瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山下武『20世紀日本怪異文学誌』(08)

・237頁6行め、山下氏は富ノ澤麟太郎について「二十六歳で夭折したため」とする。そして12〜17行めに『富ノ澤麟太郎集』を編んだ横光利一の「富ノ澤麟太郎」の結びを引用しているが、その最後「享年二十七/歳。」の「二十七」に山下氏は「ママ」を附している。けれども、当時は数えが一般的だから「二十七歳」で何らおかしくはない。それに満年齢なら誕生日前に死んでいるので25歳である*1
・245頁1行め、「 そこまで聞くや傴僂男は尾籠を投げ出し、……」とあるが、「尾籠」では尾籠な話になってしまう。244頁12行めの「……、折よく魚籠を提げた黒檜家の下男・酉蔵と部落/の外れで出会い、……」の「魚籠」が正しい。「びく」と振仮名もある。酉蔵*2が傴僂男である。
・265頁6行め、段落の頭なのに1字下げになっていない。
・307頁1行め、「海辺の旅館」の名を「臨海樓」とするが「臨海楼」で良いのではないか。何か理由があるのか。309頁3行め、8行め、10行め、311頁2行めも。
・308頁18行め「祝文」の「祝」の偏を「ネ」でなく正しく「示」偏にしている。このブログも徹底していないので人のことを言えた義理ではないが、何か理由があるのか気になる。309頁13行め(原文の引用)も。
・308頁18行め「須藤に依頼された伊――新聞の随筆」とあるが、伊――新聞の記者は他では(307頁10行めから309頁7行めまで)全て「須東」になっている。
・311頁12行め「渋川暁編「宇野浩二年譜」(全集第十二巻)」とあるが「渋川暁」は渋川驍(1905.3.1〜1993.1.24)。
・315頁12行め「杓子定規的なもの」とあるが「的」は要らないだろう。(以下続稿)

*1:この山下氏の誤りの原因も、誕生日が分からないと年齢が算出出来ない満年齢の不便さによる。当人たちが数えで年齢を勘定している分には(この場合は横光氏)、それをわざわざ満年齢に直さなくても良いと思うのだが。こうした年齢の混乱については2011年8月4日付「駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(4)」2010年12月31日付「年齢と数字」などに述べて置いた。

*2:ルビ「とり」。