瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(03)

・PHP研究所

[新装版]坊っちゃん

[新装版]坊っちゃん

 『[新装版]坊っちゃん』2007年8月16日第1版第1刷発行・定価720円・PHP研究所・223頁。
 黒のビニール表紙にこのカバーがかかっている。本体の背表紙には金文字で著者名や書名が入っているらしいがカバーのために読めない。カバー背表紙には表紙にある文字が上部に「夏目漱石《新装版》坊っちゃん」の順で入り、下部に「PHP」とある。カバー裏表紙にはバーコード2つと13桁のISBNコード、「定価:本体720円(税別)」と左上を白く抜いたところに入れている。見返しは黄土色、扉は表紙と同じ文字が、標題のみ青で他の文字は黒で入り、下駄(白黒)は上に下向きで写っている。下部中央に「PHP」と黒で入る。1頁(頁付なし)は「[新装版]坊っちゃん【目次】」の扉で、その裏の2頁(頁付なし)に目次。3頁(頁付なし)が中扉で明朝体太字で縦組み「坊っちゃん」。5頁から本文で頁付もある。1頁13行、1行34字。ルビは頁によっては半分くらいの漢字に附されている。本文は217頁までで最後に(明治三十九年四月)とある。
 218頁は末尾に(編集部)とある編集の方針で、以下のようにある。

 底本には初出である『ホトトギス』九巻七号附録(明治三十九年)の複製版(日本近代文/学館、昭和四十八年)を用いた(そのため、漱石自身による原稿とは異同がある)。
 その上で、読者の便宜を図るため、
 ●旧仮名遣いを現代仮名遣いに改める
 ●漢字の旧字体新字体(あるいは現在一般的に用いられている字体)に改める
 ●適宜、漢字にルビをふる
 という表記がえを行った。
 誤植、欠字などについて、鑑賞の上で支障があるようなものは、他のテキストに基づい/て修正を行った(漢字の誤植については[ママ]として、ルビで補った)。
 また、一部の語句については簡単な注釈を加えた。


 注は以下の頁に、下部に横組みで1つ、時に2つある。10・11・23・26・30・35・42・43・63・70・71・74・75・76・97・116(2つ)・124・134・140・146・160・162(2つ)・163・168(2つ)・177・179・181・184・186(2つ)・187・191・200頁。
 219〜223頁「附録 僕の昔」という談話が載る。1頁18行、1行41字。最後、223頁に以下のような(編集部)の校訂方針が示される。

底本には初出である『趣味』第二巻第二号(明治四十年・易風社)を用いた。
その上で、読者の便宜を図るため、本文・ルビともに
 ●旧仮名遣いを現代仮名遣いに改める
 ●漢字の旧字体新字体(あるいは現在一般的に用いられている字体)に改める
という表記がえを行った。
誤植と思われるものも、すべて底本のままとした。

とあって、総ルビである。なかなか慎重な校訂方針というべきである。
 その裏が奥付。新装版とあるが、これ以前にPHP研究所から『坊っちゃん』が出ていた訳ではなく、本書が従来の『坊っちゃん』諸本に対する「新装版」というつもりらしい。