瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『硝子戸の中』の文庫本(3)

新潮文庫373(3)
 残りの部分だが、では紅野敏郎「注解」101〜108頁と荒正人「解説」109〜120頁であったが、③④大野淳一「注解」117〜133頁122〜144頁と石原千秋「解説」134〜142頁145〜155頁に差し替えられている。
 紅野氏の注は1頁20行、通し番号で(一)から(八三)まで。大野氏の注は1頁21行、1行48字、通し番号ではなくページごとに示され、215項。は1頁18行、1行43字。
 荒氏「解説」は、まず「内容を主にして」この「三十九編」の「小品文」を(1)〜(31)に整理している(111頁6行めまで)。それから『硝子戸の中』の「中」は「うち」と読むのか「なか」と読むのかの議論をして、「うち」が正しいが「なか」も許容されるとする(112頁2行めまで)。それから談話「文士の生活」(「大阪朝日新聞」大正三・三・二十二)や「夏目伸六氏の教示」によって漱石の家について述べ(113頁10行めまで)、そして113頁11行め「以下、一つ一つについて、注釈ないし感想を記しておきたい。」として、119頁15行めまで箇条書きで主として感想が述べられている。最後の2行(119頁17行め〜120頁1行め)は次の作品『道草』の予告編と受け取れぬこともない、というまとめ。組み方は本文と同じ。
 石原氏「解説」は漱石の生涯や文学の中に於ける本作の位置などを考察した作品論となっている。1頁17行、1行40字。1頁16行、1行38字。末尾に(平成十二年九月、成城大学教授)とある。
 以下の部分、まず五十七刷と八十二刷について、比較してみる。
 「文字づかいについて」は同文。その裏から広告で五十七刷は1頁め『明暗』『草枕』『虞美人草』『彼岸過迄』『行人』『こころ』、次の頁が『吾輩は猫である』『倫敦塔・幻影の盾』『坊っちゃん』『三四郎』『それから』『門』、その次が森鴎外の『雁』『青年』『ヰタ・セクスアリス』『阿部一族舞姫』『山椒大夫高瀬舟』と山崎正和『鴎外 闘う家長』、八十二刷では漱石の作品16点『吾輩は猫である』『倫敦塔・幻影の盾』『坊っちゃん』『三四郎』『それから』『門』、『草枕』『虞美人草』『彼岸過迄』『行人』『こころ』『道草』、『二百十日・野分』『坑夫』『文鳥夢十夜』『明暗』と水村美苗『続 明暗』と山崎正和『鴎外 闘う家長』で3頁、それから「新潮文庫最新刊」が3頁あるのは共通。
 奥付のレイアウトは同じである。違いとしては、葡萄のマークの色が濃かったのが薄くなったこと、分類番号が「草10=15」から「な− 1 −15」に、「定価はカバーに表示してあります。」が「価格は……」に、「乱丁・落丁本」の送付先が「小社通信係宛」だったのが「小社読者係宛」に変わっていることなど。
 ③④の「表記について」は同文。はその裏が奥付だが、は白紙1頁を挟んで「新潮文庫最新刊」が2頁、そして奥付。