瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(19)

 次もやはり断片である。初出77頁、再録では①②46頁、③47頁。

③坊さんが上ってきて、ロッパがオバタという所で六羽鳩を撃ったそうだよ。そいでロッパガオ/
バタと名が付いた。そこでは坊さんと言われない。罰*1があたる。怪我もする。死んだ。
                             (藍ケ江・菊池■蔵・M30生)


 念力で鳥を落とした話は10月18日付(05)で見たように『八丈島の民話』の「七人の坊さん」にあり、また「六ッパが峠」という地名も出てくるのだが、10月19日付(06)に引いたように7人のうち2人が死んだ場所であって、鳥を落としたこととは関連付けられていない。ところで「ロッパオバタ」と「ロッパオバタ」が不統一だが、これは初出と再録で変わっていない。
 さて、「罰があたる。怪我もする。死んだ。」――大沢氏と同じで、知っていて詳細を話していないようだ。もちろん、11月8日付(15)に矢口氏の見解を引用して置いたが、住民も普段「タブー視している」訳だから、急にすらすらと出て来なくてもおかしくはない。そこを、踏み込んで適切な質問をして詳細を引き出すように仕向けていくのが聞き手の腕の見せ所、だと思うのだが、民俗学の調査では聞き手が踏み込んで行っては行けないのだろうか。しかし、こんな断片のままにして、内容の確認を追加してはいけないのでは、私には民俗学的調査というものは出来ないな、とつくづく思う。「坊さん」はどこから来たのか、死ぬまでに何があったのか……。(以下続稿)

*1:ルビ「ばち」。