瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(06)

・角川文庫13390(1)

坊っちゃん (角川文庫)

坊っちゃん (角川文庫)

 223頁、定価286円。
 現在のAmazon詳細ページの書影*1。「79」という番号を引き継がず新しい番号が振られているが、奥付には「昭和三十年一月二十日初版発行」とある。
 私は改版初版と改版九版を見た。奥付には、前者は初版の発行日と「平成十六年五月二十五日改版初版発行」とを示し、後者には初版と改版初版の発行日と「平成二十年五月十五日改版九版発行」を示している*2
 カバー表紙は同じだが、カバー背表紙は細かいところが違う。改版初版では角川文庫79の改版八十五版と同じレイアウトで、定価が「Y286」となっているだけであったが、改版九版ではQRコードがなくなって「な 1-2」のみになっている。これは或いは、QRコードの表示が、書店で雑誌や書籍の中身を携帯電話で撮影するという問題行為の言い逃れに使われかねないと思ったからか。
 カバー裏表紙、改版初版はISBNコード・定価など変わっているがレイアウトは角川文庫79の改版八十五版に同じ。紹介文は14行に増え、作品の紹介も細かくなっている他、最後に「……、不朽の名作。解説、/年譜のほか、本書の内容がすぐ/にわかる〈あらすじ〉つき。」とあって、付録の充実ぶりが強調されている。
 改版九版のカバー裏表紙は左上のバーコード2つの下にISBNコードがあり、改版初版は10桁だったのが13桁になっている。紹介文はこのバーコードとISBNコードと定価の右にゴシック体横組みで14行、1行14字で改版初版と同文。
 カバー裏表紙折返し、改版初版は角川文庫79の改版八十五版と同じレイアウトで「角川文庫夏目漱石の本」として(●は○に囲まれる)2段組、上段は『彼岸過迄』が抜けて『道草』まで、下段は『文鳥夢十夜・永日小品』のみ、計11点。左下に「カバー 泉文社」、右下隅にKBマーク。
 改版九版ではゴシック体横組みで「角川文庫」横線、「夏目漱石の本」二重線、以下11点でこれは改版初版と同じ。右下隅にKBマーク。印刷者は表示されていない。
 カバー表紙折返し、角川文庫79の改版八十五版と同じ写真で、改版初版では紹介文を8行にはしょって、簡略にし過ぎている。「明治」で入れていた年を西暦にして、生年を入れたのは良いが没年月日を省くなど、どうも基準がよく分からない。改版九版は横組みにして、24行(1行17字)で学歴なども年を年号・西暦併記で細かく示している。下部、改版初版では右寄りに、改版九版では左寄りに、横組みで「伊藤秀男」とある。(以下続稿)

*1:8月15日追記】今年夏の、てぬぐい専門店「かまわぬ」コラボレーションによる和柄スペシャルカバー15点のうちの1つに入って、現在書影が変わっている。この記事を書いた当時の書影はなか見!検索で(今のところ)確認出来る。

*2:2013年3月6日追記】改版八版を見た。今、手許に改版初版があるが、カバーは改版初版に一致。奥付は今手許にないが恐らく改版九版と同じで発行日が「平成十九年五月二十日改版八版発行」となっている他、改版初版とは異同が多い。目録類はない。【2016年6月12日追記】改版十一版(奥付「平成二十一年八月 十 日 改版十一版発行」)を見た。カバーは改版九版と同じもののようである。