瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(10)

 1月に(01)から(09)まで上げていたが、その後随分時間が経ってしまった。国会図書館所蔵の雑誌に載る類話について報告するつもりで、原文も筆写し*1記事(10)の前書きも準備していたのだが、私の筆写にどうも脱文があるらしく、折角だからもう一度見て置こうと思っていたら震災やらで国会図書館にも行く機会がなく、そのままになってしまった。そこから児童文学作品に載る類話へと展開し、さらに戯曲「影」やラジオドラマについても述べて行くつもりだったのだが、ただ1点突破出来ないばかりに、約5ヶ月も滞ってしまった。
 で、まだ国会図書館には行かないので、そっちの続きは書けない。今度は別の続きである。

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 「木曾の旅人」について、1月4日付(03)にも引いたが、綺堂の養嗣子経一は『岡本綺堂読物選集』全8巻の「④異妖編 上巻」(昭和44年5月20日発行・定価八五〇円・456頁)の「あとがき」で、「大正十年三月発行(隆文館)の「子供役者の死」にも「木曽の怪談」として載せている。近代異妖編所載のものは更にその改訂である。」と述べていた。
 しかし、この『子供役者の死』掲載の「木曾の怪談」について、報告した人がいないようである。「改訂」といってどの程度違うのか、違わないのか、確認の必要があるだろうと思っていた。それで、先日、見に行って来た。
 結論から言うと、同じものである。『近代異妖編』に収録するために文末などが調整されている程度で、確かに「改訂」である。但し岡本氏の記述は『飛騨の怪談』についてもおかしいのだが、この『子供役者の死』についても誤っており、題名は「木曾の怪談」ではなく、この時点で既に「木曾の旅人」である。どこから「木曾の怪談」との称が出て来たのか、よく分からない。
 初出はそれ以前、3回に分けて雑誌か新聞に掲載されたのではないか、と思っているが、確証はない。とにかく大正10年(1921)以前という見当は付けられたので、尤も私は大正期の通俗小説誌とは殆ど縁がなく上手く行当るとは思えないので、誰かがその気になって探索してくれることを念願している。
 以下、ざっとどの程度違うのか、冒頭と結末とを引いて、比較して見よう。(以下続稿)

*1:但し著作権は切れていないのでそのまま掲載する訳には行かない。