瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『走れメロス』の文庫本(5)

・角川文庫1143
 8月22日付(1)に、角川文庫1143の【改版四十七版】について記して、何ら具体的な記述をしなかったが、他の版も見たので、ここに補って置きたい。
【改版四十七版】昭和四十五年十二月十日改版初版発行・平成七年五月三十日改版四十七版発行・定価340円・237頁。
【改版四十九版】昭和四十五年十二月十日改版初版発行・平成十六年七月五日改版四十九版発行・定価362円・237頁。*1
【改版五十版】昭和四十五年十二月十日改版初版発行・平成十七年五月二十日改版五十版発行・定価362円・237頁。
 それから、角川文庫14731の【改版初版】も借りてある。
 まず、改版四十七版について。カバー表紙は切り絵風で、表紙折返し下部に「カバー 安西水丸」とある。表紙の下部9.0cmが青色地でその上に黒で木の枝、その先端等に赤い丸で恐らく紅梅の花が9つ(貼付の図書館バーコードで隠れているところがあるので全部ではないかも知れない)。これが若干上部5.8cmの白地の部分にはみ出している。上部に横組みで「走れメロス/太宰 治」標題は教科書体、著者名は明朝体、この白地の部分の右下に小さく「角川文庫」とある。
 カバー表紙折返しは上部の著者の写真・紹介文とも8月26日付「太宰治『女生徒』の文庫本(1)」で触れた角川文庫863『女生徒』改版五十二版と同一らしい。
 カバー背表紙、肌色(褪色?)地で上部に「た|1-3」太い明朝体で「走れメロス」中央やや下に同じ字体でやや小さく著者名、下部にゴシック体で「角川文庫●350」●の中に白抜きで「P」。
 カバー裏表紙の中央の紹介文、縦組み11行(1行14字)。改版五十版と最初は一致するが、次第に改行位置がズレ、最後は異なっている。また、改版四十七版には若干振仮名があるが改版五十版には振仮名はない。すなわち、3行めまで「妹の婚礼を終えると、メロスは/シラクスの市めざして走りに走/った。約束の三日目の日没まで」は一致、4行め「に暴虐の王の下に戻らねば、自」改版四十七版にのみルビ「ぼうぎやく・もと」。5行め、改版四十七版「分の代りに友セリヌンティウス」は改版五十版では「代わり」になっており1字増えた分、以下ズレが生じている。改版四十七版6〜7行め「が殺される。日はすでに傾いて/いる。メロスよ、走れ ……身/」のところ、改版五十版の7行めの最後「走れ!――/」と変わっている。改版四十七版8〜10行め「命を賭けた友情の美しさを描い*2/て名高い表題作のほか、「富嶽*3/景」「駆込み訴え」「東京八景」な」とこの辺りも1字ズレるのみで一致するが、改版四十七版は11行め「ど珠玉の九編を収録。*4」で終わっているのに改版五十版は1行増えて12行になっており、最後11〜12行めは「など、執筆活動の充実ぶりを示/す、太宰中期の佳作九篇を収録。」である。これが角川文庫14731【改版初版】では右上に横組み14行(1行14字)になっている。以下、改版五十版との異同を確認して置きたい。加筆部分は太字にして示す。まず1〜2行め「終えると、村の牧人/メロス」、4行め「王のもとに」、6〜8行め「殺される。メロスは約束を果たすことができるだろうか? 日はすでに」、9〜10行め「身/命を懸けた」、12行め「駈込み訴え」、14行め「佳作9篇」。
 改版四十七版のカバー裏表紙に戻って、左上のバーコード1つめは改版五十版に一致、2つめは下4桁が「3506」→「3628」。右上、1行めISBNコード、改版五十版に一致、2行め「C0193 P350E 定価350円」定価の下に「(本体340円)」となっている。(以下続稿)

*1:2014年4月8日追加。

*2:ルビ「か」。

*3:ルビ「ふがく」。

*4:ルビ「しゆぎよく」。