瑣事加減

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鎌倉の案内書(04)

 『楽楽』について、内容が殆ど改訂されていない版が全くの新版を称し、大幅に改訂されている版が単なる改訂版扱いになっていることに疑問を表明して置いたのだが、考えてみれば、こういうシリーズ物は、シリーズ全体のイメージチェンジに伴って、内容に改訂の必要がない場合でも模様替えしただけの「新版」を出すことにもなるのだろう。そうでないときの改版は、どんなに内容が変わっていても「改訂版」なのである。

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 もう少々、『御朱印でめぐる鎌倉の古寺』について、述べて置く。増補改訂版と言いながら全く増補されていない、と文句を言ったのだが、なかなか面白い本である。それだけ初版がうまく出来ていた、ということでもあるし。服装やコースなど準備についても本文中にコラムも挟まれ、実際に歩いて楽しむには十分である。
 まず8〜26頁「鎌倉五山」を紹介し、それから33〜109頁「鎌倉三十三観音」を順に紹介していく。但し五山で紹介済みの観音札所(円覚寺を除く4ヶ寺)は三十三観音の方には入っていない。
 カバー裏表紙の説明文に「住職からのメッセージまで掲載」とあるように、応対した僧侶の発言を記録したところも多く、「掲載全寺院徹底取材」とあるようになかなかリアルなのだが、御朱印帳に寺で記入してもらった日付が記されるため、その写真で取材日が分かる。以下に、巡礼の順番ではなく日付順に並べてみた。
・平成18年(2006)7月15日(土曜日)
  平成十八年七月十五日  第01番杉本寺(44〜45頁)
・平成18年(2006)7月23日(日曜日)
  平成十八年七月廿三日  第07番光触寺(61頁)
  平成十八年七月廿三日  第09番浄妙寺(24〜26頁)
  平成十八年七月二十三日 第12番教恩寺(71頁)
・平成18年(2006)7月24日(月曜日)
  平成十八年七月廿四日  第03番安養院(48〜49頁)
  平成十八年七月廿四日  第14番来迎寺材木座(73頁)
  平成十八年七月廿四日  第15番向福寺(74頁)
  平成十八年七月廿四日  第17番補陀洛寺(78〜79頁)
・平成18年(2006)7月25日(火曜日)
  平成十八年七月廿五日  第06番瑞泉寺(58〜60頁)
  平成十八年七月廿五日  第16番九品寺(76〜77頁)
  平成十八年七月二十五日 第18番光明寺(80〜83頁)
  平成十八年七月二十五日 第20番千手院(86〜87頁)
  平成十八年七月廿五日  第25番浄光明寺(96〜97頁)
・平成18年(2006)7月26日(水曜日)
  平成十八年七月二十六日 第05番来迎寺(西御門)(57頁)
  平成十八年七月廿六日  第10番報国寺(64〜67頁)
  平成十八年七月二十六日 第13番別願寺(72頁)
・平成18年(2006)7月27日(木曜日)
  平成十八年七月廿七日  第21番成就院(88〜89頁)
・平成18年(2006)7月28日(金曜日)
  平成十八年七月廿八日  第26番海蔵寺(100〜101頁)
  平成十八年七月廿八日  第31番浄智寺(21〜23頁)
  平成十八年七月廿八日  第32番東慶寺(105〜107頁)
・平成18年(2006)7月31日(月曜日)
  平成十八年七月三十一日 第27番妙高院(102頁)
  平成十八年七月卅一日  第28番建長寺(10〜13頁)
  平成十八年七月卅一日  第33番仏日庵(108〜109頁)
・平成18年(2006)8月1日(火曜日)
  平成十八年八月一日   第02番宝戒寺(46〜47頁)
  平成十八年八月一日   第19番蓮乗院(84〜85頁)
・平成18年(2006)8月3日(木曜日)
  平成十八年八月三日   第04番長谷寺(50〜53頁)
  平成十八年八月三日   第23番高徳院(93〜95頁)
・平成18年(2006)8月29日(火曜日)
  平成十八年八月二十九日 第29番龍峰院(103頁)
・平成18年(2006)9月1日(金曜日)
  平成十八年九月一日   第24番寿福寺(18〜20頁)
・平成18年(2006)9月5日(火曜日)
  平成十八年九月五日   第22番極楽寺(90〜92頁)
・平成18年(2006)9月17日(日曜日)
  平成十八年九月十七日  第11番延命寺(70頁)
・不明
  日付なし        第08番明王院(62〜63頁)
 32寺しかないが、2〜3頁(横書き)の「目次」の最後(3頁)に「※第三十番明月院は取材許可が得られなかったため、この書籍では紹介しておりません。」とある。
 私は中学の頃、観光地だというので大した由緒のない寺が本に載り、観光地でないというので地元の古寺が殆ど見向きもされないのを嘆いて、夏休みの自由研究で地元の寺社のガイドブックを作成したことがあった。そして、ガイドブックを作る仕事を羨ましく感じたものだったが、今となって、そして17年前にせっせと観光ガイドのチェックをして倦まなかった理由も、その辺りに求められるのかも知れない。特に本書は、そうした、作る愉しみをも窺わせる作りになっていて、私などには面白かった。
 この他に三十三観音以外の「鎌倉五山」の御朱印が若干ある。
  平成十八年七月卅一日   建長寺
  平成十八年七月三十一日  半僧坊(建長寺
  平成十八年七月卅一日   浄智寺
  平成十八年八月十三日   円覚寺(14〜17頁)
 8月13日は日曜日。
 写真は確かに夏らしい。116〜117頁「御朱印こぼれ話」の、116頁の写真は光明寺で朱印を捺してもらっているところ。83頁に掲載されているものと比較してみると、116頁の日付が「七月廿五日」であるのに対し、83頁は「七月二十五日」である。同じ筆跡らしいが何故か微妙に違う。
 ただ、88〜89頁の「成就院」の紫陽花の写真、とても7月下旬の取材時のものとは思えないから、全てが取材時の撮影ではない。しかし、このリアルな取材、ということを考慮するなら、増補改訂版の「初版」を示すだけでなく、平成18年(2006)11月初版の情報は示して置くべきではなかったか。
 光触寺は本文1頁だけで、頬焼阿弥陀に触れるのみ、塩嘗地蔵は122〜123頁「鎌倉御朱印メグリスト」として、122頁「鎌倉七福神/鎌倉十三仏」123頁「鎌倉二十四地蔵尊」が列挙してある(横書き)中に、123頁「第五番   光触寺 塩嘗地蔵尊     鎌倉市十二所793」と見える。