瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『明暗』の文庫本(4)

ちくま文庫(4)
 1頁(頁付なし)扉、『夏目漱石全集9』は次に3頁(頁付なし)に「目次」があるが、『明暗』は3頁(頁付なし)に中扉「明 暗」とあって5頁から本文である。『夏目漱石全集9』は5頁(頁付なし)に「夏目漱石全集 9」の中扉があり、6頁(頁付なし)の下部に横組みで、

本書は原文を現代かなづかいに改め,原文の表現/をそこなわない範囲で漢字をかなに改めた。また,/難解な語句には小口注を付した。(編集部)

とある。そして7頁(頁付なし)が「明   暗」の中扉で9頁から本文。
 本文は全く同じらしい。『夏目漱石全集9』が9〜637頁、『明暗』は5〜633頁。1頁18行、1行41字。
 『明暗』は1頁白紙を挟んで次の頁、下部中央に縦組みで小さく、

本書は一九八八年六月に刊行された『夏目漱石全集9』/(ちくま文庫)を底本にした。

とある。ついで4頁(見開き2つ)の目録があって最後の頁に奥付。解説類はない。
 『夏目漱石全集9』の方は639〜648頁に吉田精一解説 未完の遺作」があり、前後に1頁ずつ白紙。その次の奥付の前の頁、下部中央に縦組みで小さく、

この文庫版全集は、一九七一年四月から一九七二年一月/に刊行された筑摩全集類聚版夏目漱石全集を底本にした。

とある。これと6頁の編集部の断りは『明暗』の方にも入れて置くべきだろう。最後に5頁分、匡郭内が2段組になっている「ちくま文庫」の目録がある。1段に18点で1頁に36点。その4頁めの下段5〜8行めに「坊っちゃん 夏目漱石三四郎 夏目漱石/それから 夏目漱石/こころ 夏目漱石」が並んでいる。
 『夏目漱石全集9』は現在1000円で「解説」がある。『明暗』は900円で「解説」がないだけだ。100円安くて「解説」がないだけの改版なのである。改めて『明暗』を出した理由は、新潮文庫が絶版にした『続明暗』をちくま文庫が引き受けたからだろう。

続 明暗 (ちくま文庫)

続 明暗 (ちくま文庫)

 もともと単行本は筑摩書房から出ていた。
続 明暗

続 明暗