瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

正岡子規『仰臥漫録』の文庫本(1)

岩波文庫31-013-5(1)
1927年7月10日第1刷発行
・1983年11月16日第15刷改版発行(195頁)定価300円*1

仰臥漫録 (岩波文庫)

仰臥漫録 (岩波文庫)

・1987年9月21日第21刷発行・定価350円*2
・1988年2月15日第22刷発行・定価350円
・1994年6月15日第33刷発行・定価398円
・2009年11月25日第56刷発行・定価500円*3
・2011年11月15日第59刷発行・定価500円*4
 これもやはり岩波文庫の創刊書目で、復刻が出ている。
『仰臥漫録(岩波文庫83―84)岩波文庫創刊書目 復刻〕』二〇〇六年一二月二六日発行。創刊書目復刻については、7月28日付「幸田露伴『五重塔』の文庫本(1)」及び7月30日付「幸田露伴『五重塔』の文庫本(3)」そして8月10日付「正岡子規『病牀六尺』の文庫本(1)8月11日付「正岡子規『病牀六尺』の文庫本(2)」に触れた。創刊時の複製に1枚新たな奥付を追加したもので、創刊時の奥付には「昭和二年七月五日印刷/昭和二年七月十日發行/仰臥漫録 ★★/定價四十錢」などとある。182頁。
 表紙、横組みで上部に「庫文波岩」その下に「83―84」に下線、その下に標題、その下に「著規子岡正」とある。下部に「店書波岩」とあって下線。背表紙、上部に標題と「正岡子規著」下部に「83―84 ★★」この数字は右を上にして横転。
 1頁(頁付なし)扉、現行版は3頁(頁付なし)に「目次」があるが、創刊書目復刻にはなし。中扉(頁付なし)は正岡子規自筆墨書の標題で、創刊書目復刻は3頁、現行版は5頁。本文は前者が5〜182頁、後者が7〜190頁。前者は一部を除いて片仮名漢字交じりであったが、後者では片仮名は平仮名に改められている。
 さて、創刊書目復刻には解説の類はないが、現行版では191〜195頁に阿部昭「解説」がある。末尾に(昭和五十八年九月)とある。195頁の余白、左に以下のような〔編集後記〕がある。

一、本文庫の底本には、岩波文庫旧版(一九二七年七月刊)を使用し、複製本『仰臥漫録』(一九一八年/
 九月刊、岩波書店)、『子規全集』第十一巻(一九七五年四月刊、講談社)等を参照した。改版にあた/
 り、底本の片仮名を原則として平仮名に改めた。


 複製本を参照した、とあるのは原本が行方不明になっていたからで、そのことは次回取り上げるつもりの角川文庫15908『仰臥漫録』196〜204頁の、嵐山光三郎「解説」203頁10〜15行めに、以下のようにある。

『仰臥漫録』原本は、大正七年に岩波書店から複製本が刊行されてからは、子規庵土/蔵に収蔵されていたが、いつのまにか土蔵内より持ち出されて、行方不明となった。/謎の多い紛失のまま五十年たち、平成十三年、子規百回忌の年に、子規庵土蔵内で発/見された。
 紛失したときは、正岡家が子規庵保存会を提訴する「子規庵事件」がおきた。それ/が、原本発見で、また一騒動がおこった。子規の自筆草稿は波乱万丈である。


 平成13年(2001)に発見されているので、昭和58年(1983)改版の岩波文庫の現行版は原本との照合が出来なかったのである。そして、原本出現があっても岩波文庫の改版がなされないでいるうち、平成21年(2009)に角川文庫15908が刊行されたのである。
 以下、岩波文庫の創刊書目復刻・現行版、そして角川文庫15908とを比較しつつ、述べてみたい。(以下続稿)

*1:2016年7月28日追加。未見であった間は「1983年11月16日第15刷改版発行(195頁)」としていたが「・」と「定価300円」を追加した。

*2:11月26日追加。

*3:2013年1月21日追加。

*4:2014年6月7日追加。