瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

平山蘆江『東京おぼえ帳』(1)

 ここ数年、この時期は、桜がもう咲くのではないか、そんな暖かさの中にあるのだが、今年はまだまだ寒い。このところ、「暑さ寒さも彼岸まで」の「暑さ」は彼岸の後にも続き、「寒さ」は彼岸より前に解消している、ような気がしていたのに、昨日の帰りは強風で冷え切ってしまった。事実、日本気象協会が3月23日に発表した「桜開花予想〈第5回〉」によると、東京の開花は3月28日で平年並ながら昨年よりは6日遅れ、満開は4月7日の予想で昨年よりも6日、平年よりも2日遅い予想だ。昨年はもう咲いていたのだ。尤も、私は酒盛りが苦手なので、所謂「お花見」をしたことがないし、せいぜい外壕沿いに歩くくらいで、今年もそうしようと思っている。花は、1年に1度しか咲かないから、もう平均寿命生きるとして(そんなに生きるつもりもないが)半分は見たことになる。しかし、半分なんだかどうだか、誰にも分からない。生きていても、見られなくなっているかも知れない。

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 平山蘆江『東京おぼえ帳(ウェッジ文庫)』(二〇〇九年二月二十三日第一刷発行・定価800円・ウェッジ・364頁)は、巻末の編集部「編集附記」に、

・カバー及び本文の手描き文字・挿絵等、できる限り平山蘆江の手になる原著を生かすように努めた。

とあるように、努めて元版の面影を残そうとしている。

東京おぼえ帳 (ウェッジ文庫)

東京おぼえ帳 (ウェッジ文庫)

 このカバー表紙にしてからが、元版の函を写したもので、Google等で「東京おぼえ帳」を画像検索すれば元版の函も見ることが出来る(図書館の蔵書には函はないので、私は函の現物を見たことはない)が、このウェッジ文庫版が「はん元/うぇっじ」としているところが「はん元/住吉書店」となっているだけなのであった(もちろん右下の「ウェッジ文庫」の文字もない)。
 しかしながら、全く同一という訳ではない。若干、スキャナで読み取ったときの誤読と見られる箇所があった*1。それから、元版の住吉書店版にも、初版が375頁あるのに対して再版が378頁という異同がある。ところが図書館はどこからデータをコピペして来るのか、再版を所蔵している図書館もOPACのデータに「ページ数 375」としてしまっている。『遠野のザシキワラシとオシラサマ』の昭和52年(宝文館叢書)版を探していたとき、OPACのデータに「出版年月 1977/シリーズ名 宝文館叢書」とあったので勇んで途中下車して訪ねて書庫請求してみたら、出てきたのはカバーのない昭和49年(1974)版だった、なんてことがあった。これも、実際に所蔵している本を確認して入力しているのではなく、適当に余所の図書館のデータをコピー&ペーストしているが故の混乱であろう。
 それはともかく、ウェッジ文庫版と住吉書店版(初版・再版)の異同について、以下に確認して行きたい。住吉書店版は稀覯書とは言えないが、所蔵している図書館でもたいてい禁帯出となっているので、ウェッジ文庫版と比較しながら、記述して行こうと思う。(以下続稿)

*1:メモを取ったのだが埋没して見当たらないので、見つかり次第追記の予定。