瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(10)

宝島社文庫(3)
 本文はそれぞれ中扉裏から始まっている。
 単行本は2段組で段の間に横線がある。1段21行、1行26字。
 「坊っちゃん」は章ごとに頁を改めている。そのため13頁「一」章末・25頁「三」章末・33頁「四」章末・41頁「五」章末・69頁「八」章末・78頁下段「九」章末は下段が空白になっている。章番号は上段の1行目に6字下げでやや大きな漢数字で入り、次の1行分が空白になっている。
 「夢十夜」は「第一夜」の如き章題で6字下げ、「第二夜」以下は前後1行ずつ空白。
 「こころ」は上段1行目に2字下げで118頁「上 先生と私」174頁「中 両親と私」202頁「下 先生と遺書」と章題があり、以下節番号は6字下げで「一」以下、前に2行分の空白、後に1行分の空白がある。
 「硝子戸の中」では「一」の章番号は10字下げ、「二」以下は前後1行ずつ空白。
 頁付は柱の下部にあり、偶数頁は「| 348」の如く頁数のみ、奇数頁には「349 |硝子戸の中」の如く作品名が入る。116・290・349頁は空白で頁付のみ。
 文庫版では1頁17行、1行38字。章番号・章題は「硝子戸の中」以外は5字下げ、「硝子戸の中」のみ8字下げ。章番号の前は2行分の空白・後は1行分の空白になっているが、「夢十夜」の章題のみ前後1行分の空白。190・502・607頁は空白で頁付もない。
 単行本は縦組みの奥付の上段に、

  【本書について】

  本書は『青空文庫http://www.aozora.gr.jp
  収録ファイルを元に、可読性を考慮の上、読み仮名/
  仮名遣い等の表記および表現を改変しています。

とある。改行位置及び「/」は原文のまま。
 4月4日付(07)で問題にした「三」章の「二字アケル」だが、23頁上段6〜7行め

 そのうち学校もいやになった。ある日の晩大町と云う所/を散歩していたら郵便局の隣りに蕎麦とかいて、……*1

としていて詰めている。青空文庫のことは4月4日付(07)の最後、名作旅訳文庫の底本である旨触れたが、以下のようになっている。

 そのうち学校もいやになった。  ある日の晩大町と云う所を散歩していたら郵便局の隣りに蕎麦とかいて、……*2


 すなわち、名作旅訳文庫と本書とは同じ青空文庫を底本としながら、本書は「可読性を考慮の上、……表現を改変」している訳である。文庫版31頁12〜13行目ももちろん単行本と同文。――文庫版の横組みの奥付の最上部には、カバー折表紙返しと同じ、

本書は2008年12月に小社より刊行した『別冊宝島名作クラシックノベル 夏目漱石』を/文庫化したものです。

との断り書きがあって青空文庫には触れていない。奥付が最後の頁で目録・広告などはない。カバー裏表紙折返しに横組み「宝島社文庫 好評発売中」として『読んでおきたいベスト集!/宮沢賢治』と同『芥川龍之介』と『太宰治』の3点、いずれも「別冊宝島編集部」と編者が入る。それぞれの上下に橙色の横線。

*1:ルビ「おおまち・とな・そば」。

*2:ルビ「おおまち・とな・そば」。