瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(27)

 先走って文庫版第9巻に突入してしまったが、ちょっと文庫版第8巻に戻る。
 単行本第13巻152頁以降の大河ドラマ「天の輝き」の「第6回、場面No.31/田沼家」で、156頁、マヤが赤面してしまうのだが、153頁2〜3コマめの岩友武史(里美茂)は、テレビカメラのモニタに映る姿が描かれ、台詞もモニタのスピーカーから発せられることになっている。そのせいか、文庫版第8巻191頁では、単行本では他の台詞と同じく普通の明朝体だったのが、タイポスに改められている。
 このタイポスは12月9日付(25)に引用した速水真澄初白目シーンの、電話越しの声に、単行本でも既に使われていたから、ここではその体裁に合わせた処理と言える訳である。
 しかしながら、文庫版第8巻191頁4コマめ、ここはモニタ越しの描写ではないのに、岩友(里美)の台詞が単行本の明朝体からタイポスに改められている。これでは作者が工夫して切り替えたのを無視した、改悪と言わざるを得ない。
 もちろん、大体は、明朝体と丸ゴシック体が混用されていた心内語を丸ゴシックに統一するなど、良くなっているのだが。だから敢えて言って置きたいのである。

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 単行本第14巻111頁文庫版第9巻23頁)1コマめ以降はまた「里美さん」となっているが、単行本第14巻129頁文庫版第9巻41頁)3コマめ以降の、スタジオ見学に来た桜小路君を里美茂の親衛隊が見つけて声を掛けて煽るシーン、

桜小路:マヤに逃げられ立ちつくす
親衛隊:クククク/クス
親衛隊E:「そうだったの あの子にこんなボーイフレンドがいたとはねえ」
桜小路:「なんだい きみ達は」
洋子:「安心してよ あたし達はあなたの味方よ」
洋子:「あなた もっとしっかりあの子をつかまえておかなきゃダメよ/自分の好きな少女が里美茂におネツなんてスキャンダル記事でてほしくないでしょ」
桜小路:「なんだって!?」
洋子:「大丈夫 わたし達はあなたの味方よ 協力してあげる」ホッホッホ…以上129頁
桜小路:(里見茂…/マヤちゃん…)
マヤ:逃げて走りながら(ごめんなさい ごめんなさい 桜小路くん/だって だって…!/里見さん…!)

という訳で、単行本第14巻130頁1コマめ・2コマめがまた「里見」になっているのだが、文庫版第9巻42頁では「里美」に修正されている。
 ここから後は、単行本第15巻68頁以降に再登場するが、「里美」であって「里見」では出て来ない。
 しかし、里美茂というと、どうしても克美しげるを思い出してしまう。もちろん、克美氏の全盛期を知っている年ではないのだけれども。