瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『人間失格』の文庫本(07)

・角川文庫(7)
 一昨日からの角川文庫14732についての続き。
 さて、角川文庫14732『人間失格・桜桃』は当初、角川文庫7501『人間失格・桜桃』の改版(奥付)にして新装版(カバー背表紙)、という位置付けで、現在は『人間失格』と改題されているが、3頁「目次」を比較しても分かるように、内容は同じである。「目次」を比較するに、文字が大きく配列がゆったりと印刷されていること、それから作品ごとの頁付が異なるのはもちろんだが、それ以外の違いは角川文庫7501の最後にあった「口絵写真 田 村 茂」の1行がなくなっているのみである。すなわち、角川文庫28*1以来の「口絵」がなくなっていることの他、内容的には何ら変わりがない。
 以下、両者を比較しながら異同を確認して置こう。
 1頁(頁付なし)扉は番号と標題が違うだけ。4頁(頁付なし)にこれも角川文庫28以来「桜桃」の原稿の影印が入っていたが、なくなっている。これは角川文庫14732では「桜桃」の中扉裏に移されている。恐らく同版。中扉は角川文庫7501まではなかった。表裏頁付はなく5頁「人間失格」、151頁「桜桃」。「人間失格」の本文は7〜149頁、「桜桃」は153〜162頁。1頁17行、1行37字。163〜165頁「注釈」は角川文庫7501と全く同内容で振仮名が増やされている。1頁19行。
 166〜176頁「解説」は檀一雄太宰治――人と文学」。詰まらないことだが柱(ヘッダ)題も同じだが「目次」は「太宰治―人と文学」となっている。角川文庫7501では目次「太宰治人と文学」本文「太宰治――人と文学」ヘッダ「太宰治―人と文学」である。同じ写真が挿入される。以下、角川文庫28=角川文庫7501→角川文庫14732の順で、仮に番号を附して整理してみた。①231=140→168・②232=141→169・③235=144→173・④236=145→174・⑤237=146→175。うち②③⑤は拡大されており、③④⑤はキャプションの読点が「,」から「、」に変わっている。
 鳥井邦朗「作品解説」177〜184頁。(以下続稿)

*1:私が見たのは改版五十四版。3月25日付(01)参照。