瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目鏡子『漱石の思ひ出』(1)

 岩波書店から単行本が未だに刊行されているが、まず文庫本から見て置く。

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・角川文庫740(1)
夏目鏡子/松岡譲 筆録『漱石の思い出』431頁。
 改版六版・改版十七版・改版二十一版を見た。奥付にはそれぞれの版の発行日「昭和四十九年七月三十日改版六版発行」「昭和五十七年四月三十日改版十七版発行」「昭和六十一年四月三十日改版二十一版発行」の前に「昭和四十一年三月二十日初版発行/昭和四十五年一月三十日九版発行」の2行があるが、例によって九版の発行日を示す理由がよく分からない。
 カバー表紙は同じ。背表紙は一番下の定価以外は同じで上部に標題、中央に「夏目鏡子」、下部にゴシック体で「角川文庫 緑 1 ―」一番下に定価があって「¥300」→「460」→「540」と変遷している。
 カバー裏表紙、改版六版は最下部左寄りに「[¥300]   0195-100201-00946(2)」とある。改版十七版は最下部左寄りに「定価460円   0195-100201-0946(5)」とあるが、改版二十一刷は上部に「ISBN4-04-100201-X C0195 \540E 定価540円」とある。改版二十一刷のカバー折返しは切除されていて不明。改版六版・改版十七刷の表紙折返しは上部に横組みで「漱石の思い出」紹介文9行、1行17字。改版六版はその下は余白になっているが、改版十七版には月刊誌「野性時代」の広告がある。改版六版は右下に縦組み明朝体で「カバー 栃折久美子」とあるが、改版十七版は最下部右寄りに横組みゴシック体で「カバー 栃折久美子」とある。栃折氏のカバーはこのころの角川文庫の漱石作品に共通のもの。カバー裏表紙折返しは改版十七版のみ完全で「角川文庫夏目漱石作品集」として15種が挙がる。右下にKBマーク、左下に小さく「カバー 暁美術印刷」とある。改版六版は切除されているが、残っている文字から推して改版十七版と同じであったらしい。*1
 奥付の裏は角川源義「角川文庫発刊に際して」だが、改版二十一版では組み直されており、双辺の匡郭の角に改版六版・改版十七版には隙間があるのに対し、改版二十一版は繋がっている。続いて改版六版「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1973年6月」の(2)頁から(7)頁まで、改版十七版「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1981年7月」の(2)頁から(14)頁まで、3段組で書名と著者名を列挙する*2が、(2)頁の上段は漱石作品と本書がまず並ぶ。これはカバー裏表紙折返しとほぼ同じだが、改版六版は15点揃っているのに対し、改版十七版の方は折返しの5番めに挙がっていた「坑夫」がなくなっている。改版十七版の(14)頁の裏は「角川文庫 最新刊」で9種13冊が並ぶ。改版二十一版の「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1985年8月」は(2)〜(5)頁と「角川文庫 最新刊」1頁10点で計20点*3。この改版二十一版の(2)頁では、改版十七版折返しの9番め「彼岸過迄」10番め「行人」15番め「硝子戸の中」もなくなって、11点と本書になっている。これら3種の目録には、以下列挙される漱石以外の作品にももちろん出入りがある。(以下続稿)

*1:11月15日追記】改版二十一版のカバー折返しの残存しているものを見た。表紙折返しは広告が「月刊カドカワ」になっている他は改版十七版と同じらしい。この「月刊カドカワ」の広告、また裏表紙折返しの「角川文庫夏目漱石作品集」が11点になっていることなどは、3月20日付「夏目漱石『三四郎』の文庫本(1)」に紹介した、同年刊の角川文庫271『三四郎』九十八版と同じである。

*2:もっと古い時期の「角川文庫目録」に入っていた定価は既になくなっている。

*3:私の見た本は途中に脱落した頁があるようにも見える。【11月15日追記】その後見た改版二十一版も脱落があるようにも見えるが、やはり同じ編成なので、そう見えるだけらしい。