瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(22)

 金田氏の話の不明瞭な点と言えば「掘ると二つから一人出た。」というのも、よく分からない。分からないところは聞き直すべきだったのではないか、と、どうしても思ってしまう。「録音したものを、そのまま翻字」すれば良いとは、思えない。
 その前の「そういう時には五ケ村が土を掘るんだが」は、小池氏の『怪奇探偵の実録事件ファイル2』33頁に図版として掲載される「南海タイムス」昭和廿七年十一月廿三日付の記事の2段めに該当する記述があるが、文字が小さくて読みづらいので、今度、現物を確認して紹介することにしたい。

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 『八丈島の民話』の浅沼氏には他にもいくつか著書があるのだが、うっかりしていて『流人の島』を見落としていて、漸く今月になって読んで、昨日読み終えた。
 浅沼良次『流人の島―八丈風土記』(昭和34年11月20日初版・昭和38年9月1日改訂再版・昭和40年8月20日改訂三版・昭和42年8月1日改訂四版・昭和43年4月1日改訂五版・昭和44年1月15日改訂六版・昭和44年6月1日改訂七版・定価三〇〇円・日本週報社・215頁)。新書版並製本
 詳しい内容については、追って、初版と改訂版を比較して述べてみたい。ここでは、関係する部分のみ見て行くこととする。
 まず、11月20日付(19)に、矢口氏の紹介する話に見える「ロッパがオバタ」は、浅沼氏『八丈島の民話』の「六ッパが峠」に似ている、と書いたが、『流人の島』185〜198頁「八丈島方言集」の「称呼(人名、地名、天然現象)」の部に、「峠(とうげ) |  おばた」とある(193頁下段)。従って、同じ場所を指していると見て良さそうだ。或いは「峠」と表記した上で「おばた」とルビでも付すつもりであったのが落ちたのか。
 『八丈島の民話』に紹介されている話もいくつか取り上げられているが、七人坊主は104〜117頁「八丈の七不思議」の章の3話めに「たたる七人の坊主」として紹介されている(107頁6〜108頁)。これが数年後の『八丈島の民話』には見えない(つまり、採用しなかった)情報を含んでいるのである。(以下続稿)