瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Robert Fortune“YEDO AND PEKING”(1)

 スコットランドの植物学者ロバート・フォーチュンRobert Fortune(1812.9.16〜1880.4.13)の著書で、1863年ジョン・マレーから出版された紀行である。
 原文はGoogleブックスで読める。洋書のペーパーバックAmazonに複数挙がっている。なぜこんな同じ表紙で発売日も近接した本が並んで出るのか、よく分からない。どの版が良いのかも分からないし、独自性もないので書影は挙げないで置く。
 邦訳はロバート フォーチュン/三宅馨 訳『江戸と北京 ―英国園芸学者の極東紀行―』(昭和四十四年五月十五日初版発行・定価一、二〇〇円・廣川書店・365頁)があり*1、これを底本にしてロバート・フォーチュン/三宅馨 訳『幕末日本探訪記 江戸と北京講談社学術文庫1308)』(1997年12月10日第1刷発行・定価960円・講談社・363頁)が出ている。
 なお、岡田章雄編『外国人の見た日本 2 幕末・維新』(昭和三十六年七月十五日発行・定価三百九十円・筑摩書房・337頁)に、ごく一部、原書第14章の抄訳が「鎌倉紀行」と題して収録されている(岡田章雄訳)。岡田氏には「ロバート・フォーチュンの見た日本」という文章もある(日本風俗史学会「風俗」3巻4号・昭和39年3月)が、未見。

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 原書と、邦訳の廣川書店版・講談社学術文庫版を対照して行こう。
 原書はGoogleブックスによる閲覧で、現物を手にした訳ではないので参照程度に止め、邦訳の2版をメインに記述することとしたい。
 廣川版は緑色のクロス装・丸背の上製本である。表紙の中央6.3×5.7cmが赤く印刷され、その上に金で草花に囲まれ、富士山とカギになって飛ぶ雁を遠景にして侍の立ち姿(左向き)が描かれる。背表紙、上部に赤で「江戸と北京」と毛筆の筆跡で印刷、その下に金文字で2行「ロバート フォーチュン著/三   宅   馨 訳」とあり、最下部に赤で「HIROKAWA」のロゴマークがある。
 講談社学術文庫版のカバーであるが、今手許にある本は図書館のバーコードが定価表示などの上に貼付されているなど読めない箇所が多いので、後日補うこととしたい。
 廣川版見返しには「日本特産のコウヤマキ Sciadopitys verticillata(p.47,48 参照)/FLORE, JOURNAL GÉNÉRAL D'HORTICULTURE (1862-65)TOME XV.」の細密スケッチが黄緑色(説明の文字も)で印刷されている。これは原書・講談社学術文庫版にはない。裏表紙見返しには「MAP OF JAPAN and NORTH CHINA To illustrate Fortune's Yedo & Peking English Miles」がやはり黄緑色で印刷されている。左下に横書きで「日本および北支の地図 (英マイル)」との訳がやはり黄緑色で、ある。この地図は原書では巻末に折込みになっているが、既に触れた(4月4日付)ように講談社学術文庫版には収録されていない。(以下続稿)

*1:2017年7月19日追記】第六刷(昭和四十四年五月十五日初版発行・昭和五十八年九月二十五日第六刷発行・定価二、〇〇〇円・廣川書店・365頁)を見た。