瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(1)

 前回までで『現代の民話・おばけシリーズ』と『ほんとうにあったおばけの話』シリーズについて、収録作品や著者について一通りの確認を済ませた。以下、収録されている話について、見ていくことにしたい。
 このシリーズは実話を扱っているので、怪談史研究家小池壮彦の著述といくつか重なるところがある。

怪奇探偵の実録事件ファイル〈2〉

怪奇探偵の実録事件ファイル〈2〉

 小池壮彦『怪奇探偵の実録事件ファイル2』(2000年7月30日第1版第1刷発行・定価1524円・扶桑社・298頁)。『2』だから『1』がある訳だが、そっちにもいずれ触れることになるだろうから、今回はこちらの書影のみ挙げておく。
 小池氏の本は実証的で、細かいところまでよく調べてあって、民俗学者流の大まかな話よりも私の性に合っているのだが、『怪奇探偵の実録事件ファイル2』には『本当にあったおばけの話⑩』が登場するのである。
 第一章「怪奇探偵、怪奇事件の謎に挑む」(15〜119頁)の1つめ「謎の人骨火葬事件は七人坊主の祟りか?」(16〜59頁)の末尾(59頁)の[参考文献]に「『本当にあったおばけの話10』(偕成社)」と見え、本文20〜23頁に菊池俊「七人ぼうずのたたり」の概要が紹介されている。「人骨火葬事件」は平成6年(1994)8月に起こった騒動で、結局犯人も真相も分からず終いで、小池氏も何ら解決を与えていない。小池氏の調査のきっかけにはなっているが、本題は「七人坊主」の方である。私もこの「謎の人骨火葬事件」には興味はない。
 さて、小池氏に「七人坊主」の伝説と『ほんとうにあったおばけの話』を紹介したのは「あるテレビ番組の恐怖コーナーを担当するディレクターのM氏」で、小池氏の仕事をまとめた怪奇探偵COLLECTION製作委員会のHP「怪奇探偵COLLECTION」の「ワーク>テレビ」に

放映日 番組名〈制作局〉 テーマ 出 典
2002. 1.31 奇跡体験!アンビリバボー〈フジテレビ〉 八丈島人骨火葬事件・七人坊主の祟り 怪奇探偵の実録事件ファイル2

と見えているのが、この本の刊行よりだいぶ後だが「あるテレビ番組」に相当するようである。未見。違うかも知れないが。また同じHPの「ワーク>フォト」の「Photo.3 七人坊主〜皆殺し現場」にこの本に白黒で収録されている写真と未収録の写真が、カラーで示されている。
 「七人坊主」の怪異談というのは、はっきりした年代は不明ながら八丈島に漂着した七人の坊主が餓死させられたという由来譚が前半で、後半はその祟りとされる、昭和27年(1952)の林道工事の崩落事故(死者7名)の話とから成る。小池氏は実際に八丈島に調査に出向くのだが、実のところ、現地を見た、というまでで八丈島訪問で大きな成果があったとは言い難いようである。出かけてみたものの島民たちはあまり話題にしたがらず、はっきりした情報は得られなかった、という体験報告なのである。
 しかしながら、いくつか気になったことがあるので、私はもちろん八丈島に行くつもりはないし、小池氏ほどの調査もしていないので、ほんの瑣事ながらここで確認して置きたい。(以下続稿)