瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(09)

宝島社文庫(2)
 単行本は扉から1頁の頁付があって、奥付が350頁、さらに351頁「本+DVDの貴重な保存版セット/名作クラシック&シネマ・シリーズ」として宝島MOOK(定価780円)4点の広告と「もう一度読みたい日本の名作小説/名作クラシックノベル・シリーズ」の別冊宝島(定価750円)の『太宰治』の広告がある。

 この5点、この『夏目漱石』も含め、発売日「2008/11/25」が一致している。
 この『太宰治』も宝島社文庫に収録されている。
読んでおきたいベスト集! 太宰 治 (宝島社文庫)

読んでおきたいベスト集! 太宰 治 (宝島社文庫)

 最後の352頁は「宝島シネマパラダイスシリーズ/名作映画DVDシリーズ」の広告でDVD2枚組各500円(税込)、18点、「風と共に去りぬ」のみ(前編)/(後編)で他は2作品ずつ、計35作品。
 2頁・4頁は頁付のみ、3頁「目次」、5頁が「坊っちゃん」の中扉で、上部に左から横線を12cm引き、その右端の下に縦組みで作品名。頁の左下に縦組みで小さく初出情報を示す。
 文庫版では扉とその裏の「目次」には頁付なく、その次が「坊っちゃん」の中扉でやはり頁付はない。横線はなく中央上部に作品名。初出が左下にあるのは同じ。以下に単行本と文庫版の中扉の位置(文庫版には頁付なし)と初出を一覧にして示す。
・単行本5頁 文庫版3頁 坊っちゃん 初出 一九〇六年四月『ホトトギス
・単行本97頁 文庫版157頁 夢十夜 初出 一九〇八年七月 朝日新聞
・単行本117頁 文庫版191頁 こころ 初出 一九一四年四月 朝日新聞
・単行本291頁 文庫版503頁 硝子戸の中 初出 一九一五年一月 朝日新聞
 「硝子戸の中」はノベルじゃないんじゃないか、とは突っ込まないことにして、年代順に並んでいる。ところで奇怪なのは、文庫版では「夢十夜」の初出が「毎日新聞」となっていることである。漱石は「夢十夜」発表の前年明治40年(1907)に東京朝日新聞社に入社して、以後小説は全て社員として「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」に発表したから「毎日新聞」の訳がない。それから「毎日新聞」という名称も、明治の東京には現在の「毎日新聞」に当たる「東京日日新聞」とは別に、「毎日新聞」があった。しばしば「東京日日新聞」を指して「毎日新聞」呼ばわりする記述を目にするが、当時別に「毎日新聞」が存在したのだから適当ではない。尤も明治期の「毎日新聞」は漱石が東京朝日新聞に入社する前年に「東京毎日新聞」と改題していたのだけれども。(以下続稿)