瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『文豪』(1)

上製本(一九七四年十月三十日第一刷・価一二〇〇円・文藝春秋・341頁)
 カバー表紙は文庫版のカバー表紙にほぼ同じ、従って文庫版と比較しつつ記述することとしたい。
 カバーの文字は全て明朝体。カバー背表紙、上部に鶯色で標題、中央やや下に黒で著者、下部に横組みで小さく「文藝春秋」。カバー裏表紙、表紙と同じ子持ち枠の右上に縦組みで「文藝春秋 価一二〇〇円 〇〇九三―三〇三二九〇―七三八四」とある。カバー表紙折返し、上部やや右寄りに「著者自装」とあるが、文庫版にはこのような情報はない。カバー裏表紙折返しには何も印刷されていない。
 扉、縦組み明朝体で上部に著者、その下に大きく標題、その下に明治初年の丸善商社(日本橋店)の図を模写したカット、その下に小さく「文藝春秋」とある。
 1頁(頁付なし)「文豪目次」、3頁(頁付なし)中扉で標題、5頁「行者神髄」の扉、裏に題辞、7頁から本文。1頁16行、1行43字。細目については後で諸版をまとめて記す。341頁の裏は白紙、次いで奥付、その裏は松本清張『古代探求』の広告。
松本清張全集51
『眩人・文豪』1984年2月25日第1刷・定価1800円・文藝春秋・431頁
 1頁(頁付なし)目次、3頁(頁付なし)「眩人」の扉、5頁から本文、2段組、1段24行、1行26字。247頁まで。
 249頁(頁付なし)が「文豪」の扉で細目も示されている。この細目については、他の版とまとめて述べる。421頁まで。
 最後に中西進「解説」がある。422〜431頁。中西氏は最初、422頁上段に、

 本巻におさめられた『眩人』と『文豪』とはともに著者が/多大の意欲をこめた大作である。『眩人』は古代史上の/人物を通して火祆教による秘事をとり上げたもの、片や/『文豪』は近代文学史上に登場する作家をとり上げたもの/で、時代的にも好一対をなす仕組みになっている。『文豪』/はいわゆる文豪とよばれる人物、坪内逍遙尾崎紅葉を、/その周辺の人物との関係の中で扱ったもので、作家の内面/に鋭くふみ込み、その性の栄光と悲惨とを追及した重厚な/作である。しかし一方の『眩人』はより大規模な歴史とそ/こに動く人物群像を描こうとしたもので、意図の壮なるこ/とにおいて『文豪』をはるかに凌いでいる。*1

と、申し訳程度に『文豪』に触れて、以下、9頁半にわたって延々『眩人』についてのみ、筆を費やしている。中西氏に依頼したらそういうことになるだろう。従って、本書についてのまともな「解説」は、文庫版に初めて附されることとなったのである。(以下続稿)

*1:ルビ「しの」。