瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『こゝろ』の文庫本(1)

 人気作品のカバーは頻繁に掛け替えられるが、角川文庫の『こゝろ』は最近10年で5種類のカバーのあることを確認した。今、手許にそのうち4つがあるので、メモして置く*1
・角川文庫235
【一八八版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十四年五月二十五日一八八版発行・定価300円・300頁
・角川文庫13391
【改版初版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・定価324円・335頁
【改版九版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・平成十九年二月二十日改版九版発行・定価324円・335頁*2
【改版十一版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・平成十九年五月二十日改版十一版発行・定価324円・335頁*3
【改版十三版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・平成二十年五月十五日改版十三版発行・定価324円・335頁*4
【改版十六版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・平成二十一年五月二十日改版十六版発行・定価324円・335頁
【改版十八版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・平成二十二年三月五日改版十八版発行・定価324円・335頁

こゝろ (角川文庫)

こゝろ (角川文庫)

 さらにこの、現在Amazon詳細ページに表示されている、この手拭い柄カバー*5がある訳だが、知人が持っていたのを見たことがあるが、メモして置かなかった。その後、見る機会がない。
 そこで、それ以前のカバーについて、まず記述して置く。
一八八版】カバー表紙は、わたせせいぞう。右上に赤の太い明朝で「こゝろ」その下にゴシック体で「夏目漱石」、右下にゴシック体で小さく「角川文庫」。日の当たる若葉を背景に、太鼓橋を渡る和装の若い女と、肌色のスーツの若い男。カバー背表紙、一番上に白地にQRコード、以下は肌色地で「|な|1-10|Y300|夏目漱石 こヽろに囲まれている。また何故か「ヽ」が半角分しかないので随分書名が詰まっている。下部に「角川文庫 |■」。カバー背表紙、左上にバーコード2つ、右上にISBNコード/Cコードと「\300E」/「定価:本体300円(税別)」、中央にゴシック体縦組み11行(1行14字)の紹介文。カバー表紙折返しはこめかみに右手を当てた写真に、「夏目漱石(なつめ そうせき)」と題して、以下明朝体縦組み12行(1行17字)の紹介文。カバー表紙は「わたせせいぞう」の絵なのだが、この表紙折返し下部には何も刷られていない。カバー裏表紙折返し、「角川文庫夏目漱石の本 ―――――――――」●は○で囲う。明朝体で上段に10点、下段に4点、3月20日付「夏目漱石『三四郎』の文庫本(1)」の15点と比較するに「坑夫」がない。右下にKBマーク。印刷所名はない。奥付の次に1頁7点の「角川文庫ベストセラー」が2頁。
改版初版】カバー表紙は両側に板塀の続く石畳(?)の坂道で、左から金木犀の梢。右上に子持ち枠があって縦で「こゝろ|夏 目 漱 石」と明治大正の新聞から拾ったような字体。左下に明朝体白抜き縦組みで「角川文庫」。カバー背表紙、一番上に白地にQRコード、以下は赤みがかかった肌色地で「|な|1-10|Y324|夏目漱石 こゝろに囲まれている。下部に「角川文庫 |■」。カバー背表紙、左上にバーコード2つ、上のバーコードの下4桁が一八八版は「1127」だったのが「1202」に、下のバーコードの下4桁も一八八版が「3000」だったのが「3246」に変わっている。右上にISBNコード/Cコードと「\324E」/「定価:本体324円(税別)」、中央にゴシック体縦組み14行(1行14字)の紹介文で一八八版とは殆ど重ならない。カバー表紙折返し上部にあるこめかみに右手を当てた写真は一八八版と同じものだが、「夏目漱石(なつめ そうせき)」と題して、以下明朝体縦組み8行(1行17字)の紹介文。最下部に右寄せで小さく「絵/宮 瞳子」とある。カバー裏表紙折返し、「角川文庫夏目漱石の本」●は○で囲う。明朝体で上段に10点、下段に1点、一八八版にあった14点のうち8つめ「彼岸過迄」と12番め「明暗」14番め「硝子戸の中」の3点がない。左下に小さく「カバー 泉文社」、右下にKBマーク。最後の頁が奥付で目録類はない*6
 右の2つのカバーの著者紹介文の異同について、確認して置く。すなわち、一八八版の一部を削除し若干の加筆したものが改版初版、という関係にあるので、ここで済ませて置きたいのである。まず、「本名、夏目金之助。」で始まるのは一致するが、改版初版には次に「一八六七年、」とあるが一八八版にはなく、いきなり「現在の新宿区喜久井町に生まれ、」と続く。次に一八八版は「明治二十六年、」改版初版は「一八九三年、」とあって「東大英文科卒業。大学院に進むとともに教職に就く。三十三歳の年にイギリスへ国費留学。帰国して後、朝日新聞社に入社してからは、本格的に文筆活動に入り、」は一致。次いで一八八版は「「三四郎」「こゝろ」/「行人」など、不朽の逸品を残した。神経/衰弱と胃潰瘍により、大正五年十二月/九日永眠。日本最大の文学者としての/地位は、年を経るごとに高まっている。」とあるが、改版初版は「『三四郎』『こゝろ』『行/人』など、不朽の名作を残した。」で終わっている。(以下続稿)

*1:2017年7月19日追記】版次とカバーについては、2015年6月25日付(15)に纏めなおした。

*2:2014年3月11日追加。

*3:2015年6月13日追加。

*4:2015年6月13日追加。

*5:2017年7月19日追記】「この手拭い柄」は「和傘」だったのだが、現在は継ぎ接ぎ柄になっている(なか見!検索でじは宮瞳子のカバーが表示される)。

*6:2014年3月11日追記】改版九版のカバーは改版初版に一致。なお改版九版の奥付を改版十八版と比較するに、それぞれの奥付と、匡郭下辺の右寄せ、改版九版「ISBN4-04-100120-X C0193」が改版十八版「ISBN978-4-04-100120-2 C0193」とISBNコードが変わっているのみ。それぞれカバー裏表紙にあるISBNコードに一致。13桁の数字は左上のバーコードの数字に一致。【2015年6月13日追記】カバー表紙は改版十一版・改版十三版ともに改版初版に同じ。改版十一版のカバーは改版初版のカバーに一致するが、改版十三版はカバー表紙以外全て異なる。詳細は別記するつもり。