瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(19)

 文庫版第4巻の前半、単行本第6巻との対照は11月11日付(17)に示したが、後半単行本第7巻との対照を示していなかった。
 単行本第7巻の巻頭4頁文庫版第4巻176頁。ということは、単行本第6巻の巻末186頁単行本第7巻の巻頭4頁は重複(しているはず)である。文庫版第4巻の巻末311頁単行本第6巻139頁文庫版第5巻の巻頭5頁も同じ頁で重複している。

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 既に突っ込み所は粗方挙げたので、書き忘れていた分(だから少々苦しい)を追加して置く。文庫版第4巻の書影は8月29日付(04)に貼付した。
単行本第7巻50頁5コマめ、マヤの台詞「桜小路くん…」が丸ゴシック体だったが、文庫版第4巻222頁では明朝体に修正されている。
単行本第7巻48頁文庫版第4巻220頁)、桜小路君の紹介で白泉大学演劇科の演劇サークル「自由人」でアルバイトすることになったマヤだが、福音幼稚園での出張公演に団員が交通渋滞のために遅れてしまい(60頁)、大道具とともに先に会場入りしていた(59頁)マヤが、成行で「白雪姫」の一人舞台をすることになる(6176頁)。途中67頁5コマめ、マイクロバスで到着した団員たちが、6コマめ「どうも遅くなりました 子供達大騒ぎでしょう」「どうもすみません 今すぐ仕度しますから」と言うのだが、マヤが園児たちをすっかり惹きつけてしまったため、「白雪姫」が終わるまで待たされることになる。そして小馬鹿にしていた(49頁)マヤの実力に嫉妬するのだが、単行本第7巻76頁文庫版第4巻248頁)6コマめ「白雪姫」を演じ終えたマヤが「ごめんなさい おまちどうさま*1/衣裳の着替え手伝います!」と言うまで、団員たちはうだうだ言いながら突っ立ってマヤを見ていたのだ。――って、お前ら、ただでさえ遅れて来てんだから、勝手に着替えるなり、早く用意しとけや! と、どやしてやりたい。それに幼稚園なんだから、普通そんなに延び延びに出来ないでしょうが。挙句、7879頁でマヤを侮辱する、というか、小さな「あたし達のプライド」が「傷つけ」られたことで、マヤに殆ど言い掛かりに近い、というか言い掛かりでしかない文句を言うのだが、考えてみれば『ガラスの仮面』の登場人物ってこんな連中が多くて、演劇界は小物か、事なかれ主義の大物ばっかなのかと思ってしまう。ここはせめてマヤの演技力を見抜いていた(7476頁)部長(70頁5コマめ)が応対するべきだったろう、きちんと大人らしく、演技して。いや、馬鹿みたいにハッキリ、こんなことを中学生相手に言ってしまった恥ずかしいまでの「自由人」の正直さを買うべきか。――しかし、思い返せば、研究者だって、似たようなものなのであった。でも研究が優れていれば、良いのだろうけど。……いや、優れている訳ないか。

*1:どうでもいいことだが「お待ち遠様」だから「おまちどおさま」が正しい。