瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

上野顕太郎『帽子男』(5)

 講談社版の装幀について見ておく。
 『帽子男は眠れない』のカバーは黒地で、表紙、右上に横書き・金色で「モーニングKCデラックス」その下に縦書き・橙色で「上野顕太郎」、左側に大きく、中央が黄色で左右両脇に行くに従い橙色にグラデーションのついた「帽子男は眠れない」。闇の中に青く浮かび上がる帽子男が縫針に糸を通そうとしている。裏表紙には、中央の窓に諦めたかのように顔を上げる帽子男。これがどんな状況を描いているのか、本体の表紙〜裏表紙に文字で説明されていることは既に述べた。右上に表紙と同じく「モーニングKCデラックス」、左下に横書き・白抜きで「雑誌 46340-48/ISBN4-06-319348-9/C0379 P800E (0)」右下にも白抜きで「講談社〈定価800円/(本体777円)〉」。背表紙は上から「モーニング/KCDX/348」と横書き・白抜きで入り、金色縦書き2行で「帽子男/シリーズ[1]」とあって([ ]は文字囲の代用)その下に大きく標題、やや小さく著者名で色は表紙と同じ。その下に横書き・白抜きで「講談社/800」。カバー表紙折返しには金色で「よーし、読んでみるか! ヒマだからな!! 」とあり、下に掛かるように斜めに子持ち枠の群青色の長方印「超ヘン漫画」が捺してある。裏表紙折返しには上部にピンぼけのカラー写真で礼服姿の「著者実物より30%格好良くしてあります 当社比」が載り、その下に金色で「よーし、もう一度/読んでみるか!/ヒマだからな!!! 」とある。
 『帽子男の子守唄』のカバーも黒地で、表紙、右上に横書き・白抜きで「モーニングKCデラックス」その下に縦書き・黄味を帯びた橙色で「上野顕太郎」、左側に大きく、上が黄色で下に行くに従い赤にグラデーションのついた「帽子男の子守唄」。闇の中に赤く浮かび上がる帽子男が右手に切手をつまんで舌先に着け、左手に「×」封緘をした封筒を持っている。裏表紙には、中央の窓に目を見開き岡本太郎のように両手を構えた帽子男。これがどんな状況を描いているのか、本体の表紙〜裏表紙に文字で説明されていることは既に述べた。上部5cmが白地になっていて、左にバーコードが2段、中央に横書きで「雑誌 46380-17/ISBN4-06-319717-4/C9979 P800E (0)/モーニングKCデラックス/講談社〈定価800円/(本体777円)〉」。背表紙は表紙の絵の中央部がグレーで再現された上に、「モーニング/KCDX/717」と横書き・白抜きで入り、赤・縦書き2行で「帽子男/シリーズ[2]」とあって([ ]は文字囲の代用)その下に大きく標題、やや小さく著者名で色は表紙と同じ(やや淡いがヤケか?)。その下に横書き・白抜きで「講談社/800」。カバー表紙折返しには赤で「よーし、2巻も読んでみるか! ヒマだからな!!! 」とあり、下に掛かるように斜めに灰色の郵便の消印のような円印に「超ヘン漫画」が捺してある。裏表紙折返しには上部に旅館らしき部屋で和服でくつろぐ白黒写真の「著者/(昭和24年〜軽井沢にて)」が載り(キャプションは白抜き)、その下に「よーし、もう一度読んでみるか!ヒマだからな!!! 」とある。
 これまでに記述しなかったことを若干補足しておくと、『帽子男は眠れない』の最終話224頁の右下に横書きで「帽子男シリーズ[2]で会おう!」とある。あとがき(226頁、頁付なし)は名文である。しかしテレビドラマ『あの坂の向こう』というのがこのネット時代になってもよく分からない。奥付の裏は白紙。
 『帽子男の子守唄』210〜211頁(頁付なし)に「あとがき」があるが、この見開きの上部の大半は「帽子男倶楽部」という架空? 読者投稿欄になっている。この「あとがき」は苦し紛れの駄洒落連発のような文章で、帽子男シリーズは以後10余年、断絶するのである。もちろん[3]の予告は見当たらない。ちなみに『帽子男は眠れない』は紙質も良く、厚さが2.0cm、殆ど頁数の変わらない『帽子男の子守唄』が1.2cmしかないのと比較しても歴然としている。内容も充実している。だからこそ、上野氏はこのまま……と思ってしまったのだが、繰り返しになるが全くの杞憂であった。
 以上は、エンターブレイン版『帽子男』には再録されていない。