すなわち『小泉八雲集』二十一刷はTV番組「青春アニメ全集」に合わせて臨時に『怪談』と改題されているのだが、これは全くカバーだけの措置で、本体にある標題は『小泉八雲集』のみである。
Wikipediaによると「青春アニメ全集」全35話は、昭和61年(1986)4月25日から12月26日まで、日本テレビ系列で金曜日19時から放映されていた30分番組だというが、見た記憶がない。というか、当時、どんなTV番組を見ていたかあまり記憶していないが、こういう番組は親が見るような番組でないから、やはり見なかったと思う。親が好きで見ていたのは刑事ドラマや時代劇の長寿番組で、小学生の頃、母と炬燵で茶を啜りながら夕方の再放送を見ていた、冬の日の記憶がある。
テレビドラマデータベースによると第16回「怪談〜芳一ものがたり〜」は8月15日放映で、この放映に合わせて、前の月に増刷し臨時のカバーをかけて店頭に並べたということになろう。
表紙折返しには「青春アニメ全集/原作シリーズ」として、「伊豆の踊子………………川端康成」を筆頭に三島由紀夫『潮騒』伊藤左千夫『野菊の墓』堀辰雄『風たちぬ』田中英光『オリンポスの果実』夏目漱石『坊っちゃん』林芙美子『放浪記』森鴎外『舞姫』井上靖『あすなろ物語』久米正雄『学生時代』山本有三『路傍の石』小泉八雲『怪談』泉鏡花『高野聖』樋口一葉『たけくらべ』武者小路実篤『友情』谷崎潤一郎『春琴抄』と来て最後に「………………………………以下続刊」とある。
最終的に何冊になったかだが、ネット古書店「InterBook絶版の森」(澤田諭)の「『新潮文庫』絶版の森(4)」には、この「“青春アニメ全集”原作シリーズ」23巻26冊セットのデータが整理されている。
全部組み直されているが、扉(1頁、頁付なし)、そして3〜8頁(頁付なし)「目次」は組み方も同じ。
内容は、『影』(Shadowings)から5篇、『日本雑記』(A Japanese Miscellany)から5篇、『骨董』(Kottō)から11篇、『怪談』(Kwaidan)から14篇、『天の川物語その他』(The Romance of the Milky Way and Other Studies and Stories)から1篇、『知られぬ日本の面影』(Glimpses of Unfamiliar Japan)から3篇、『東の国より』(Out of the East)から1篇、『心』(Kokoro)から4篇、『仏陀の国の落穂』(Gleanings in Buddha-Fields)から1篇、『霊の日本にて』(In Ghostly Japan)から3篇、合計48篇が訳出されている。
9頁(頁付なし)は中扉で標題、11頁(頁付なし)は「『影』」の扉で、その裏、12頁から本文が始まるのは一致しているが、①は1頁18行、1行43字だったのが②は1行41字になっている分、頁が若干増えて、本文の最後が①380頁が②392頁とずれている。(以下続稿)