瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「改版」について

 「改版」というカテゴリで記事を書いている。今後、こういう類の記事が多くなるはずである。その理由について、少々説明しておきたい。最近は同じ版をそのまま*1増刷しなくなったというニュースを見たことがある。確かに、図書館の新刊の棚に並んだ中には、過去に出たものと内容は同じで、書名を変えたり一部を改変して「改版」「新装版」と銘打ったりしたものが少なくない。
 こういうのは、正直、困る。利用する側からすれば、内容が同じなら書名を変えないで欲しい。カバーを付け替えたくらいで新装版と名乗らせないで欲しい。中には元版の発行年月日を記載していないのもあって、いつ頃書かれたのだか、その新装版を見ただけでは判断できないようなのもある。
 文庫などに収録されての復刊は喜ばしいが、やはり書名を変更している場合が少なくないし、元版にあった情報をかなり落としているものもある。それには、もちろんそれなりの理由があるのだろうけれども、やはり元版を一々確認しなくても良いような復刊が望ましい。『現代民話考』のところに書いたが、ほぼ同じで一部差し替えがあるのが、一番厄介である。引用や言及のたびに、一々元版にあるか復刊にあるか、確認の必要がある。復刊に増補があったとしても、元版の情報がまるまる残っていれば一々注記する必要はないのだが、出入りがあるとそうは行かない。
 また、著者の死後に書名を(勝手に)変えて復刊する、というケースが少なくないようだが、やはり生前の著者の与えた名前で読みたい。どんなに優れた復刊でも、顔(書名)を書き換えてしまったら、がっかりする。逆に、看板(書名)は同じで中身が違うと騙されたような気分である。
 そんなこんなこで、改版を見かけると、元版と比較して、削除されたり追加されたりした箇所がないか、チェックするのが癖になった。「改版」カテゴリは、そんな読書メモである。しかし、こんなことでも実際に双方を並べて比較する手間が必要な訳で、取り上げた本を必要としない人には何の価値もないが、もし何かの用事があってその本を活用しようという人にとっては、有益な情報にならなくもない、と考えたのである。

*1:2019年1月4日追記】「そのまま」を追加。