瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『人間失格』の文庫本(04)

 最近角川文庫について書いているけれども、別に角川文庫のファンというのではなくて、改装されていたり、中身が違っていたりすると、メモを取って置きたくなるのである。個別に観察して行くと、消費税などの定価の表示、ISBNコード、郵便番号の桁、発行者や印刷所、印刷者を表示しなくなったのは何時からなのか、などのしょうもないことが気になってくる。
 こんなことを要領良く整理した文献は既に存在するとは思うのだけれども、まぁ、文庫本なんて軽い物だし、出版物全体の環境の反映と、レーベル全体としての改変と、それから個別の改版・改装と、様々な要素が入り組んで複雑な様相を呈しているので、これが最新版だと思っているとさらに新しい版が出ていたり、一時的に変なカバーが掛けられていたり、初版と現行版との間に複数の版があったりする。レーベル全てを見た上で、一つ一つを詳細に記述することも、全体像を示すことも、たぶん出来ない。だから同じ作品の違う版を手にする毎に、並べて見て、メモを取っている。自分にとっても何の参考にもならぬかも知れないのだけれども。
 いや、単に、違うところが気になる性分なのだ。頁のズレや内容の加除増減の情報は役に立たぬでもあるまい。
・角川文庫(4)
 角川文庫28(改版五十四版)と角川文庫7501(二十四版)の『人間失格・桜桃』の比較は昨日全部済ませて置くつもりだった。要するに、後者は前者の抜粋版で、本文はそのまま、新しくなっているのは「作品解説」のみ、ということなのだが、どうでも良いようなことながら、奥付の裏から後を落としていた。奥付の裏は角川源義「角川文庫発刊に際して」、角川文庫28(改版五十四版)はその次に「角川文庫 最新刊」の(49)頁(50)頁がある。1頁に10点。角川文庫7501(二十四版)の方は「角川文庫の名作/語り継ぎたい一冊がある。角川書店」として9頁、最初の頁のみ上段右半分に題が入って9点、他の頁は上下2段に各6点1頁に12点、合計105点が挙がる。最後の頁は「角川文庫ベストセラー」で清水一行南里征典森村誠一和久峻三勝目梓胡桃沢耕史の計6点。
 この角川文庫7501は平成元年(1989)改版だが、その後『人間失格・桜桃』は平成19年(2007)に改版され、番号も角川文庫14732に変わっている。これが現行版であるのだが、改版からまだ5年しか経っていないのに、カバーが私の知る限りで4種類ある。そして途中で頁数が1頁減っている。それから標題が『人間失格』のみになっている。今、私の手許に平成19年(2007)の初版と平成20年(2008)の五版、平成21年(2009)の十四版がある。
 角川書店HPの角川文庫『人間失格』のページ梅佳代の写真の現在のカバーを見ることが出来る。これは「太宰治 生誕100周年」を機に、角川文庫の太宰治作品全10冊を梅佳代×祖父江慎の新装カバーにしたのである。私はこれはまだ見ていない。いや。本屋に行けばこれがあるはずなのだけれども。なお、電子ブックで立ち読みが出来るが、梅氏の写真ではなくて初版のカバー(表紙・裏表紙)である。(以下続稿)