瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張「氷雨」(10)

毎日新聞(2)
 夕刊。号数は同じ。4版、総8頁の(8)面、縮刷版436頁、「ラジオ/テレビ」欄で、1〜2.5段めの左に「テレビ」番組表、局の順番は朝刊に同じ。2.5〜8段め「ラジオ」番組表。「東京テレビ⑥」午後「8」時の枠は朝刊に同じ。1〜8段めの右が記事。7〜8段めの右隅に以下の記事がある。

  中年女と若い女の争い
 黒い断層「氷雨」(東京テレビ後8・30)松本清張原作、生田直【以上7段め】親脚色。かっぽう料理店に働く七/人の座敷女中が主人公。中年女と/若い女のかなしい争いを描く。料/理店「ささ雪」には加代、すま、/みよ、みさお、初枝たち七人の女/中が勤めていた。ある氷雨の降る/夕方、客足も少なく、彼女たちは/それぞれなじみの客を電話で誘っ/た。加代は客の川崎を呼び出した/が、やってきた川崎は二十三才と/いう新参者の初枝の方にいってし/まった。
 加代=風見章子、初枝=野川美/ 子、すま=桜緋紗子、みよ=旭/ 輝子、みさお東郷晴子、スミ/ 子=広岡三栄子、安子=田中筆/ 子、川崎=深見泰三、時子=田/ 上嘉子ほか。


 「朝日新聞」にも「七人の座敷女中」とあったが、この記事で役名と役者がはっきりした。「毎日新聞」夕刊により追加出来た女優3人については、Wikipediaに立項されており、私は知識を持ち合わさないので、ここでは生没年と当時の年齢を確認するに止める。
 東郷晴子(1920.3.15〜2011.3.3)放送当時41歳。
 田中筆子(1913.3.16〜1981.2.23)放送当時48歳。
 田上嘉子(1922〜2007.1.12)放送当時38歳か39歳。
 多分「主人公」の「座敷女中」は加代・初枝・すま・みよ・みさお・スミ子・安子の「七人」で、最後の「時子」は川崎の次に出てくるから原作にない川崎の妻役か、或いは登場しないが存在には言及されている「ささ雪」の女将か。とも思うのだが、9月28日付(5)で確認した短篇小説の登場人物の「とき」が「時子」になっているのかも知れない。そうすると、川崎の前に出ている7人=「七人の座敷女中」ということにならなくなる。そうすると、短篇小説には登場しないスミ子と安子のどちらかが、座敷女中ではない別の役ということになるが、老け役専門の田中筆子*1の安子の方であろうか。
 さて、この梗概だと、短篇小説とは違って、加代の電話で来店した川崎は、加代を袖にして、あからさまに「初枝の方にいってしまった」ようだ。原作の通りだとCM込みで30分に収まるのだか見当が付かないのだが、そこを単純化して、川崎も原作のような不快感を薄めて、ちょっと主人公をからかってみた、と云った程度に改めたのではないか。原作のように、若い初枝を意識する余り、好きでもない川崎と肉体関係を結んでしまう、という展開にするのは、ちょっと難しいような気がする。

原発・日本絶滅 (カッパ・ノベルス)

原発・日本絶滅 (カッパ・ノベルス)

 脚色の生田直親(1929〜1993)は、後に小説家に転じている。カッパノベルス光文社文庫原発・日本絶滅』や徳間文庫『東京湾岸大津波』『東京大地震M8』などの作品があり存命であったなら、その先見性が注目されたかも知れない。(以下続稿)

*1:もちろん、俄仕込みの知識である。自慢にもならないが。