瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山下武『20世紀日本怪異文学誌』(09)

・317頁2行め、

 昭和四十年九月二十三日、交通事故のため死去した楠田匡介(一九〇三〜一九六六)は、……

と書き始めているが、昭和40年は1965年である。コトバンクの「デジタル版 日本人名大辞典+Plus」に拠れば楠田匡介(1903.8.23〜1966.9.23)ということで、「昭和四十年」が誤りで「一九六六」すなわち「昭和四十一年」が正しい。スキャナでは「一」など横棒の読み落しが少なくないから、ここはその類かも知れない。
・320頁の最後1行分が空白となって、321頁1行めから新三郎と痴楽の会話の引用になっているらしいが、321頁が本書で引用を示す1字下げになっていないので、分かりにくい。
・322頁3行め「真紅の撃帯」には振仮名「しんく・うちおび」が欲しい。寛文六年(1666)版『伽婢子』の目録には「真紅のうち帯」に振仮名「しんく・をび」、本文には「真紅撃帯」に「しんくのうちをび」と振仮名がある。「をび」は仮名違い。
・324頁14〜15行め「……、昭和四十一年九月、奇禍にあっ/て六十一歳で世を辞した彼が……」とあるが、「昭和四十一年」は良いとして「六十一歳」ではなく「六十三歳」である。ここもスキャナの横棒の読み落しであろう。
・325頁16行め「自分の手には終へない」の「終へない」は「負へない」。
・329頁1行め、

 ※この小説の作者については何も知るところがない。読者諸賢のご教示を待つ。

と畠山彬郎「人格を変へる男」(「人情倶楽部」大14・7)の紹介(324頁17行め〜)を締めくくっている。これは雑誌連載時のままなのだろう。この作者について検索してヒットするのは、山下氏の記述のみである。
・331頁5〜6行め、沼波瓊音(1877.10.1〜1927.7.19)について「……帝大の国文科を卒業。在学中、大野酒竹、笹川臨風らと知り、俳学上につき/殊に一高時代から酒竹に負うところが大きかった。俳号の瓊音も、当時、大野酒竹の率いた筑波会の/」の「酒竹」は「洒竹」。これもスキャンミス+校正漏れであろう。(以下続稿)