②角川文庫2080
表紙や扉は1月13日付で紹介した『李陵・弟子・名人傳(角川文庫294)』に同じ。但し背表紙は読めなくなっている。標題は表紙・扉・奥付ともに「父 夏目漱石」で、表題作は「父夏目漱石」と詰まる。1頁(頁付なし)扉、3〜4頁「目次」。
内容は、①初刊本をそのまま文庫化したのではなく、『猫の墓』から採ったものもある。
まず、①初刊本から採ったものだが12篇ある。ゴシック体は③ポケット文春版④文春文庫版に採られていないもの。「父夏目漱石」5〜17頁、「父の日記と子供達」18〜27頁、「面会日」28〜36頁、「盗人の糞」37〜40頁、「父の一喝」41〜45頁、「父の命名」46〜54頁、「一葉と漱石の原稿料」55〜66頁、「博士嫌ひと夏目博士」91〜106頁、「漱石とトルストイ」107〜111頁、「「道草」の頃」112〜117頁、「父の手紙と森田さん」186〜214頁、「漱石の母とその里」248〜261頁。
ちなみに①③④にあって②角川文庫版のみに採られていないのは「父と中村是公さん」50〜56頁、「「文鳥」」79〜83頁、「「草枕」の出來る迄」120〜137頁、「英語嫌ひの漱石」138〜152頁、「父の書畫」217〜236頁。
それから、①のみにあって、②③④にないものは「「鳩の目」先生」57〜70頁、「謠」71〜78頁「父の書齋*1」100〜102頁、「父の半面」103〜105頁、「母の「漱石の思ひ出」」237〜243頁。
『猫の墓』からは9篇を採っている。このうち、③④には踏襲されなかったものが4篇。「父と二葉亭と本郷界隈」67〜74頁、「思い違い」142〜153頁、「岩波茂雄さんと私」215〜239頁、「自誡」240〜247頁。
③④にも採られているものが5篇。「「猫の墓」」75〜90頁、「父の家族と道楽の血」118〜141頁、「父の胃病と「則天去私」」154〜172頁、「父・臨終の前後」173〜185頁、「母のこと」262〜275頁。
ついでに、②には採られなかったが③④では採用されたものは「晴衣」と「墓標の下」の2篇である。(以下続稿)
*1:「目次」は「父の書齊 九九」と誤る。