瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張「氷雨」(3)

松本清張短編全集光文社文庫
 原作とされる短篇「氷雨」を確認するべく、これを収録している文庫本を借りて来た。

誤差―松本清張短編全集〈09〉 (光文社文庫)

誤差―松本清張短編全集〈09〉 (光文社文庫)

『誤差(松本清張短編全集09)』2009年5月20日初版1刷発行・定価629円・325頁*1
 カバー表紙折返しの上部に横組み13行(1行23字)の紹介文があるが、その最後に以下のように説明されている。

……。この/「松本清張短編全集」は、カッパ・ノベルス版として、/'63年から'65年にかけて刊行され、収録作品の取捨/と全巻の構成に、著者自身の意向が強く反映した、/自選の傑作短編全集である。


 奥付の裏が光文社文庫編集部「お願い」で、その次に「松本清張短篇全集 全11巻」の広告があるが、その下の○の中に「生誕/百年/記念」とある。すなわち松本清張(1909〜1992)の生誕100年記念として、光文社文庫に収録されたのである。
 この本の収録作品や装幀などは、カッパ・ノベルス版と比較する機会でもあればメモすることとして、ここでは「氷雨」のみについて見ることにする。「氷雨」は収録7作品中の2つめ(37〜61頁)、末尾に(「小説公園増刊」昭和三十三年四月)とある。
 時期的には、NHKの「氷雨」放映の1年半前で、問題はない。問題は、内容なのである。
 結論を言えば、小説「氷雨」は、NHKドラマの「氷雨」の原作ではない。強いて共通点を挙げることも出来なくはないが、相違点の方が多い。特に、筋立てが全く一致していない。関係ありとする方が無理である。(以下続稿)

*1:2013年2月5日追記】2刷(2009年6月10日2刷発行)を見た。奥付に2刷発行日の1行が増えただけで、他はカバーや目録なども1刷と一致(しているらしい)。