れていないことを指摘…
当初、4月12日付(1)に続けて「昨日の続き」として投稿するつもりで準備していたのだが、5月13日付「東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(1)」に述べたように本書の6年前に類書が刊行されていたことを知って、そちらを確認してからに…
昨日の続き。 経年劣化もあってかクリーム色っぽく見えるやや厚手の見返し(遊紙)があって、1頁(頁付なし)扉には角の丸い太線の枠(14.4×7.5cm)に横組みで、上部に明朝体で大きく標題「名 人」上にやや小さく「〈町の伝統に生きる人たち〉」下に「東京新…
昨日の続きで①初版、②新版、③定本、④文庫版の関係について。 ・カバー表紙の版画 ①初版は未見だが、前回述べたように本文の図版を元の写真によって新しいものに差し替えた他は②新版と同じであると云う前提で進めて行く。 カバー表紙、①②④は同じ版画を装画に…
昨日の続き。昨日は途中で、過去の記事の誤りを訂正するために脇道に逸れてしまったが、ここで再び、冒頭の「比較文化研究室」の場面に話を戻そう。 壁の本棚の一隅、例のコクヨのスクラップブックと並んで「Seven Stars」がカートンで置いてある。コクヨ ス…
何故『シコふんじゃった。』を思い出したかと云うと、4月13日(月)の晩からしばらく、2014年11月30日付(2)へのアクセスが増えたので、何事かと思ったら、21:00~22:45にBSプレミアムで斎藤道三関連番組(?)として放送されていたのだった。気付いていな…
2019年12月21日付(1)に書影を示した、カバーの掛かった①第一刷を見た。 カバーの地色は深紅で、カバー表紙の左上に白で標題(約12.5×2.5cm)。本体表紙の同じ位置に金文字で入っている標題(約10×2.5cm)に良く似ており、同一人物の筆蹟と思われる。イラ…
2018年4月8日付(1)に挙げた諸版のうち、今手許に⑤平成4年(1992)雄山閣ブックス19と⑦平成16年(2004)新装版、⑧平成28年(2016)雄山閣アーカイブス 歴史篇の3冊がある。今回は口絵(20頁、頁付なし)について見て置こう。 ⑤と⑦はアート紙、⑧は本文共紙…
東雅夫 編『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』の「編者解説」及び『百物語の怪談史』の書き方を見るに、本書には装幀挿画の担当者の名前が入っていないらしい。 そこで、ここに装幀挿画の担当者を明示する資料を紹介したい。確か、6月上旬に「讀賣…
幽クラシックス『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』に収録されている図版について、確認して置こう。昨日紹介した下書き(2014年4月2日)でも、入力するつもりで空白にしていたが、そのままになっていた。 10〜11頁見開きカラー図版は、11頁下左に…
以下は2014年4月2日に準備した下書きで、続きが書けそうになったので若干の注記と追補をして投稿することにした。本当はもっと手を入れたくなったのだが際限がないのでまずは昨年の下書きをほぼそのまま示して置く。 * * * * * * * * * * 本書は以…
もともと古典専攻なので、院生の頃には所蔵先を調べて指導教授に推薦状を書いてもらって大学図書館を通して閲覧申請をして送付されて来た許可状に印鑑を持って、版本や写本や、書簡の類も読んだものである。今は、ネット上にカラー写真で公開している大学や…
昨年は美術館に殆ど行かなかった。「藤牧義夫展」に前期・後期に足を運んだくらいか。かつては面白そうな東京近辺の特別展に出掛けては図録を買ったものだが、今では美術館の閲覧室で見れば良い、という気分で執着がなくなって来た。最近の図録は小ぶりで高…
いよいよ窮して来たので、昨日は古い下書き記事から、書いた当時少し躊躇するところがあって出さなかったものを上げて置いたのだが、今日も9月上旬に書いて、なんとなくそのままになっていた記事を上げて置く。当時、もう少しなんとかしようと思っていたのだ…
上京して(浪人してから)大学に入った当時、先輩や同輩が芳賀書店について思わせ振りな物言いをするのを聞いて、全く予備知識のなかった私はただ、何なのか、と思った記憶があるが、その後、店舗の場所を知ったが中に入ることもなく過ごしている。シネアル…
本書の「第12章 物語は連鎖する」に、これまで度々引用してきた小野忠重による藤牧義夫の評伝「回想の藤牧義夫」の全文を「美術の世界ですっかり認知された藤牧義夫像の原型」として、掲載しています(260〜264頁)。 これは、藤牧氏再評価のきっかけとなっ…