瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(31)

 乙部のりえの陰謀も、突っ込みたくなる箇所が満載なのだが、……また改めて書くことにして、今日は、この辺のしょうもないことを指摘して置く。
・単行本第17巻31頁、1頁1コマで雑誌掲載時には1頁めで以下36頁まで巻頭カラーだったらしい(もちろん白黒で印刷されている)。さて31頁は、マヤの代役をこなしてきた乙部のりえが、初めて自分で一から役を演じることになって、開演前にガクガクしている後ろで、亜弓さんが白目で(思いしらせてあげる…!)と念(?)を送っているのだが、よく見ると、乙部のりえの左肩が切れている。文庫版第10巻では185頁、やはり白黒印刷だがこのカラーの部分を単行本よりも濃く刷っているので、乙部のりえの左肩から腋の下の辺りまで、白く心内語の吹き出しがあることがはっきり分かる。何か文字が入っていたはずだが、これは初出誌を見ないと分からないので、どなたか初出で確認して下さい*1
・単行本第17巻127頁文庫版第10巻277頁)、演劇を棄てて逃げ出したマヤは、桜保育園の園長に匿われて働き始めるのだが、次のように園長に紹介される。2〜5コマめ。

園長:「こんど新しくこの保育園のお手伝いをしてもらうことになったマヤさん」
マヤ:「よ よろしく!」
園長:「この保育園の先生方よ」
先生A:「あら あなた誰かに似て…/そういえば名前の方も…/マヤってたしか…」
園長:「世の中に似た人はたくさんいますよ/名前もね/わたしもはじめはまちがえたの」
マヤ:(園長先生…)
園長:「名字は桜保育園の桜さん/仲良くしてあげてね」
先生方:「はあ ? ?」


 5コマめのマヤの心内語、単行本では明朝体だが、文庫版では丸ゴシック体に改められている。
 で、ここのところの突っ込み所は、そういう細かいところではなくて、「桜保育園の桜」で「マヤさん」って、さくらまやかよ! という……もちろん、さくらまやの方が、後なんだけど。本名じゃないし*2
 ちなみに単行本第17巻123頁文庫版第10巻277頁)6コマめに遊園地の警備員の台詞でも「桜保育園」だが、同じ頁の7コマめの表札のみ「さくら保育園」と平仮名になっている。園児向け?
 しかし、今だったら「似た人はたくさん」などという誤魔化しは出来ないだろう。刷ったものを保存して置かないと確認のしようがなかった時代だから、有り得た設定……いや、それでも不自然か?

*1:意図があって削ったのか、それとも事故(剥離)なのか。初出で既に脱落していた可能性も考えられる。

*2:……まさか、とは思うが。