瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山下武『20世紀日本怪異文学誌』(01)

 山下武『20世紀日本怪異文学誌 ドッペルゲンガー文学考―』(2003年9月5日初版発行・定価2500円・有楽出版社・391頁)を読み終えた。4月5日付で触れたが、誤植が多い。
 以下、疑問点を列挙して行くが、誤植の原因は、やはり雑誌連載のコピーをスキャンして、十分に校正しなかったためにスキャンミスがかなり残ってしまったことにあるようである。だとすると、初出誌を点検すれば正しい形を確認出来る訳で、その手続きを踏むべきだと思うのだけれども、31冊の雑誌を見て行く余裕がない。たぶん、しばらくない。そうこうしているうちに、返却期限が来て図書館に返却して、メモが何処かへ行ってしまう、ということになる。そんなことの繰り返しで、何冊も関連する本を読みながら上げていない記事やら、中絶してしまった記事がある。確かに必要な手続きは全て踏んで上げるのがベストだけれども、今はハードルを低くして、取り敢えず本の疑問点をそのまま並べて置くこととする。
・10頁6行め「ブランデンブルク選帝侯王」とあるがブランデンブルク選帝侯は「辺境伯」で「王」ではない。ブランデンブルク選帝侯はスペイン継承戦争に際して王位を得ているが「プロイセン王」としてである。
・11頁3行め「明治期から現代に至る日本学の作品中に」の「日本学」は「日本文学」であろう。
・39頁1〜6行めの段落、

 戦塵煙る昭和十年代にはいると、さすがに真っ向からドッペルゲンガーを主題とした作品は見当ら/ない。唯一の例外が久生十蘭の「生霊」(昭和十六年八月「新青年」)である。これとても題名から想/像するようなバタ臭い話とはちがい、ローカル色を巧みに生かした純日本的な作品だ。夫子自ら楽し/んで書いている節があるが、……

とあるが「生霊」という「題名」は「純日本的」でどこも「バタ臭」くないと思うのだが。
・39頁12行め「谷川に沿った一歩道」の「一歩道」は「一本道」だろう。(以下続稿)