瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(17)

 うっかりして、文庫版第4巻の後半の方を先に上げてしまった。
 手許に単行本第6巻があるので、対照しながら述べてみたい。
 単行本第6巻15頁文庫版第4巻5頁である。そして単行本第6巻186頁文庫版第4巻176頁

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・単行本第6巻4頁は「●今までのあらすじ」であるが、上段19行め「一般票」は「一般票」。なお左下に1コマだけ「どうだね? ほんのちょい役だが出てみる気はあるかね?」とマヤに声を掛けるチーフ助監督の戸田(5頁3コマめ)のコマがある。アイドル歌手田淵エミ初出演・主演映画「白い青春譜」で、オーディションに落ちたマヤは病院の患者の役をすることになるのだが、5〜6頁、役の説明する戸田の台詞のうち、6頁4コマめのうちの「竹村監督はきみ達に演技つけるほどかまってもいられない」が気になる。8月28日付(3)でも注意して置いたように、この映画の監督は「中尾次郎」だったはずだ。単行本第5巻は今手許にないが、10月9日付(11)で対照したときには気付かなかった。やはり名前がここで違ってしまっているようだ。単行本第6巻5頁3コマめに「この方は監督の」とオーディション合格者たちに紹介されている人物は、中尾氏のように見えるのだが、ここのは台詞の続きがないから「中尾」だか「竹村」だか分からない。
・単行本第6巻29頁6コマめ、

演出家の田辺先生:「きみ達は盲かね?」
チーフ助監督の戸田:「え?」


 撮影現場を訪ねて端役をやらされているマヤを目撃してこう言うのだが、文庫版第4巻19頁では、田辺先生の台詞が「きみ達の目はふしあなかね?」と窮屈に入っている。ちなみにこの田辺先生は、単行本第45巻の全日本演劇コンクールの全国大会の審査員席でもメイン扱いで描かれていた人物である。そしてこの田辺先生は次の単行本第6巻30頁でマヤがどんなに凄い少女なのかを戸田に説明する。

演出家の田辺先生:「あの少女はかつて全日本演劇コンクール東京地区予選で/姫川亜弓とその演技で互角にたたかい/しかも一般投票第1位という経歴の持ち主だ/わたしはそのときの審査員の一人だ」
チーフ助監督の戸田:!/


 東京地区予選の説明はいいのだが、「一般投票第1位」は地区予選ではなく全国大会での話である。田辺先生は地区予選の審査員席には見当たらなかった。ここは「しかも全国大会一般投票第1位」とするべきだ。文庫版第4巻20頁もそのままである。
・単行本第6巻5873頁、マヤは中学演劇部で女王役の代役をすることになるが、「女王」のルビが5861頁では「じよ おう」となっている。6474頁は「じよおう」と詰まっている。初め「じようおう」としていたのを「う」を削除したのであろう。文庫版第4巻4851頁では「じよおう」と詰まっている。以下の単行本・文庫版では全て「じよおう」となっている。
・単行本第6巻89頁姫川亜弓主演「王子と乞食」のポスターだが、このうち亜弓さんの乞食姿が、カバー表紙折返しにカラーのカットとして入っている。