瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目伸六『父夏目漱石』(03)

 以下、章題とポケット文春版/文春文庫版の頁を列挙して置く。また、文春文庫版には新たに語注が附されているが、その数も書き添えて置いた。「父 夏目漱石」9〜21頁/7〜20頁、「父の日記と子供達」22〜31頁/21〜30頁(2)、「面会日」32〜40頁/31〜43頁(17)、「父と中村是公さん」41〜46頁/44〜50頁(4)、「「文鳥」」47〜51頁/51〜55頁(1)、「一葉と漱石の原稿料」52〜63頁/56〜72頁(15)、「「草枕」の出来るまで」64〜79頁/73〜91頁(12)、「英語嫌いの漱石」80〜92頁/92〜106頁(5)、「父の手紙と森田さん」93〜121頁/107〜137頁(6)、「「道草」の頃」122〜128頁/138〜144頁、「博士嫌いと夏目博士」129〜145頁/145〜162頁(4)、「父の書画」146〜163頁/163〜182頁(13)、「漱石の母とその里」164〜177頁/183〜197頁。
 組み方が同じなのに頁がずれているのは、前回指摘したように漢字を開き、また多いものでは注が4頁分も追加されたりしたためである。章題はポケット文春版では1行めにやや大きく入れて6行分空白、文春文庫版では章題の前後3行ずつ空白にしているので、その分でのズレはない。
 さて、初刊本ではこの「漱石の母とその里」が最後になっている。文春文庫版の章末(197頁)には、他の章の通し番号の語注ではなく、以下のような評価や謬説の由来についての注がある。

* この一篇は、漱石の母千枝の出自を確定したことで、漱石文献中、もっとも重要なものであ/る。一八六頁に引用されている小宮豊隆の一文は、漱石の伝記としては、今日でもほとんど決定/版といえる『夏目漱石』の第九章「母」からであるが、(岩波文庫版、上巻一〇九頁以下)この/部分は、漱石夫人鏡子の話に基づいてなされているために、誤ったとされている。


 残りの7章は夏目伸六『猫の墓』(昭和三十五年六月二十日発行・定価二五〇円・文藝春秋新社・246頁)から採られている。「「猫の墓」」178〜193頁*1/198〜214頁(1)、「父の家族と道楽の血」194〜217頁/215〜239頁(3)、「父の胃病と「則天去私」」218〜237頁/240〜259頁、「父・臨終の前後」238〜251頁/260〜274頁(5)、「晴衣」252〜259頁/275〜283頁(1)、「母のこと」260〜273頁/284〜297頁、「墓標の下」274〜289頁/298〜313頁(2)。
 ポケット文春版は、1頁白紙を挟んで奥付。奥付の裏はポケット文春の広告で林孝子『パリの主婦 東京の主婦』奥野信太郎『中国艶ばなし』斎藤弘吉『愛犬ものがたり』松田道雄『小児科医の眼』の4点。文春文庫は奥付、その裏に「文春文庫 最新刊」12点の目録、第1刷では下段の4番目に本書が挙がる。この目録の紹介文は、カバー裏表紙右上にある紹介文のうち、「――著者」として示される引用の後に附された3行と同文。カバー裏表紙の7行ある引用は、ポケット文春版のカバー裏表紙に引かれる「父の半面」の一節に同じ。「父の半面」は初刊本にはあるが以後の版には採られていない。(以下続稿)

*1:奇数頁の左上に柱(ヘッダ)があるが、179頁から191頁までは「「猫の墓」」となっているのだが、193頁のみ「猫 の 墓」となっている。