・旺文社文庫(3)
2月6日付(09)の続きで、旺文社文庫『李陵・弟子・山月記』とその改版の上製本『李陵・山月記(愛と青春の名作集)』の比較。
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文庫版では続いて170〜172頁に、井上靖「「李陵」と「山月記」」がある。最後にやはり5行「筆者紹介」があるが「「天平の甍」で芸術推奨文部大臣賞」とあるのは「芸術選奨文部大臣賞」の誤りである。
次に173〜178頁に岩田一男「横浜時代の中島 敦」がある。上製本にはない。『中島敦全集』別巻(二〇〇二年五月二〇日初版第一刷発行・筑摩書房・528頁)の179〜260頁「回想」のうちに203〜206頁「横浜時代の中島敦」として再録されている。
- 作者: 高橋英夫,鷺只雄,勝又浩,川村湊
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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さて、岩田氏との交渉につき、この『中島敦全集』別巻を眺めてみるに、297〜490頁「来簡」すなわち中島氏が受信したもののうちに464〜466頁「岩田一男書簡」が以下の6通紹介されている。
1 昭和十三年四月十四日
2 昭和十三年十二月十日
3 昭和十四年七月二十八日
4 昭和十五年二月十八日
5 昭和十七年九月十八日
6 昭和十七年十月四日
いずれも小樽からで、宛先は横浜(1〜4)世田谷(56)である。従って「横浜時代」の参考にはならない。
中島敦からの書簡は『中島敦全集』3(二〇〇二年二月二〇日初版第一刷発行・筑摩書房・692頁)503〜671頁「書簡」に282通収録されているが、岩田氏宛は1通、71番(昭和十三年五月十一日)があるのみ(542〜544頁)*1。
- 作者: 中島敦
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鷺只雄「解題」673〜692頁の最後(692頁)、「中島書簡の受信人」について「一言ずつ……ふれ」た中に「岩田一男は東京外国語大の出身で横浜高女の同僚、英語担当、昭和十三年に小樽高商に転じ、のち一橋大学教授」とある。『別巻』464頁の「岩田一男書簡」1によると昭和13年(1938)4月10日に小樽に着いている。小樽高等商業学校は現在の小樽商科大学。