瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

新小説「怪談百物語」(03)

 この特集を再録するちくま文庫版『百物語怪談会』について。まだ「新小説」は見ていません。書影は2011年3月23日付(01)に挙げました。この「怪談百物語」が如何なるものであるかは、この(01)と2011年3月24日付(02)に述べました。
 他にも述べたいことがあるのですが、今回は、この『百物語怪談会』の第三刷までを並べて見る機会がありましたので、これについて記述して置こうと思います。
・二〇〇七年七月十日第一刷発行
・二〇〇七年七月三十日第二刷発行
・二〇〇九年二月五日第三刷発行

・二〇一一年七月十五日第四刷発行*1
 いずれも定価880円、346頁。第一刷から第三刷まで、カバーは同じらしいです。これはカバー裏表紙折返しの「ちくま文庫から」と題する目録に「文豪怪談傑作選(全7巻)    東 雅 夫 編」とあって、5番めに載る本書が「特別篇 百物語怪談会(7月刊)」そして「柳田國男集 幽冥談(8月刊)三島由紀夫集 月澹荘綺譚(9月刊)」とあることからの判断です。第二刷までならこれで良いのですが、第三刷には相応しくありません。カバーを多めに作り過ぎてしまい、1年半後にも余っていた、ということなのでしょう。第一刷の段階でそんなに多く作っていたのか、それとも早々に(20日後!)増刷することとなったため、第二刷に際して作り過ぎてしまったものか、の、いづれかだと思われます。
 さて、異同ですが「編集付記」と奥付の間の見開き2つ(4頁)のちくま文庫の解説付の目録が第三刷で彼此違っているのはともかくとして、わかりやすいところでは331〜330頁(横組み)の【著者紹介】が違っています。早くも第二刷に際して、第一刷で不明としていたところが追加されているのです。
怪談会
・331頁15行め「鏑木清方夫人(?-?)」→「鏑木清方夫人(1886?-1970)名は照(画家都筑眞琴の妹)」
怪談百物語
・330頁8行め「宮崎一雨(みやざき・いちう ?-?)児童文学者」→「宮崎一雨(みやざき・いちう 1886?-?)本名・侃 児童文学者」*2
・330頁10行め「柴田つる(しばた・つる ?-?)」→「柴田つる(しばた・つる 1884?-?)」
・330頁11行め「富士松加賀太夫(ふじまつかがだゆう ?-?)」→「富士松加賀太夫(ふじまつかがだゆう 1856-1930)新内節太夫(七世)」
 第一刷では330頁の下部に「*連絡先不明のため著作権継承者の掲載許可をいただいていない作品が/あります。お心当たりのある方は編集部にご一報下さい。」とあったのが、第二刷ではこれに加えて「*紀田順一郎氏、高遠弘美氏より貴重なご教示を賜りました。記して深/謝します。」と追記しています。すなわち、第一刷刊行直後に紀田氏・高遠氏から指摘があり、早速の増刷で修正した訳です。鏑木清方夫人の生年は明治19年(1886)で間違いないのですが、それは別に準備している『怪談会』についての記事に、根拠を示して挙げることにします。(以下続稿)
2013年8月14日追記】第四刷を第一刷と並べて見た。カバーは裏表紙折返しが「文豪怪談傑作選(全15巻)    東 雅 夫 編」のみになっている他は一致。本体は、上にメモした第二刷に同じだが他に331頁18行め「高崎春月(たかさき・しゅんげつ ?‐?)未詳」に「(春陽堂に在職)」と加えられている。奥付はそれぞれの発行日と、発行者が違うのみ。【2013年8月30日追記】第三刷にこの「(春陽堂に在職)」はあった。これについては、実は第四刷とこの記事を比べたときに、記述はないものの見覚えがあったので訝りながら、メモして置いたのだが、やはり記憶が正しかった。そして漏れの少なからずあること、後になって追加訂正のあることをお断りして置かないといけない。【2013年9月8日追記】第一刷と第三刷を並べて見た。330頁13行め「平井金三(ひらい・きんぞう 1859-1916)英学者、宗教家」と第一刷ではなっていたが第三刷「平井金三(ひらい・きんざ 1859-1916)英学者、宗教家」と訂正されていたことも見落としていた。【2013年8月20日追記】背表紙の地色は第四刷の方が薄い(ように見える)。奥付の前にぞれぞれ4頁、1頁に10点の目録。標題・著者(編者)名・3行(1行23字)の紹介文、上下に横線。見開きの左下、横線の下、左詰めに第四刷には「品切れの際はご容赦下さい」とある*3。内容は、かなり出入りがある。

*1:2013年8月14日追加。

*2:「上田信道の児童文学ホームページ」に公開されている上田信道「宮崎一雨の児童文学」(「国際児童文学館紀要」第8号(1993.3.31・大阪国際児童文学館)と上田信道「補説・宮崎一雨とその周辺」(「児童文学資料研究」No.57・1994.8.15)に詳しい。

*3:2013年8月30日追記】第三刷にも「品切れの際はご容赦下さい」はあった。