瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

NHKスペシャル『幻の大戦果』(3)

 さて、チーフプロデューサーの辻氏の執筆した書籍版では「そのまま」となっている。ところが、放送の方では「そのかたわら」と読んでいた。私は間違いを見付けるとどうして間違ったのか、どこで間違ったのか、が気になってしまう小者なのだが、書籍版の方が正しく読んでいるところからすると、ナレーションの読み間違いのように思えてくる。しかし、そうではあるまい。
 一昨日の(1)で、うっかり「「入電した情報」を「一隻沈没」などと補って読んでいるのは良いとして」と書いてしまった。しかし「そのかたわらに」は誤りで「そのままに」が正しいのだから、ここはやはり原文通り「戦艦一沈」「航母二沈」と読むべきだったろう。
 即ち、「入電した情報をその侭に」読み上げるべき箇所がそうならなかったのは、ナレーター以前の、台本作成に際して「その侭に」を「その傍に」とする誤読が生じていたためであって、ナレーターが収録時に「侭」を「傍」と読み間違えたのではない、と判断されよう。
 その後刊行された書籍版は正しく「そのままに」としており、それにDVD発売まで間があったのだから、ここは音声を差し替えられなかったのだろうか。尤も、そのまま「せんかんいちちん」「こうぼにちん」と言われても、何だか分からない。いや、そこは「戦艦一沈=戦艦一隻沈没」「航母二沈=航空母艦二隻沈没」との字幕で対処すれば良かったのではないか。

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 ところで、堀少佐の手記だが、昨日の(2)に引用した書籍版181頁に「一部加筆訂正されて出版されている」とあった。放送の方でも「後年、加筆訂正されて出版」といったような説明があったと思う*1。これは書籍版巻末228〜229頁の【参考文献一覧】に「堀栄三著『大本営参謀の情報戦記』」と見えている(229頁)のがそれであろう。次に、この堀氏の著書について、確認して見よう。(以下続稿)

*1:ここのところはDVDで確認して追記の予定。