瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張「氷雨」(5)

 昨日の続き。
 テレビドラマデータベースには他に3人の女性と、男性1人が挙がっている。
 昨日挙げた2人の配役は問題ないと思うが、残りの女性3人については、まず私に昭和30年代の女優についての知識がないし、正直、加代と初枝以外は小説の設定通りに登場させなくても構わないような役なので、確定させることは難しい。そこでここで、短篇小説「氷雨」の登場人物について、確認して置こうと思う。
 「一」章(39〜45頁3行め)、39頁に「玄関の板の間に五六人の女中たち」と「下足番の庄さん」が登場する。「女ども」の中でまず名前が判明するのは「みよ」と「加代」。40頁、そこに「調理場から戻ったすま」が「太った身体を火鉢の前に据え」る。「すまはここの女中頭で、もう八年以上、開店当時から勤めている。女中たちには、おかみさんよりもこわいところがあった」との説明がある(43頁にも「すま」について「大きな眼」とある。)。
 「冷たい雨」(39頁)のせいか客が来ないので電話で馴染み客に声を掛けることになり、まず1人めのみよが2人の勧誘に成功、次の加代は自分の「お馴染さん」矢田と佐村と川崎のうち、矢田は長期出張中、佐村は帰宅しておらず、仕方なく川崎を勧誘する。ここで川崎が、42頁「初枝は来ているかい?」と言ったことで、加代は動揺し始める。以下「三」章まで、加代の独り相撲が続くのである。
 43〜44頁、初枝は調理場で板前たちと笑い合っているので、玄関にはいない。
 「二」章(45頁4行め〜51頁)、45頁、まず川崎が登場する。「あまり大きくない会社」の「営業部長」だそうで、容姿は「光っているあかい顔」とのみ。
 次に45頁、係りのみさおが登場する。47頁まで。ついで46〜49頁に「ヘルプ」として初枝。途中、47〜48頁「五人連れの社用さん」に呼ばれて加代は座敷に川崎と初枝を40分2人きりにしてしまう。なお、50頁に加代の年齢とともに「女中頭のすまから三番目である」ことが説明されている。
 「三」章(51〜58頁1行め)、52頁、かんばんになって12時近くに店を出て渋谷駅まで一緒に行こうとする「七八人の連れ」の中で「とき」は初枝がいないことを言う。ところで、53頁「客の捌き方がうまいとお女将さんにもほめられ」と登場しない女将に言及するところがある。54〜55頁に、翌日出勤した初枝に会って風呂場などで観察する場面があって、昨日引いて置いたが、「一つ年上のみよ」についても「男のように筋ばった身体」と描写されている。すなわち、すま・みよ・加代の順であることが、ここではっきりする。
 56〜57頁、川崎が前日に続いて来店する。57頁「猫背のかっこうでむっつりとうなずき」とある。初枝の登場も57頁が最後。 
 「四」章(58頁2行め〜61頁)、ここまでは「加代」の視点で書かれていたが、この章では「加代さん」と第三者(作者)の視点から書いている。58頁「二年」後で、「中央線のある駅前のせまい路地で、小さなおでん屋を開いている」。ちなみに“ささ雪”を辞めた経緯や、初枝(と)のその後などの説明はない。
 TVドラマ「氷雨」の出演者に戻ろう。
 桜緋紗子(1914.3.15〜2002.3.20)放送当時47歳。
 旭輝子(1924.10.30〜2001.12.31)放送当時36歳。
 この2人については、Wikipedia以上の知識がないし、検索しても出演情報や家族のことなどがヒットして、出演作が殆どなく、従って情報が少ない(ので却って捜しやすい)野川氏と違って、ヒットしたものを選別するのが手間なだけになりそうなので、これ以上踏み込まないで置く。(以下続稿)